真輝、夕食を食べながらも、何かしら浮かない表情で…。
そんな兄を見て咲耶、
「ん~~~???…お兄ちゃん、もしかし…、彼女に、振られた…???」
愛佳も真輝を見て。
けれども真輝、咲耶の話を聞いているのかいないのか…。
咲耶、顔を傾げて、
「お兄ちゃん…???」
愛佳も、遂に、
「真輝っ。」
瞬間、真輝、小刻みに顔を奮わせて、
「えっ…???へっ…???何…???」
途端に咲耶、顔を傾げて、
「あ~~ん。だめだこりゃ。完全に、落ちちゃってるわ~~。ふ~~~ん。…ってか、振られた…って訳じゃ…。」
咲耶、目をキョロキョロと…。そして、
「うんうんうん。振られたんじゃ、ご飯どころじゃ…、ないか。」
自身で納得したように数回頷いて。
愛佳、
「食事くらい、シャキッとなさい。一緒に食べてるこっちの方が美味しくないじゃない。」
その声に真輝、申し訳なさそうに、
「あ、ごめん。」
「まっ。その…子の…、事でしょうけど~~。」
その声にいきなり咲耶、母親に、
「何っ!!!…何々何、かあさん。」
体を前に突き出すように、
「お兄ちゃんの彼女…???」
咲耶の、その、「お兄ちゃんの彼女」と言う声に、真輝、いきなり顔を赤くして…。
咲耶、
「キャハ~~。お兄ちゃん、赤くなった~~。」
愛佳、真輝に、
「別に、いいでしょ~~。…もし、そうなら…、かあさんたちも、応援しなきゃ。あんた、ひとりで抱えてたって。」
そんな話に咲耶、今度は目を真ん丸に、
「えっ…???…何々…???…もし、そうならって…???…応援しなきゃって、どういう事…???」
愛佳、食事をしながらも、
「うん。あのね。」
真輝、そんな母に、
「かあさん。」
「逆に。」
愛佳、
「あんたはまだ分かんないかも、知れないけど…。かあさんたち、あんたの困った顔、悲しそうな顔、落ち込んだ状態。ん~~。あんまり、見たくないの。」
咲耶、そんな母の声に、今度は両眉の先端を吊り上げて、
「うん…???…どういう事…???」
愛佳、続ける。
「まっ。確かに人生上、そういう事が、一度はあっていい。とは、思うんだけど~~。避けられない事であれば…。それはもぅ~~。うん。仕方がない。事、なんだろうけど…。…でも、一応…、心の準備、だけは、しておいた方は…。」
咲耶、顔を傾げて、
「増々、分かんない。」
愛佳、
「とにかく。普通の状態…じゃあ~~ない。」
またまた咲耶、母のその声に、
「はっ…???」
「ん~~~。お兄ちゃん、真輝の、今、お付き合いしている彼女さん…???…ある、病気、抱えてるんですって。」
咲耶、口を尖らせて、
「病気…???…なんの…???」
「まっ。そうは言っても、体のどこにも、悪いところはない。そうでしょ、真輝。」
真輝、母の声に、僅かに頭を。
咲耶、
「お兄ちゃん…???…って、かあさん。」
母を見て咲耶、
「体のどこも、悪いところはないって…。それでも、病気…???」
愛佳、ゆっくりと顔を頷かせて、
「そっ。」
咲耶、
「何なの…、それ…???」
「解離性同一性障害…って言って。」
咲耶、目をパチクリと、
「か、か…、かいり…せい…???…って…???」
「つまりは、自分の体に、別のもうひとりの意識が…。ん~~。乗り移るって言ったら…、答え…、か、なぁ~~。」
咲耶、
「はい…???自分の体に、別のもうひとりの意識…。乗り移る…???」
「つまりは~~。咲耶。あんたの身体に、別のもうひとりの意識。あんたが咲耶じゃなくって、別の人になる。…って事。」
いきなり咲耶、
「うそ―――――――っ。」
「そういう、症状が…。現実に、ある。」
愛佳。
咲耶、思わず、顔をグシャリとさせて、
「わっ。気持ち、悪ぅ~~~。」
そんな咲耶の顔を見て愛佳、
「咲~~~耶っ。」
咲耶、途端に目を丸く、そして顔を引っ込めるように、
「あっと。…あ、はい。…ごめんなさ~~い。」
愛佳、真輝をちらりちらりと見ながら、
「それで…???…悩んでるんでしょ。」
真輝、中々箸が進まない。
「あ、あ~~。う、うん。」
「まっ。」
愛佳、
「仕方、ないっちゃ~~。仕方がない、事、なんだけど。とにかく。あんたが、それほどまでに、気にしてるんじゃ、この際。その子の事、見守ってあげなさい。かあさんもとうさんも、陰ながら、応援はする。」
「えっ…???」
咲耶。
「何…???…とうさんもこの事、知ってるの…???」
その時、玄関のドアが、
「今、帰ったぞ~~。」
いきなり咲耶、椅子から立ち上がり、
「とうさ~~ん。」
愛佳、咲耶に、
「咲耶っ。行儀悪い。」
咲耶、玄関に、
「とうさん、とうさん。」
いきなり玄関に駆けてきた咲耶に吾大、
「どうした~~、いきなり~~。」
咲耶、
「ねね。」
「う~~~ん…???」
愛佳、真輝に、
「…と、言う事は…、その子、また…???」
真輝、おもむろに頭をコクリ。
吾大、その後ろから咲耶、リビングに。
そして、吾大、真輝に、
「えっ。おま…。その子…。」

LIBRA~リブラ~ vol,152. 「…お兄ちゃん、もしかし…、彼女に、振られた…???」
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