高い、そして奇麗な放物線を描いてボールはそのままネットにザシュ。
理沙のスリーポイント。そして選手たちが理沙に激励。観衆がその瞬間、歓喜に沸く。
そして、それから数秒。
会場に鳴り響く電子音。
「プ―――――ッ。」
一斉にチームが…、観衆が沸き上がる。
アナウンスが、
「やりました――――――っ!!!史上初~~。なんと、神奈川、石輪大(いしわだい)ルーク、日本選手権、12連覇達成—―――――っ!!!最後は得点王とMVPそしてオールスター5には何度も輝いている瑞樹理沙のスリーポイントで決めた――――――っ!!!」
観覧席ではそれぞれがガッツポーズ。
和奏は涙を流し。そんな和奏を蒼介が抱き抱える。
栞奈もそんな母を、
「かあさん、かあさん、理沙、やった、やった。」
そんな栞奈の隣では杏美と雅美がお互い抱き付きながら涙を…。
通路を挟んで麗亜、そして流美と丈師。
「理沙お姉さん。」
「理沙ちゃ~~ん。」
「お~~し。これで決まりだな~~。」
麗亜、将輝にライン。
「理沙お姉さん、勝った。12連覇~~。」
同じ頃、大阪でも全日本実業団バスケットボール選手権大会の準々決勝が行われていた。
将輝と馨が所属する東京バスケット実業団チーム尾神電工、そして名古屋の丸菱(まるびし)製鉄。
麗亜、
「お兄ちゃんにはライン、しておいた。」
流美に。
流美、
「うん。けど…、あのふたりだもん。お互いに、あったりまえじゃんって言うよ~~かかかか。」
その声に通路を挟んでの蒼介も、
「そうっすよね~~。もしも将輝君、ここにいたら、はいはい。お疲れ~~。ですよね~~。」
丈師、そんな蒼介を見て、眉を上下に、
「そのものズバリ。かっかかかかか。」
その1週間後…。
久しぶりに自宅に戻ってきていた理沙。洗面所に、
「ふぁ~~。おはよう~~。」
こちらも、洗面所で髭を剃っている将輝。
理沙、将輝に手を出して、
「ふん。」
将輝も、コップから歯磨きと歯ブラシを出して、
「ふん。」
そのまま僅かに洗面台からずれる理沙。
将輝は洗面台で顔を洗って、
「ふぇ~~~。サッパリ。」
そして、理沙に、
「じゃね~~。」
理沙、歯を磨きながら、
「あ~~い。」
それから30分後。瑞樹家の朝食。
4人、それぞれ、
「いただきます。」
そして、その場所に、栞奈はいない。けれども栞奈の部屋はそのまま。
既に結婚して瑞樹家を出ている。しかも…、結婚して5年は経過しようとしている。
今は瑞樹家、4人。蒼介と和奏、そして理沙と…。
数か月後には、籍を入れることになる将輝。…と、この4人なのである。
…では、菅田家はと…言えば…。
こちら…。何故か菅田の家には、佐奈田己龍がいる。
実は…。己龍と麗亜の大学が同じ。
確かに、同期ではないのだが、たまたま、大学側が主催するイベントで知り合い、
己龍が麗亜に一目惚れ。
しかも将輝の妹と言う事で、将輝関連で麗亜も少しずつ己龍との間が縮まり、
2年後には結婚。そしてこちらもひとりの幼児がいらっしゃる。
…では、馨はと言えば…。将輝と同様に、尾神電工関連の大学に願書提出。
そして将輝と共にセンター試験。但し、残念ながら将輝と同様に、試験は不合格。
けれども、必死にバスケに。そんな中、理沙の家に遊びに来ている杏美と急接近。
今や大学卒業後の杏美、馨と結婚。そしてふたりでアパート暮らしである。
つまりは…、あれから10年の歳月が流れた…。
理沙はあれから…。
蒲原、理沙と和奏に、
「申し分ない。今後とも、よろしくお願い致します。」
その知らせは弓狩にも届き絶賛。
そしてその後、理沙は家を離れてのバリアフリーの整った寮生活に入る事になった。
そのため、今度は鴻上高校のバスケとは無縁となってしまった。
そして、リハビリと病院への通院も、今まで通りとは行かずに…。
それでも日々練習。そして週に一度だけの帰宅。
そして、変わらないのは日曜日の自宅でのバスケの練習。
けれども、そこには理沙、ひとりだけ…。将輝も馨も、既に就職して…。
…けれども、その2か月後の日曜日。
理沙、ひとりで庭のバスケットコートで練習。…そんな時に、
「ヨッ。」
いきなり後ろから、
「何ひとりで練習してんだよ~~。」
その声に理沙、
「へっ…???」
後ろを振り返ると…。
「将輝――――っ。」
「いやいやいや。大~~変。忙しいの何の…。仕事も覚えなきゃいけねぇし。車の免許まで…。やる事ばっか。とうさん、大学にも行かねぇんなら、せめて免許取れって。学費よりはありがてぇからな~~。だとさ。」
変顔して顔を傾げて将輝。
そんな将輝を見て、理沙、思わず目に涙を溢れさせて、
「将輝~~~。」
そんな理沙に将輝、
「お待っとさん。」
再び、二人三脚のバスケロードが始まった。

信じて…良かった。 vol.239. 理沙のスリーポイント。
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庄司紗千 「雫音〜shizukune〜」
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
