「励子さんのあれって…。…確か…、扶桑にも大打撃って…???…前に尚子さん。」
輪湖。
葉子も、
「ふん。」
秀美はチンプンカンプンに、
「ふ~~ん…???」
尚子、腕組みして、
「励子さんの言う、ホテルが飲み込まれる…。…で、扶桑にも大打撃…???何のこと…???」
輪湖、その声に、顔を傾げて、
「さぁ…???」
両手の平を上に。
そして…、夕方近く…。
資料室から複数のファイルやらを抱えての秀美と葉子。
通路の角を曲がった瞬間、誰かとぶつかりそうに…。
途端に葉子、おちょぼ口に目を丸く。
秀美も、
「わ~~~。」
そしてファイルから何から全てが床に。
「おっと~~~。」
体を捻って体勢を整えた男性。
いきなり葉子、
「ごめんなさい。すみませ~~ん。」
その声に男性、
「へっ…???…ひょっとして、選さん…???」
葉子もその声に、
「えっ…???あっ…。課長~~。海江田課長~~。」
秀美も、床に両膝を着いて、
「お疲れ様です~~。」
海江田、
「あ~~っと、ごめん、ごめん。僕も前、しっかり見ていれば。」
そう言いながら床に落ちたファイルを両手で…。
葉子、
「あっ。ありがとうございます。」
海江田、頻りに、
「ごめんね。」
葉子、左手を振って、
「いえいえいえ。」
その時、海江田、葉子の素振りが、
「えっ…???」
そして、瞬間、葉子から感じる一種の香りに、
「……。」
海江田の動きが一瞬止まる。
「あっ。」
そんな海江田を感じて葉子、
「か…、課長…???…どうか…???」
すぐに我に返る海江田、
「あっ。あ、いや…。うん。なんでもない。うん。ごめんね~~。ごめん。」
葉子、そんな海江田に、
「課長、何回言うんですか~、ごめんって。」
その声に海江田、思わず頭に手を、
「あっ。はは。はははははは。」
そして、拾ったファイルを…。
「しっかし…、凄いファイル。それに資料~~。」
秀美、
「あっ、はい。ちょっと調べもので…。」
海江田、頷いて、
「うん。そっ。うん。頑張って。」
その声に秀美、
「あっ。はい。」
葉子、海江田にお辞儀をして、
「すみません課長。」
海江田、ニッコリと、
「いえいえ。じゃ。お疲れ。」
葉子も秀美も、
「お疲れ様で~~す。」
海江田、振り返って通路を…。
そして…、顔を傾げて…。
「うそだろ…???…ナンシー…???…あの素振り…。そして、香り…。」
そして後ろを振り向いて…。一言、
「…まさか…。似ても似つかない。…有り得ねぇだろ。」
そして…。その3日目、財務企画部と営業推進部。
そして広報推進部とシステム企画部に激震が走った。
まだ社員の中には何がどうなっているのか見当もつかない社員もいたが、
管理職と勤務歴の長い社員には大き過ぎる不安要素として…。
…けれども、まだ、メディアの報道と、までは行っていなかった。
財務企画部では、主任の鈴村紫。そして、営業推進部では都沢泰明から…。
横浜にある、現在人気絶頂のホテル、
横浜トランキンマンヘブンズホテル買収の話が持ち上がったのである。
いわゆる、事実上の「M&A」である。
営業推進部では、誰もが口々に、
「やばいぞこれ~~。…って、相手がなんで…、ここ~~???嘘だろ。有り得ねぇ~~。」
虎一郎、
「マジかよ。M&Aって…。しかも…、ホテルキャッスル…。中国…。」
財務企画部でも…。
輪湖と尚子、
「へっ…???何々…???…どうなってんの…???」
葉子と秀美が、
「M&A…、買収…、仕掛けられた。」
輪湖、
「ば…、買収~~???…でも、どうして…???扶桑が慌ててんのよ~~???」
葉子、
「つまりは…。」
輪湖と尚子、
「うん。」
「M&Aの対象となるホテル、横浜トランキンマンヘブンズホテルって、オーナーが、ウチの社長なの。…つまりは、横浜トランキンマンヘブンズホテルの土地、そしてホテルの建物自体が、天春社長が所有しているって訳。しかも…、買収元が…。これが一番厄介。」
輪湖も尚子も、
「えっ…???」
「ホテルキャッスル・チャイナ。総資産5兆円とも言われている巨大ホテル。飲み込まれたら一巻の終わり。当然ウチの社長も飲み込まれたら、扶桑だって、この先、どうなるか…。」
輪湖、
「あ~~ん、やばいじゃ~~ん。」
尚子、そんな葉子に、
「さっすがヨウちゃん、知ってる~~。凄いよね~~。」
葉子、
「ふん。ゲラが、こんな風なんだもん。…でも、良く、ゲラなんて、手に入った。それが不思議~~。」
秀美、
「…ですよね~~。印刷の前の試し刷り。」
そして、広報推進部でも、システム企画部でも、その日はその話で持ち切り。
社員たちは口々に、
「どうなっちゃうの~~???」

こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~ vol,062. 資料室から複数のファイルやらを抱えての秀美と葉子。
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