そんな風に呟きながらの男性に、傍でその男性の右腕を左腕で絡めながらの女性、
「何、ボソボソ言ってるかな〜〜。亮輔〜〜。」
そんな女性に男性、
「うん…???あ、ははははは。いやいや。うん。何でもない。」
「今日も、行くんでしょ。エンカント。」
そんな女性に、右腕を占領されている女性に亮輔と言われる男性、
「さ〜〜て〜〜。どぅすっかな〜〜。」
その声に女性、
「もぅ〜〜。意地悪なんだから〜〜。」
「まま。はははは。俺にだって、いろいろとやる事あんの。」
「な〜〜によ〜〜。いろいろって〜〜。私以外の女と〜〜???」
「さ〜〜てと〜〜。どうでしょうか〜〜。」
「もぅ〜〜〜。いいじゃないさ〜〜。両親が、お医者さんなんだから〜〜。」
その声に亮輔、
「お〜〜い、おいおいおい。阿須賀(あすか)。おま…。俺の両親が医者だからって、俺にくっついてんのか〜〜???」
「そうじゃないけど〜〜。」
女性、頬っぺたを膨らませて…、
「もぅ〜〜〜。」
深夜1時。暗闇の中で静かに眠っている幸乃。
店の裏口から…。
そして…、スタッフルームと呼ばれている6畳くらいの部屋で着替えをして店のカウンターに。
「オーナー、店長〜〜。入りました〜〜。」
その声にオーナーと呼ばれた女性、
「あ〜〜はい。陽織ちゃん、いらっしゃい、お疲れ〜〜。」
店長と呼ばれた男性も、
「ヨッ。こんばんは〜〜。」
店の客も、
「おっ、陽織ちゃん、来たね〜〜。一杯、どうだ。ビール。」
その声に陽織、
「はは。来て早々、いいんですか〜〜???」
オーナーと店長を見て陽織。
そんな陽織にふたりもニッコリと、
「頂いちゃいなさい。奢りなんだから。はは。」
陽織、その声に、
「お言葉、頂きました〜〜。」
そしてグラスにビールを注いでもらって、
「いただきま〜〜す。」
半分ほど、一気に。
そして、一呼吸置いて、また喉に…。
客も、
「おぅ、いい飲みっぷりだね〜〜。」
けれども、それ以上にビールを進める事はなく…。
「今日も、陽織ちゃんの顏が見れる。楽しませてもらうよ。」
その声に陽織、
「ありがとうございま〜〜す。」
そんな陽織をカウンターで黙って見ながら飲んでいる男性。年齢は50代だろうか。
「ママ、新しいバイト、雇ったの〜〜???初めて見るけど…。」
カウンターの中でバーテンダー、
「いえ。バイトじゃないんです。…と、言っても…。はは、何と言って説明していいか…。」
その声に男性、
「はっ…???」
バーテンダー、オーナーの女性に顔を…。
オーナーと言われる女性。日本人ではなく、スペイン人である。
名前をルシア・大越(おおこし)。
「2週間くらい前…だったかしらね〜〜。」
流暢に日本語を話す。
「いきなり店に入って来て、店をあちこち見て、ほら、今、あんたが座っている椅子に座って。後ろの客を見て、同じもの、下さいって…。私も肇(はじめ)も顔を傾げたけど…。まま、20歳は過ぎているだろうからと…。ビールをね〜〜。…そしたら、途端に顔が赤くなって…。とにかく、それでストップ。とにかく、見慣れない顔だったからさ。…なんだけど〜〜。やたらと他の客に愛想が良くって…。顔は赤いんだけど…、それほど酔った感じも見せない。」
男性、
「ふん。」
バーテンダーもニッコリと。
「その内…。私、そろそろ…。って事になって…。…けど…。結局は、お金…持ってなかったんだよ。」
「おや。」
「…で、肇が、お客様…???って顔で見たら、いきなり、働かせてくださいって…。」
「ふ〜〜〜ん。」
「…って言うか…。まっ、どんな子なのか、全然分かんなかったけど…。とにかく皿洗いから…。」
男性、
「ふんふんふん。」
「するとどうだい、何と、手際がいいのなんの。…しかも、もの凄い、気が利く〜〜。…で…、聞くと、3時までしか働けないって言うじゃない。まっ、別に店に迷惑掛けている訳じゃないから…。まっ。好きなだけやってみな。…ってね。」
「へ、ぇ〜〜〜え〜〜。」
「どっかの大学生か…。まっ。分かんないけど…。世の中、いろんな子、いるから。…で、1週間過ぎたら、なんか…、客入りが変わってね〜〜。」
「ほぅほぅほぅ。」
「1時過ぎた辺りから、陽織ちゃん目当ての客が増えた。」
「何と。」
「まっ。3時にゃ〜〜、帰っちゃうんだけどね〜〜。」
「どこに住んでんの…???」
その声にルシア、
「藪(やぶ)さん。野暮でしょ。そういうのは…。」
藪と呼ばれた客、顔を歪ませて、
「はは、申し訳ない。」
けれどもその女性を見ながらにして、
「ふんふんふん。何とも、愛嬌があるね〜〜。」
店の客も陽織を歓迎してくれている。
店のドアが開く。店に入ってきた男性と女性。
ルシア、
「はい、亮輔、いらっしゃ〜〜い。」
「こんばんは、ルシア。」

LIBRA~リブラ~ vol,027. 「オーナー、店長~~。入りました~~。」
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