「電話での…、汀さんの話によると…。」
惠都子と松峰を見ながら熊沢、電話での内容を話す。
松峰、腕組みをして、
「ん~~~。…何とも…。つまりは…、霊…。心霊現象…。」
惠都子、
「…何かが…、ある…???」
熊沢、
「私にも…、何とも…。…とにかく、おばあちゃんには、信じる以外にありません。我々は、常に、信じています。と、念を押してはいるんですが…。」
そして…。陽織になったままで…。またしても1週間が過ぎた。
陽織にすれば、未だに姉の柚香には戻らない状態で…。
ただ、毎日ではないのだが、日数を置いてエンカントには通っていた。
いつもの時間と同じように。
そして…。普通なら、夜中に見せに入って午前3時まで。そして家に帰って朝。
そして、それから大学に行く。そういう生活を繰り返していれば、必然的に体の方が…。
確かに、意識は陽織であっても、身体は柚香のまま…。
確実に身体の方が疲労困憊、するはず…、なのだが…。
一向にその気配は…。それを気遣ったのが、ルシア始め、始めも亮輔も阿須賀も。
そのせいか、店ではルシアも肇も、客の手前、陽織にその事を話す事は…。
ただ、陽織に、耳打ちするようには…。
けれども陽織の方が目を丸くして、口を窄ませて、首を振る。
そして、ニッコリと。しかし…。
亮輔と阿須賀が行く、大学近くのいつもの店で…。
亮輔、
「陽織ちゃん、いい加減に、店に行くの。」
阿須賀も、
「そうだよ。そんな…、深夜~~。夜中だよ~~。まっ。確かに、私や亮輔は~~。まっ。当たり前って言ったら、変だけどさ~~。もぅ…、体、慣れちゃってるから~~。…それに…、大学の方だって…。…そんな…、自分のペースで…。…優等生って訳じゃないし…。…何て言うの…、遊びと勉強…、ある意味、両立って言ったら変だけど~~。」
亮輔、いつもより厳しい表情で、
「体が…。」
そこで口ごもり、
「…いや…。こんな事、陽織ちゃんに言ったら、申し訳、ないんだけどさ。」
目をキョロキョロと、口を尖らせて、
「体…は。」
そして、
「ルシアも肇さんも、心配…。」
その声に陽織、
「分かってる。分かってる。…でも。オーナーにも、店長にも言われた。…でも、体は大丈夫。…って、言うか~~。…私にも、分かんないんだけど。…自然に、体の方が、動いちゃう。」
その声に亮輔も阿須賀も、両眉の先端を吊り上げて、
「自然に、体の方が、動いちゃう…???」
そしてふたり、共に、顔を見合わせて…。
亮輔、顔だけ前に、陽織に、
「…って、どういう事…???」
陽織、
「私、夜の9時には、普段と同じように、ベッドに入るの。」
キョトンと亮輔、
「健全な生活スタイル。」
瞬間、阿須賀、
「ぷっ。…って、亮輔。」
可笑しがりながら…。
「まっ。私は、昔っから、夜更かしばっかりだったから。自然に体は…。」
亮輔、そんな阿須賀に、左目を歪ませて、
「昔、ヤンキーだもんな~~。」
「うるさい。」
陽織、
「…けど…。不思議に夜中に目を覚ます。…で、足がそのまま、進んじゃう。…で、3時には店を出て~~。家では朝、目を覚ます。…でも、体自体は、全く、なんでもない。」
目を真ん丸に。そして口を尖らせて。
阿須賀、
「そんな事って…、有り得る…???…つまりは…。…数か月前までは、って言うか、1か月…半…前…???」
亮輔、阿須賀のその声に、
「まっ、ま~~。そんな…、感じ…???」
「体は…、柚香さん…なのに…。」
「とにかく。」
陽織。
「私は、この通り、何でもない。大学にも通えば、夜に、店にも出る。そして~~。亮輔と阿須賀とも、今まで通り。」
「いや。」
亮輔、
「それは…、確かに。…嬉しいけどさ~~。」
阿須賀を見て。
阿須賀も、亮輔を見て、
「う、うん…。」
「…で…、何…???…今、真輝とは連絡。…それに…、友達の…。え…と~~。」
阿須賀、
「愛実さん。柚香さんの友達。」
「あ、そぅそぅ。その…。」
「ん~~~。」
陽織。
「連絡は…、ないよね~~。…私も…、特に…。…それに…。私。お姉ちゃんからの、あの、メモ。」
その声に亮輔と阿須賀、
「あ、あ~~。うん。」
「あのメモ、おばあちゃんにも見せたんだ。…そしたらおばあちゃん、うん。柚香だったら、こうするよって…。とにかくあの子は前向き。うじうじはしない。やるっきゃないって思ったら、その通りにする。だから何でもかんでも。自分で行動。好奇心の塊。…それに…、かかか。推理好き。」
いきなり亮輔と阿須賀、
「ぷっ」
「かかかかか。確かに。」
阿須賀、
「藪岡先生のところに行ったときも、そういう事、言ってた。落ち込んでなんていられない。そういうの、私、嫌なんですって。」
「そういう割に、酒が飲めない。」
亮輔。
阿須賀、右眉を歪ませて、
「亮輔。」

LIBRA~リブラ~ vol,170. 「電話での…、汀さんの話によると…。」
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