虎一郎、天井を向いたまま、
「ふ~~ん~。輪湖も…蝶の夢~~。…けど…。なんで蝶が出てくるんだろ。」
「ふん。…なんでだろうね~~。」
そして匡子。両膝を両手でペン。
「ほぃさ。コイッちゃんの顔も見れたし。準備してきたものは全て完了。後は、何とか、コイッちゃん、ひとりで…。…大丈夫かな~~???」
そんな匡子に虎一郎、掠れた声で、
「あざっす。」
「両親には…???」
その声に虎一郎、首を振る。
「コホッ。コホ。…俺、インフルって言えば、飛んでくる。それだけで電車賃、何万も…。勿体ない。」
その声を聞いて匡子、優しい顏で、
「にぃ~~。なっちゃうね~~。うん。」
そして、
「じゃ。サブちゃん、帰ろ。」
佐武郎もニッコリと虎一郎に手を振って。
虎一郎、佐武郎に笑顔で、
「ありがと。」
佐武郎、笑顔で顔を左右に。
葉子と輪湖、午前の仕事中、
「匡子さんとサブちゃん。着いたかな~~。」
向かい席で輪湖も、
「うんうんうん。ありがたいよね~~。」
パソコンの画面の表を見ながら葉子、
「だ~~ねぇ~~。」
すると葉子、
「ふん…???…これって…、もしかして…、偶然…???」
葉子、気になって表のある部分をコピー、そして別にペースト。
全く異なるコメントではあるが、逆に全く意味不明なコメント。
それに、日付に僅かにズレかある。
「これってぇ~~。…もしかして…。」
更に10数年前まで遡る。いきなり葉子、
「主任、課長~~~。」
その声に財務企画全員が葉子に注目。
輪湖、立ち上がり、
「どうしたの…???」
紫、蔵井氏も葉子のデスクに。
「どうしたの…???」
「どうした…???」
葉子、
「今、仕上げてます。」
葉子、キーを叩いてひとつの表に。そして、自分からデスクから椅子もろとも離れて、
「これです。」
蔵井氏、パソコンの画面を見て、
「ん~~~???」
けれども蔵井氏、画面の表を見ても何の事やらサッパリ。
「ヨウちゃん…。これが…???」
紫も画面を除くが頭を傾げて…。
「私にも…。」
葉子、
「過去10年前から、直近まで…。とにかく、何がなんだか分からない。しかも…、巧妙であるんなら…。ついうっかりと見過ごしてしまうものに焦点を当てたんです。埋もれたものの中に何かがあると思って。」
蔵井氏、
「埋もれたものの中に何かがある…。」
腕組みして、
「まるで、木を探すなら森の中…的な…。」
科目と摘要、そして金額欄を蔵井氏が見るが、それでも頭を傾げる。
「キーワードは摘要欄。そして最後の二文字。」
「最後の二文字…???」
蔵井氏、画面を見ながら、
「あぁ~~。確かに…。カッコになって、平仮名とカタカナ…。それが…???」
「当然、その平仮名とカタカナも全くのアンバランスになってます。…けど…、それをシャッフルして…。つまりはアナグラム。」
「アナグラム…。」
社員それぞれが…。
尚子、
「あの…、文字を並び替える…???」
葉子、
「そっ。」
そして、再び、自分のデスクに。
蔵井氏、少し後ろに退いて…。
「あぁ…。」
葉子、カタカタとキーボードを叩いて…。
財務企画の陣屋以外、全員が葉子のパソコン画面に集中。
その時、部長室の電話が鳴るが、5回で鳴り止む。
励子、顔を上げて、
「あれ…???今、確か、電話が…???」
いきなり佐智が、
「えっ…???…えぇぇぇ…???」
そして節、
「うそ…。…こんな事って…。」
紫も、
「やややや。やば…。」
輪湖、
「うそ…。信じらんない。」
葉子が導き出したカッコ内をアナリズムで…。
そして、科目と摘要、そして金額の数字を正確に表示。
…すると…。
「ワタしはゼツたいニアまかスツづラオゆるサナイこんゴモおな…。」
秀美、
「…そ…、そんな…???」
蔵井氏、
「なんと…。」
佐智、
「じゃあ~~。この右端の数字が…。横領されてきた…金額…???」
葉子、
「多分。」
「…で…???…この、真ん中の訳分かんない数字って…。」
節。
励子、
「も…しか…して…???…誕生日…とか…???」
そこまで言って、励子、顔を綻ばせながら、
「あはははは…。…まさか…ね。」
けれども葉子、励子に、
「励子さん。ビンゴです。」
いきなり励子、
「うそ―――――――っ!!!」
「そして…。その誕生日、こそが、横領…元に、繋がる~~。」
社員玄関で陣屋、スマホに着電。
「あっ。はい。お疲れ様です。陣屋です。」
スマホの向こう、
「先輩。横領元、分かったかも。です。」
その声に陣屋、
「え~~~ぇえっ!!!」
そして陣屋、
「分かった。美知佳、今、システム企画…???」
その声に美知佳、
「はい、そうです。」
陣屋、スマホを耳に、
「分かった。今行く。」
葉子、画面の数字を見て、
「…多分、天春社長の手腕でこの扶桑が再起してからの、扶桑を辞めて行った。辞めざるを得なかった役員、そして管理職の…。」
蔵井氏、
「誕生日…。」
「そして…、その誕生日の人を…ピックアップすれば…。」

こんな私です。〜選葉子(すぐりようこ)〜 vol,196. 「…けど…。なんで蝶が出てくるんだろ。」
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