「確かに。毎日、泣いたって記憶はある。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

ドキドキ  「私…。小さい頃に、おばあちゃんに、他所の子にはおかあさんとおとうさんいるのに、なんでって、何度も聞いた記憶あるよ。…でもおばあちゃん、正直に、柚香のおとうさんとおかあさんは、柚香が2歳の時に、交通事故で死んじゃったんだよって。」
柚香、歩きながら…。

真輝はその話に、
「……。」

「家の…、茶の間の仏壇にも、その頃のおかあさんとおとうさんの写真。…そして…、妹の陽織。赤ちゃんの時の。もぅ~~。それ…、受け入れるしか、なかった。」

真輝、柚香を見て、
「……。」

「確かに。毎日、泣いたって記憶はある。それに…、子供の頃の誕生日には…。いつも…、おばあちゃんとふたりだけ。…でも…、小学…、知らない間に、それが…、もぅ~~、当たり前になっちゃってて。」
真輝を見て。
「…で、ほら。毎年、夏休みには長野に。」

真輝、
「あぁ~~。おかあさんの実家の…。」

柚香、
「うん。そこに行くのがもぅ~~、待ち遠しくって。何時間でも、夜の星、見てた。」
そして柚香、真輝を見て、
「だから、いいよ。別に…。私に両親がいない事、別に真輝君、気にする事なんて、全然。」
そこまで言って柚香、
「逆に私…。そんな風に真輝君に思わせて…。…申し訳ないなって…。」

真輝、途端に柚香に、
「あ。いや。いやいやいや。とんでもない。僕は…。…いや…。なんて言うか…、その…。」

いきなり柚香、
「もぅ~~。真輝君。」

突然、真輝、
「えっ…???」

柚香、真輝を見て、
「めんどくさい~~。」


既にふたりは、吾妻橋、半分を渡り切っていた。


瞬間、柚香、そんな真輝に、舌をチロリ。そして右目に指を、
「べぇ~~。」
柚香、そう言いながら駆け出す。そしてまた真輝に振り向き、ニッコリと、
「行こう。」

真輝、頭を掻きながら、
「めんどくさい。っか。」
そして、前を行く柚香に、
「ちょっと、待って~~。」





休憩時間、自販機で炭酸水を、亮輔。スマホに一件の不在着信。相手は真輝。
「ん~~~???」
廊下に出て、そして外に。そして画面に指でトン。



観光客や様々な人種。もちろん地元の人などでごった返ししている仲見世商店街。
そんな中で真輝のジーパンのポケットの中のスマホに着電。

ようやくその着電に気付いた真輝。
「おっと~~。」

せんべいを食べながらの柚香、真輝に、
「誰…???」

真輝、画面を見て、柚香を見て、
「亮輔。はは。」
そして、
「もしもし。亮輔…???」

スマホから聞こえる亮輔の声、
「おぅ。俺だけど…。」

真輝、右耳を塞いで、
「えっ…???…何…???…聞こえない。」

亮輔、スマホを耳に、
「…ん…???…なんだよ、この、うるさい音。何処いんだよ…???もしもし。」

真輝も、
「もしもし。亮輔…???お~~い。」

亮輔、
「何、ガヤガヤと。…ったく~~。」

真輝、スマホからの声が全く聞こえず、あちらこちらを…。
「もしもし。」

真輝、柚香に首を振って、
「全然、聞こえない。」

柚香も口を尖らせて、あちらこちらを見て、頷く。

その内、真輝の耳には、
「プー、プー。」
真輝、耳からスマホを外して、
「切れた。」

柚香、あちらこちらを見て、右手に食べ掛けのせんべい。
「仕方ないよ、この賑やかさ。半端ないもん。」

真輝も、
「だな~~。」


そしてふたり、浅草寺にお参りしながら…。
そして真輝、ようやく賑やかさから解放されての、スマホに、トン。


休憩時間が残り1分。

亮輔、
「もしもし、真輝かぁ~~。」

「あぁ~~。さっきはごめん。全然聞こえなくってさ。」
「おまえ、今、何処いんの…???」

「浅草。」
「浅草…???…なんで浅草。」

「陽織ちゃん、柚香さんに戻った。」

いきなり亮輔、椅子から立ち上がり、
「うそ。マジかっ!!!」

そんな亮輔を見て周りの職員が、
「うん…???」
「彼女がどうした…ってか…???…亮輔、モテるし。かかかか。」

そんな職員に亮輔、ニコニコとしながらペコリと。いそいそと廊下に。

そして、
「マジで…???」


常香炉からの煙を体に浴びながらの柚香を見ながら真輝、スマホに、
「あぁ。2時間くらい前に。朝、陽織ちゃんから頼まれて、どっか連れてけって言われて。」

亮輔、
「へぇ~~~。」

スタッフルームから次々と職員が…。亮輔に笑いながら、
「早く来いよ。ヤング。」
「彼女からの電話か~~。いいねぇ~~。」

そんな職員を見ながら亮輔、申し訳なさそうに笑顔で、頭をコクリ。そしてスマホに、
「悪ぃ~~。俺、これから仕事。」

真輝、
「…仕事…???」

「あぁ…。バイト、やってんだ。整備工場。」

瞬間、真輝、目を真ん丸に、
「凄ぇ~~。」

「じゃ、切るな。」

プツリと切れる。

真輝、スマホを見て、
「切れた。」

柚香、
「亮輔さん、なんて…???」

「あ、あ~~。陽織ちゃんから柚香さんに戻ったってのは、伝えた。亮輔、これからバイト。整備工場だって。」

その声に柚香、
「へぇ~~。凄~~い。」








LIBRA~リブラ~   vol,136.「確かに。毎日、泣いたって記憶はある。」

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