そんな小埜瀬の声に、武一も峻も、顔を見合わせて、
「へぇ~~~。」
武一、
「確か…。何処にいるのかもサッパリ…って、話。…前に。」
それを聞いての峻、目を丸く、口を尖らせて、そして小埜瀬を見る。
小埜瀬、吉竹に、頭を掻きながら、
「それが…。…いえね。日曜日に…、いきなり電話が掛かってきまして。…日本に帰って来たって。」
瞬間、武一も峻も目を丸く、
「へぇ~~~ぇえ~。」
峻、
「…てぇ~~事は~。今、もしかして…、東京…???…じゃなくても…。どっか…???」
「えぇ~~。日曜日、羽田に着いて、あるとこ寄って、これからホテルだと…。」
吉竹、
「ホテル。」
目だけ上に、
「あ、そっか。泊まるトコ。」
「えぇ。」
峻、
「…なら、小埜瀬さん。」
小埜瀬に右手人差し指をチョコンと。
「一緒に住めばいいじゃないですか~~。今、小埜瀬さん、住んでるトコ、一軒家なんでしょ。しかも、格安って。」
その声に小埜瀬、照れ笑い。
「まっ。そうですけど…。」
そこまで言って、今度は少し強調して、
「そう…ですけど…。」
武一、峻に向かって、カウンターに両肘を就いて、両手を組み、峻をチラリと見て、
「あのな。大学時代から殆ど会っていない。…もぅ…、何年…???」
小埜瀬にもチラリと…。そして、
「それが…、いきなり東京に来て。…しかも…、いきなり一緒に住め。…住む訳ねぇだろ。常識で考えても…。…家を飛び出してったんだろ、息子さ~ん。それなら、尚更…。」
今度は小埜瀬を見て、
「なぁ~~~。」
ビールを一口。
「しかも…。…今まで、何処にいたのか…、さえもお互いに知らねえってんだから。…その辺は、お互いに…。…お互い。」
そこで武一、言葉を止める。
数秒、沈黙。
峻、テーブルに両手を就いて、武一に、
「お互い、何だよ…???」
武一、
「お互い…。」
峻を見て、小埜瀬を見て…。口を尖らせて、
「お互い……。…だよな~~。」
峻、右肘をカクン。頭も、カクン。
「あら…???……。ねぇのかよ。おぃ。」
隆英の両隣りの席に落ち着く麗子と賀寿恵。
そんなふたりに隆英、右に、
「お疲れ様です。」
そして、左にも、
「お疲れ様です。」
麗子、すかさず、
「何飲んでんの…???」
すぐさまグラスを持って隆英、
「ハイボール」
麗子、
「じゃ、私も同じもの。」
賀寿恵も、
「私も、同じで。」
バーテンダー、
「畏まりました。」
「…で…???…どう…???」
麗子。前を向きながらも、そして隆英を見て、ニコリと。
賀寿恵も隆英の横顔を見ながら笑顔で…。
麗子、
「ふふん。」
そして、
「まっ。ファーストインプレッション。そんなに、悪くは…、ないでしょ。ある意味…、手塩に育てている。…って、言うか…。かかかかか。まっ。自分たちで、しっかりと…、育ってくれたかな。…とは、見ている。」
そして麗子、口を真一文字にニッコリと、
「ふふん。…まっ。私の事も、愛してくれてる社員たちだからさ。」
隆英、笑顔で、僅かに頭をコクリと。
「えぇ。そのようです。社長は、社員の顔と名前、全部覚えているって、池辺課長、喜んでましたから…。」
その声に麗子、隆英をチラリと、
「あら、そぅ…???…んじゃ、今度会ったら、ガツンと言って上げなくっちゃ。」
右手拳を振り上げながら…。
隆英、可笑しがりながら、
「いや…。そうじゃないでしょ。」
賀寿恵も右手拳、人差し指だけ出して鼻先に…。クスクスと。
「まぁね。」
麗子。
「あの子たちのお蔭で、スタッフコレクション。」
隆英、麗子に、丁寧にお辞儀をするかのように、
「改めて、おめでとうございます。」
「…てかさ。…あんたもこの辺で、身ぃ~。固めなよ。」
いきなりの言葉に隆英、思わず体が自然に後ろに、
「おっと~~。何処から出てくる、そのフレーズ~~。」
賀寿恵も目を丸く、口を尖らせて…。
バーテンダー、最初は七瀬に。
「どうぞ。」
そして賀寿恵に、
「どうぞ。」
賀寿恵、チョコンと頭を…。
隆英、いきなりの麗子の声に、
「いやいやいやいや。…いきなり、突拍子もない事を…。」
「何言ってんのさ。こんなイケメンで世界を飛び回っている奴、放って置けないじゃないのさ。」
賀寿恵、
「社長。…あ、麗子さん。まずは乾杯…。」
その声に麗子、
「あっ。」
そして、
「んんん。…では。」
隆英、
「では。」
賀寿恵も、
「では。」
3人それぞれ、グラスをカチンと。
「乾杯。」
隆英、麗子に、
「それにしても…。驚きましたよ、麗子さん。いきなりのあの社長会見。まさか…。」
麗子、チラリと隆英を見て、
「リッツカルバン・インターナショナル・ホテルホールディング…???」
「えぇ。」
麗子、
「ありがたい限りだよ。」
「えっ…???」
「私ら、しっかりと、お客様に愛されてるって…ね。つくづく感じる。」
隆英、その声に、口を尖らせて、麗子を見て、
「麗子…、さん…???」
そんな隆英をチラリと見ながら、
「ん~~~???…かかかか。」
僅かに下を向いて。

好きになれない。 vol,074. 隆英の両隣りの席に落ち着く麗子と賀寿恵。
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