ワインを飲みながらの藪岡、そんなフィリップとサラを見て、
「……???」
柚香と幸乃は、遠慮なく箸で料理を。
サラ、フィリップの話にニコニコと頷きながら…。
そして…。
サラ、柚香に、
「柚香さん。」
柚香、キョトンとしながら、
「あ、はい。」
ニッコリとしながら、
「お願いが…、あるんですけど…。」
藪岡も幸乃も、僅かに顔を傾げて、
「…???」
目をパチクリと柚香、
「あ、はい。…なんでしょうか…???」
サラ、柚香に、
「フランスでも、食事の時は、是非、お箸で…。…お願いしたいのですが…。」
瞬間、柚香、
「うそ。」
藪岡、
「おっと~~。」
幸乃も目をパチクリと、
「いいんですか~~???」
フィリップは笑顔で…。
サラ、
「えぇ~~。…出来れば、日本での生活スタイルを、全て、フランスでも…。ファミリーも、それを大歓迎します。…そして…、それが、当然の事ながら、治療、療養にも大きく、反映するはずです。」
フィリップもニッコリと。
「是非、お願いします。」
藪岡、顔を僅かに傾げて、
「素晴らしい。」
柚香、何かしら、熱いものが込み上げて…。思わず小鼻を…。
幸乃も顔を僅かに赤く、そして丁寧に頭を下げて、
「ありがとうございます。」
柚香も、僅かに鼻を啜り、
「ありがとうございます。」
フィリップがまたサラに。
サラ、頷きながら、
「解離性同一性障害。改善するためには、とにかく、周りも全て同じ環境で…。そのまま日本のスタイルをフランスに…。確かに、柚香さんは、今の自分の症状。とにかく、不安なはず。それに…、日本から離れて、全く別の場所で…。幾ら精神科の権威であろうと…、相手は一般の人。」
そこまで話して藪岡を見て、
「藪岡先生の下では…。とにかく、自分自身でなんとかしようと…。」
藪岡も頷いて。
「…けれども…。…どうしても…。自分ではどうにもならない、そういう時が必ず来る。と、思います。私たちを信じて…。確かに、フランスに来れば、言葉は通じない。当たり前の事ですが…。」
フィリップを見て。
フィリップもそんなサラを見て、柚香を見て、幸乃を見て笑顔で。
サラ、
「フィリップの下、私が全面バックアップします。当然ながら、ファミリーもです。」
藪岡、
「ありがとうございます。」
そしてサラ、ニコニコとしながら、
「そして、もうひとつ。柚香さんがフランスに来ること、私のファミリーも、楽しみにしてるんです。大歓迎しますって。」
いきなり藪岡、
「お~~。これは、これは…。」
「ですから柚香さん、是非、治療、療養というより、旅行に来たつもりで、楽しみにして、フランスに。」
そしてサラ、増々ニコニコとして、
「と、言っても、明後日には…。」
そして…。その明後日が…。
その日も藪岡が全面エスコート。
柚香、祖母との別れ際、
「おばあちゃん、じゃ。」
幸乃も笑顔で、
「うん。行ってらっしゃい。」
藪岡も、
「行ってらっしゃい。気を付けて。」
そして藪岡、フィリップとサラと握手を。
そして…。いつまでも見送る幸乃。
「あの子が…、フランスに。」
藪岡、
「えぇ。」
既に、3人の姿は見えなくなっていた。
幸乃、藪岡に深々とお辞儀をして、
「先生、本当にありがとうございます。」
その姿に藪岡、
「いえいえいえ。私の方こそ、一方的にあれこれと。」
「いいえ~~。」
幸乃、
「こんな、夢のような事が…。現実に…。」
「えぇ。…実現しました。」
そして藪岡、幸乃に、当たり前のように。
「私は、素晴らしい事だと思いますよ。」
幸乃、安心したような笑顔で、
「先生に、そういう風に仰って頂けて、嬉しい限りです。」
藪岡、ポケットに手を入れて、
「じゃ、帰りましょうか。」
幸乃、
「はい。お願いします。」
「喜んで。」
「朝早くからすみません。」
その声に藪岡、
「とんでもない。初めての海外、柚香さんには出来ればトランジットのない、直行便の方がいいかと。…と。言う事で教授の方から直行便の指示がありましたから。航空便を探すと、必然的に。」
「重ね重ね、ありがとうございます。」
幸乃、歩きながら藪岡にお礼のお辞儀を…。
自宅で真輝。そしてこちらも自宅で愛実。そして亮輔と阿須賀は共にそれぞれのアパートで…。
「柚香さん。」
「ユズ~~。」
「行っちまったかぁ~~???」
「行っちゃったね~~。」
そして…、ルシアと肇も…。
「今頃は…。」
「飛行機の…中かぁ~~???」
熊沢も、朝の病院の屋上で、
「行きましたか~~~。…これから…、1か月…。」
機内でサラ、窓際の柚香に、
「柚香さん。」
柚香、
「あぁ、はい。」
「今日から、私の事を、サラと呼んでください。」
その声に柚香、いきなり目を真ん丸に、
「うそ。いやいやいや。とんでもない。そんな…。」
そんな柚香にサラ、ニッコリと、
「ふふ。私も柚香さんの事を、柚香。と、呼びますから。その方が、ナチュラル。」
柚香、顔を赤らめて、
「いいんですか~~???」
「もちろん。」

LIBRA~リブラ~ vol,207. 「フランスでも、食事の時は、是非、お箸で…。」
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庄司紗千 花笠音頭
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
