「私の片腕的、存在。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

ドキドキ 羽恋、優維香の声に、
「あ~~。うん。膳場(ぜんば)ねぇ~~。膳場克敏(ぜんばかつとし)。まっ。私の片腕的、存在。…で、専任ドライバー。」

小埜瀬、
「おや。専任ドライバー。」

「若い頃はあれで、レーサー。F1にも出てたらしいから、凄いわよね。」
羽恋、微笑みながら。

小埜瀬、思わず、
「F1」

優維香、
「レーサー…。…それで…。あんなにピッタリと。しかも、すんなりと駐車場。」

羽恋、そんな声に、
「あぁ~~。うんうんうん。そぅそぅ。特にハンドルを切り替える事もなし。…かと言って、あちこち確かめるように頭を。それもなし。あれで…、全体を目だけで、見てるんでしょうね~~。あんな顔していながら。」

その、「あんな顔していながら。」の声に小埜瀬、優維香、何とも困ったような微笑み。

羽恋、ふたりのそんな顔を見ながら、
「いや。だ~~って、顔、見ているだけで、こっちは、何とも力が抜けちゃうような…。のほほん的な…。」

優維香、頭の中で、
「…確かに。見ただけでダチョウ俱楽部のリーダーに似ていそうな…。」

羽恋、
「あんな顔して…。なんだけど、とにかくハンドルを握ったら凄い。」

その声に優維香、目を真ん丸にして、
「凄~~ご~~。」

羽恋、
「そして。絶対的なのが、とにかく安全運転。私が、ゴメン、何とかして、間に合わない。…と、いう時だけ、物凄いスピード。」
そこまで言って羽恋、
「ははははは。心臓が止まるかと思った。しかも、凄いハンドルさばき。高速なんか凄いから。社長、しっかりと掴まってて下さいよ~~。って。あの顔で言うんだから。しかも平然と。走っている車を追い越す、追い越す。丸で映画のカーチェイス。それでいて警察には一切捕まらない。」

小埜瀬、口を尖らせて、目は丸く。

羽恋、ニコリとながら、
「だから、車は全て、膳場に任せてる。まっ。高い車ではあるんだけど~~。勝手にメンテナンス、しているんじゃないかしら。当然、正規の。…だからこそ、安心。まっ。警察に捕まらないって言うか、彼の運転には、追い付けない。の、かも…。…とは言え、レーサーはあくまでも彼の趣味。」

その声に小埜瀬も優維香も、目を見開いて、
「趣味。」

「えぇ。実はと言えば、膳場、あの人の本業は、データサイエンティストなのよ。若い頃からアメリカでデータサイエンティストとして働いてて超一流。向こうで日本人女性と知り合い日本に帰国して結婚。ただ…、それから問題。奥様が若年性アルツハイマー型認知症になっちゃって。」

小埜瀬、優維香、
「わお。」

「でぇ~~。」
羽恋。
「日本でも膳場を欲しがった経営コンサルティング会社があったんだけど…。奥様が若年性アルツハイマー型認知症だとね~~。中々~~。…結局、働いていた経営コンサルティング会社も辞めて、家で奥様の介護。そんな時に、私の妹がねぇ~~。いつも飲みに行くバーで膳場と会って。余りにもしょぼくれている様子だったらしくって話を聞いてみたんだって。…で、膳場を私に紹介してくれたって~~訳。当然、フルの勤務は無理。奥様が奥様だからね~~。但し、経営コンサルティングに関してのデータサイエンティストとしては、ウチの会社のトップレベル。アメリカで磨いた技術は相当なもの。確かに、どの経営コンサルティング会社としても、欲しい訳よ。」

小埜瀬、優維香、共々聞きながらにして頷いて。

羽恋、
「だから、あなた、私の片腕になりなさい。奥様の面倒、と、言うより介護は私が看る。その辺はどうにでも…。ただ、奥様だって、あなたが傍にいなきゃ。だから、仕事は会社からあなたに全部送る。今時、会社にいなきゃ仕事が出来ない。そんな時代でもないし。ただ、私があなたを必要とする時だけ私の傍にいて。ひとつ返事だった。分かりました。よろしくお願いしますって。だから膳場は、私が必要とするときだけ車で迎えに来るって訳。ふふん。」

小埜瀬、優維香、話を聞きながらにして、
「へぇ~~。」
「凄いんですね~~。レーサーでデータサイエンティスト。うんうんうん。」

羽恋、軽く右手を挙げて…。

ウェイターが近づいてくる。

一言、
「始めましょう。」

ウェイター、一礼をして、
「畏まりました。」

優維香、
「えっ…???」

羽恋、そんな優維香を見てニッコリと。
「ふふ、いいの、いいの。お任せを。」




食事をしながら羽恋、
「…でも、残念だったわね、夢蔵。」

その声に優維香、
「あ、あ~~。はい。」

「まっ。でも…。今回のこの話は…。麟にも話しているけど…。かなり、大掛かり。」

小埜瀬、その声に目を見開き、優維香は、
「大掛かり…。」

羽恋、
「いや。…だって、私のこの話、もぅ、全国に広まってるから。」

瞬間、優維香、瞬いて、アヒルのような口で、
「へっ…???」









好きになれない。   vol,282.    「私の片腕的、存在。」

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