「だから、そのリーダー。」
佐津香。
「さっき、あんたも言ったけど、スタッフコレクションの時に、ジョエルの出展のインテリア。入って来た時に、凄いインパクトって…。…そんな人がよ。」
母の話を聞きながら優維香、
「うん。」
佐津香、続ける。
「…しかも、日本の企業の中で仕事をしている人よりも、世界を股に掛けて、それが世界からも認められている。フリーのカメラマン、そしてフリーター。そういう人が優維香、あなたに自分のデッサンを、はい、これでどぉ…???…でしょう~~。って、普通…、そういう事、言う…???…普通だったら、完璧に上から目線のはずじゃない…???…幾ら、社長が国外からスカウトしてきたって言ったて~~。」
話を聞きながら、そしてスプーンで料理を口の中に、モグモグと優維香。
「う~~ん~~。」
「何れにしても…。」
佐津香も料理を食べながら。そしてお味噌汁を飲んで。
「かなりの凄腕の人がトラディショナル事業部に入って。全く今迄とは異なる環境。当然ながら、右も左も分からない。…けど…、入って来てからは中々どうして。本人も溶け込むように努力している。」
話を聞きながらも優維香。口を捩じりながらも、
「ま、まま。…確かに。」
そんな優維香を見て佐津香、
「ふん。…普通だったらさ、周りの空気に溶け込めないで、オンリーワンスタイルで自分のやり方を貫き通すってもんじゃない。」
目を見開いての佐津香、優維香に教えを施すかのように。
「でもさ。今迄、どうして。あんたの話を聞いている、限りでは…。そういう類の話なんて、欠片も出てこない。」
優維香、口を尖らせたまま。
佐津香、話続ける。
「それよりも尚も。スタッフコレクションから経て、今まで、特に仕事に影響のある事…、それなんて、仕事に関しては…。まま、確かに、メンバーの中では、未だに。中々接触しにくい人たちは、いるかも知れない。」
優維香、
「う…、うん。まだ…。…いるけど…。」
「けどさ。あんたの話を聞いている限り。環境が右肩下がり、どころか、好感触な事ばかり。それに…。…ここが一番肝心な事なんだけど…。そのリーダー、あんたに対して、不平不満って言った事、ある…???」
その声に優維香、仏頂面をしながらも、顔を右左に。
「ううん…。」
「それよりも何も、あんたに自分の発想したデッサンを提示してくれてるんでしょ。確かに、いつの間にか部署からいなくなって、そしていつの間にか席に戻ってる。なまじ、いい加減な人物ではないはず。しかも…、かなり、人間は、出来ていると思わない~~???…おかあさんだったら、そう思う。…けどな~~~。」
両眉を上下に。
「うん~~~。」
そして、
「つまりは…。しょっちゅう、所在不明のその彼の事を、余りに気にし過ぎで…。ほら、新人がすぐさま辞めてく。そういう思考が逆に働いて、自分としては、かなり、意味分かんない人って。決め付けてしまっている。」
優維香、今度は口を捩じりながら、
「ん~~~。」
お皿の料理は、残す数口分。
「あ~~ん、もぅ~~。…でも、どうしてもねぇ~~。まっ。確かに、不平不満のひとつも。…で、結局、私が何か言えば、好感触で、答えてはくれる。」
「でしょう~~~。…それに…、他のメンバーも何も言わない。言わないどころか、同じ悠里さんなんて、あんたとその彼…。さっきもあんた、言ったみたいだけど…。」
佐津香、残りあと一口。そして…。それを食べて、
「ふぅ~~。ご馳走様でした。」
優維香も同じようにお皿の中は…。けれども、顔をグシャリとさせて、
「あ~~ん、もぅ~~。全くぅ~~。」
そんな優維香に佐津香、ニッコリと、
「はは。まっ。そんなに…簡単な事じゃないと。も。思うけどね~~。仕事が順調ならば、まず、言う事なし。いつも通りに、頑張んな。」
お風呂に入り、パジャマでベッドイン。けれども、中々寝付けない優維香、
頭の中は、いつの間にか部署にいない小埜瀬。そして、いつの間にか席に戻っている小埜瀬。
今迄の、そんな風景が次から次へと、巡るように…。
そして、
「あ~~ん、もぅ~~。」
そして、自然に体を捩じらせて、チェストのスマホに手が。
そして…。すぐさま画面をスワイプさせて、ある人物。
けれども…。口を噤んで…。
「いや。」
そして、今度はまた、別の…。けれどもまた…、右目を瞑って、
「…けど…。ん~~。」
そして、左手でスマホを持ちながらも、今度は両腕を上に伸ばして、顔をグシャリと、
「ん~~~。…ったくぅ~~~。きぃ~~~。」
力一杯両腕を伸ばして…。
凡そ5秒程。そして、今度は、両腕をダラリと。
「あぁ。」
その瞬間、
「もしもし。」
一気に優維香、
「へっ…???」
「もしもし、柿崎さん…???」
優維香、いきなりドキン。
「うそ。」
スマホから、また、
「もしもし…。」

好きになれない。 vol,193. 「好感触な事ばかり。」
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庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。
