真輝、肩まで左手を。
藪岡、初めて見る女性の顔を見て、真輝を見て、
「うん…???」
陽織、店に入ってきた愛実を見て、ニッコリと。
愛実、困ったような笑顔で…。
そして、その場に立ち尽くしてオロオロと…。
真輝、そんな愛実に、
「愛実さん。」
愛実、僅かに泣きそうな顔で、
「真輝…くん。」
真輝、隣の椅子を勧める。
ルシアも肇も、
「???」
真輝、3人に、
「柚香さんの友達の…。愛実…さん。井島…???」
愛実、チョコンとお辞儀をして、
「井島…愛実…と、言います。あの…、ユズの…。あ、いえ…。柚香…さんの。」
真輝、
「陽織ちゃん、変わった時に、先生や僕、そして愛実さんや亮輔、阿須賀さん。多分、スマホに入ってるラインに…、送ったようで…。」
藪岡、コクリと、
「なるほど…。」
すると、いきなり外からだろうか、とんでもない音が…。
客たちもその音に驚いて、それぞれが、
「何…???」
「何だ…???」
「この音って…。」
ドアがまた開いて…。
「ひぇ~~~。雨降って来た~~。」
藪岡、後ろに振り向いて、
「おぅ~~、亮輔~~。」
「あ~~んもぅ~~。車から降りた途端に、いきなりドシャ――――――ッて~~。」
亮輔の後ろから阿須賀。
ルシア、そんな阿須賀を見て、
「な~~にぃ~~。ずぶ濡れ~~???」
亮輔、
「いやいやいや。いきなりだぞ。今の…???…降ってきたか…???…と、思った瞬間。どば―――――――っ。バケツをひっくり返した。なんてもんじゃないぜ。俺たちに何か、恨みでもあんのかぃ、雨の野郎~~。」
ルシア、阿須賀と亮輔にタオル。
「はいはいはい、拭いて、拭いて~~。風邪引いたらとんでもない。」
陽織は、そんな亮輔と阿須賀を見て、
「凄い。ずぶ濡れ。」
ルシアは阿須賀の髪に肩にとタオルで…。
亮輔は受け取ったタオルで頭から…。
藪岡、
「いきなりだったか~~。」
亮輔、タオルで体を拭いていながらにして真輝を見て、
「へっ…???」
そして、
「何…???はっ…???…真輝…???」
その声に阿須賀も、
「あっ。ほんとだ~~。どしたの…???」
そして、阿須賀、真輝の隣に座っている女性を見て、
「…でぇ~~。」
亮輔も、初めて見る顔に、
「あっ。」
真輝、ふたりに、
「柚香さんの友達の井島愛実さん。」
藪岡、
「…だ、そうだ。」
そして藪岡、女性に、頭をコクリと。
「初めまして、藪岡と申します。」
そして、
「そして、今、入ってきたのが、柚香さんと同じ大学の、染谷亮輔。そして、広戸阿須賀さん。」
真輝、
「藪岡先生は…。…と、言うより、亮輔も阿須賀さんも、名前はもぅ。」
その声に愛実、コクリと、
「えぇ。…あ、はい。」
自然に、愛実の隣には阿須賀、そして亮輔。
亮輔、
「俺たち、陽織ちゃんからライン。…で。な。」
阿須賀を見て。
阿須賀も、
「うん。」
その声に愛実、
「私も…。なんです。」
陽織、客たちの食べ終わったお皿をトレイに。
そしてカウンターの中に。既に肇は、再びそれぞれの飲み物を…。
そして陽織、黙って汚れ物を…。
その姿に愛実、
「凄っ。ユズ…。あ、じゃなかった、陽織ちゃん、手慣れてる~~。」
そして陽織、片付いて、自分の席に。
「私ね。起きて着替えている時に、机の上の、メモ、見たんだ。」
その声にそれぞれ、
「メモ…。」
コクリと陽織。
「多分、柚香、お姉ちゃんが書いてくれてたんだと…、思う。」
陽織、肇に、
「店長~。私のバッグ。」
肇、
「おぅ。」
そして陽織、バッグの中から一枚のメモを。
そしてそのメモを亮輔に。亮輔、そのメモを真ん中に。
愛実と真輝、
「陽織、また私があなたに変わった時に、みんなにその事、伝えて。」
そして、そこからは愛実が、
「…なんだか、私たちの事で、みんなに、迷惑掛けているよう…、そんな風にも思うけど。…けど。…けど、それはそれでもぅ。仕方のない事なんだよ。とにかく、陽織が陽織でいられる時間、思いっきり楽しんで。いつまで、こういう時間、続くのかは分かんないけど。とにかく楽しんで。藪岡先生。真輝君。メグ。亮輔さんに阿須賀さん。伝えて。お願い。」
お洒落な紙に…。もちろんだが、後ろの客たちに、今読んだ愛実の声は聞こえていない。
藪岡、
「そっか~~~。」
真輝、
「あの、なんですけど~~。陽織ちゃんが柚香さんに戻る時。」
そして愛実にも、
「ほら。あの時。」
愛実、その声に、
「えっ…???」
「ベンチに体育座り。」
愛実、目をキョロキョロと、
「体育座り…。あ、あ~~。」
そして愛実、陽織に、
「陽織ちゃん、前に、私と真輝君と一緒の時、ベンチに体育座り、してたよね。」
陽織も、
「体育座り…???」
「ほら。膝を折って両足を両腕でこぅ…。」
「あ~~。あ~~。うん。」
「その時~~。陽織ちゃん、前に転がりそうに。」
「あ~~。うんうんうん。あった、あった。」
けれども陽織、顔を傾げて…。
「…けど…。それから…。記憶…、ない…???…かも…。」

LIBRA~リブラ~ vol,159. 陽織、店に入ってきた愛実を見て、ニッコリと。
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庄司紗千 「雫音〜shizukune〜」
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
