真輝のスマホにある人物から。
「えっ…???…愛実…さん…???」
そして、
「もしもし。真輝ですけど…。愛実さん…???」
いきなりスマホから、
「ヨッ、旦~~ん那っ。」
真輝、途端に、
「もぅ~~。揶揄わないでくださいよ~~。」
そんな声に愛実、
「…って~~。何~~に言ってんだか~~。しっかりと、ユズといい感じになってる癖に~~。」
「えっ…???」
大学の帰り道。愛実、歩きながら、
「ユズから話、聞いたぞ~~。この前、新宿で~~。」
その声に真輝、いきなり目を真ん丸に、
「うそ。」
「し~~っかりとユズに告られた~~。傍にいてって~~。かかかかか。」
真輝も駅に向かって歩きながら、口をグンニャリと、
「あ~~~。ははははは。…確かに。」
愛実、
「…で…???…ででででで。何やら、凄いことになってたんだって~~ユズ~~。記憶が…。」
「あ、うん。…とにかく、凄かった。柚香さん、自分の知らない過去の事まで…。2歳の時の事故…。」
「あ、うん。」
「それに…、陽織ちゃんに変わってた事。陽織ちゃんがエンカントで働いている事。」
「うんうんうん。」
「自分としては全く知らない事実。全部、見えちゃったって…。」
「凄いよね~~。しかも…。私と真輝君、そして陽織ちゃんがベンチで…。それに…、新宿で大男から背中をドン。それも知ってるって。」
真輝、
「うん。とにかく、不思議だよ。そして、とても、恐いって…。」
「そっか~~。あっ。でも…。その事って、おばあちゃん、知ってんのかな…???」
そんな愛実の声に真輝、訝し気な顔で、
「…ん…???…ちょっと…、そこまでは~~。」
「当の本人は…、行っちゃったかぁ~~。フランス~~。」
そして愛実、
「コラ。ちゃ~~んと、待ってなさいよ~~。ユズ~~。どんな風になって帰って来るのか、分からないんだから~~。帰ってきたら、旦那だけが頼りなんだから~~。」
その声に真輝、目をパッチリと。そして口を真一文字に、
「わ…かり、ました~~。」
1週間後…。
エンカントでは…。この頃になると、自然に、「陽織」と言う声は…、
自然に、聞こえなくなっていた。
亮輔と阿須賀、そして藪岡、
「確かに。寂しい…って、いうのも…。あるよな~~。今頃…、柚香さん。」
「うん。どうしてんのかな~~。」
「毎日、楽しくやってるって話。教授からだと…。毎日、連絡する事にしてあるから。」
亮輔、
「な~~るほど~~。」
「ただ…。何があっても、心配は掛けたくない。おばあさんには。それを踏まえての、全責任は俺たちにあるから。教授もその考えであたってくれている。」
ルシアも肇も頷いて…。
そして…。肝心の…、汀家では…。
幸乃、あれ以来の…、裕司と萌衣の姿は…。見なくなっていた。
ひとり分の食事を作りながら、
「不思議だね~~。数日に一度は、見てたんだけど。全く…。」
毎食、ひとりで食べる朝と昼と夜と…。
そして…。瞬く間に…、1か月。
羽田空港国際線到着ロビー。
柚香を待ち兼ねる幸乃と藪岡。
そして、単独で羽田に訪れた真輝、愛実、そして亮輔と阿須賀。
藪岡、
「かかかか。まさか、みんなも来るとは。」
真輝は、
「おばあさんから聞いてたし。ならって。」
愛実も、
「私も~~。」
亮輔、
「まっ。俺も真輝から聞いてな。阿須賀に。」
阿須賀も、
「うんうんうん。出発の時は、来れなかったから。」
そんな声を聞きながら藪岡、
「そっか。うん。みんな、ありがと。」
幸乃もニッコリと顔を傾げながら、
「ありがたいね~~。」
藪岡、
「なにやら柚香さん、向うで、駄々をこねたらしい。」
その声にそれぞれが…、
「駄々を…。」
顔を見せ合いながら。
亮輔、
「なんなの一体…???…藪さん…???」
藪岡、クスクスと笑いながら、
「いやね。柚香さん、散々お世話になって…。こんなにまでしてくれて。これ以上は…。日本に、ひとりで帰っていいですか…と。」
瞬間、全員が、
「え――――――――っ!!!」
亮輔、
「おぃおぃおぃおぃ。幾ら何でも、そりゃ無理だろ。」
藪岡、
「まっ。一度は経験しちまった空港のなにやら…。だから…。と、言う事…、らしい。」
幸乃、
「あの子ったら~~。」
愛実、変顔しながらも、
「あははははは。ユズらしいっちゃあ、ユズらしい~~。好奇心の塊~~。」
「…って言うか…。フランス語、分からないし。空港でも…、何かと話さなきゃ。」
真輝。
「…って…、あの子、言い出したら聞かないとこって、あるよね~~。」
愛実。
「…とは言え、幾ら何でも…。初めての外国。しかも…、フランス。言葉、分かんないじゃない。」
そして愛実、
「先生…。…で…???」
藪岡、キョトンとしながらも、
「ふん。…で、サラさん、ある事に気付いた。」
「ある事…???」
亮輔。
愛実と阿須賀、
「ん~~~???」
真輝は、
「……。」

LIBRA~リブラ~ vol,209. いきなりスマホから、「ヨッ、旦~~ん那っ。」
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