「なんだよね~~。…きっと。」
愛実。
真輝も、
「うん。」
そしてふたりは世田谷駅の前で別れる。
愛実、真輝に、
「じゃね。」
真輝、
「うん。じゃ、また。」
愛実は駅に入って行く。けれど一度後ろを振り向いて、大きな声で、
「真輝く~~ん。」
すると真輝も振り向いて顔を傾げる。
「うん…???」
何か知りたいような顔で。
愛実、
「ユズの事…。」
いきなり車のパーカッションの音。愛実の声が口パクになる。
真輝、耳に右手を当てて。
愛実はグンニャリとさせてパーカッションが聞こえた方をチラリと。
そして、真輝に、「…いいや。」とでも言うかのように右手を振って、また後ろを振り向いて。
真輝も、
「…仕方がない」とでもいう顔をして、後ろを…。
愛実、駅の改札を通りながら、小さな声で、
「頑張れよ、旦那様~~。」
真輝は、
「さてと。帰って飯だ。」
ポケットのスマホに着電。真輝、すかさず、そして、
「あ、もしもし僕です。」
「あっ、俺、亮輔だけど…。その後…、陽織ちゃん…。」
「あぁ。うん。僕も帰ってすぐに柚香さんのところに…。けど、途中、柚香さんの友達の愛実さんにあって…。そしたら、まだ陽織ちゃんのままだって…。」
亮輔アパートでコンビニ弁当を…。
「ふ~~ん。そっか~~。ふん。柚香さんの友達。」
真輝、スマホに、
「あぁ。」
亮輔も、
「うん、分かった~~。じゃな~~。」
通話は切れる。
夜の9時。
さすがに陽織、初めての外出で疲れが出たのかベッドに入るとスト―――ンと眠りに…。
…そして…。朝を迎えた。
目覚めてすぐに、
「えっ…???」
そして…、
「結局…。…また…、私…か。」
柚香には戻ってはいなかった。
すると今度は陽織、両肩をガックリとさせて…。
「今日一日…、どうしよう~~。」
そして額に右手を…。指は髪の中に、
「困った~~~。」
そして陽織、パジャマのままでゆっくりと部屋を出て下に。台所に、
「おはよう、おばあちゃん。」
その声に幸乃、後ろを振り向いて、
「おや。」
そして、ニッコリとさせて、
「陽織かぃ。うん。おはよ。」
瞬間、陽織、
「えっ…???…なんで私が柚香、お姉ちゃんじゃなくって、陽織だって、すぐに分かったの…???」
その声にコンロに振り返って幸乃、
「そりゃすぐに分かるよ~~。」
いきなり陽織、台所の入り口から離れて祖母に、
「えっ…???…なんで…???…なんで…???」
幸乃、オタマから小皿に…。
「だって、柚香ならおばあちゃんが、ご飯~~って、呼ばないと起きてなんかくるもんか~~。」
その声に陽織、目をぐるりと、
「あっ。そっか。…そういう事~~。」
その声に幸乃、
「…と、言うか、陽織、おま…。今、私の言った事…。意味、分かってんのかぃ…???」
すぐさま陽織、目をパチクリとさせて、
「ふん。分かる。」
すると幸乃、妙に納得したような顔で、
「へぇ~~。」
頷く。
陽織、
「お姉ちゃん、おばあちゃんに、ご飯~~って言われないと起きて来ない。」
「そぅそぅ。陽織、おまえ、凄い物事、分かるんだ。はは。凄い子だよ。」
「ただ…。見るものは初めてのものばりで…、全然。全く分かんないけど…。」
幸乃、優しい顏で、
「そりゃま、仕方がないさ。ついこないだ、柚香から陽織に変わったばかりだ。」
ルシアから藪岡のスマホに…。
藪岡、
「えっ…???…店には来なかった…。」
目をキョロキョロと。
ルシア、
「うん。…残念ながらね~~。…ある意味…、期待…、してはいたんだけど~~。」
「そっか~~~。…ってぇ事は…、もしかして…、柚香さんに…???」
ルシア、スマホからの声に、
「う~~ん。こればっかりはね~~。」
藪岡、
「分かった。わざわざありがと。……。うん。じゃ。」
有美香、
「誰…???…かか、朝から…。」
海路、
「うん。ルシア。」
亜葵乃、慌ててキッチンに。
「ヤバイ、ヤバイ、遅れる~~。」
椅子に座ったかとは思うと、すぐさまトーストにジャムを。そして一口二口。
そしてコップに入っているミルクを飲んで、すぐさま椅子から立ち上がり、
「行ってきま~~す。」
「…って、亜葵乃、お弁当~~。」
「あん。ヤバイ、ヤバイ。うん。ありがと。」
すぐさま玄関に。
海路、
「お~~い、そんな慌てて大丈夫か~~。」
玄関の方から、
「大丈夫~~。」
有美香、口をへの字にして、
「何やってんだか。」
海路も困った顔で、
「しょうがない奴だな~~。」
「誰に似たんだか…。」
その声に海路、妻を見て、
「はぁ~~あ…???」
陽織、祖母から言われた通りに、柚香のスマホを部屋から。
いろいろと説明を聞いている内に、いきなりリズムカルな音色が。
幸乃、
「おや。ははは。」
陽織、
「これが…、掛かってきた…電話…???」
幸乃、頷いて、
「うん。そうだよ、こうやって、指でヒョイ。」
陽織の右手人差し指を…。
すると、画面には、「通話中」の文字。幸乃、
「出てみな。」

LIBRA~リブラ~ vol,124. 小さな声で、「頑張れよ、旦那様~~。」
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