バスケットリンクの近くではもはやそれぞれがボールを交代交代で持ちながら…。
…けれども、麗亜だけは…、
「だめ。だめだめだめだめ、私はダメ。松葉杖じゃ持てないよボール~~。」
すると今度は栞奈、理沙に、
「ほぃ。」
理沙、
「おっと~~。」
すると理沙、両の手でボールを受け取り、そのまま将輝に、
「ふっ。」
将輝、そのボールを受け止める。
そしてボールを見て理沙に近づき、
「ほぃ。シュートしてみろよ。」
理沙、
「えっ…???」
将輝、
「はは。とにかく、どんなフォームでもいい、シュート、やってみろ。」
その声に理沙、
「う、うん。」
その声に蒼介、
「お~~ぉ…。」
栞奈、
「ふふん。」
麗亜、
「理沙お姉さん、頑張れ。」
理沙、将輝にパスした時と同じようなボールの持ち方で、両手を手前に引いて、すぐさま前に、
「ふっ。」
ボールは勢いよくボードに当たり、リンクにぶつかり跳ね返る。
蒼介、
「ほぅ~~お。」
栞奈と麗亜、
「あっと、惜しい~~。」
けれども将輝、目を真ん丸にして、
「おま、凄ぇな。」
その声に理沙、将輝を見て、
「えっ…???」
蒼介、
「ん~~…???」
「その状態で…、車椅子乗ったままで…、その場所から…。」
将輝、ボールをバウンドさせて…。
「普通だったら、ボードにすら届かねぇよ。」
将輝、ボールをバウンドさせながら…。
その声に栞奈と麗亜、
「あっ。」
蒼介、そのままの状態で1歩2歩、後ろに。そして、
「はは。」
そう笑いながらゆっくりと後ろを振り向きリビングの方に…。
栞奈、
「うんうんうん。そう、そう~~。理沙~~。あんた、車椅子に乗ったまんまで、ボードまで届いた~~。」
そして栞奈、テーブルのところまで行って椅子を持ち、そしてコートに。
そして車椅子の傍に、その椅子に座って、チラリと理沙を見て、
さっきの理沙と同じように両手でボールを…。そしてリンクに向けて…。
けれどもボールはネットには全く届かずにそのまま床にトントントン。
「ありゃりゃ。全~~然、だめ~~。」
将輝、そんな理沙の姉を見て、
「瞬発と反動がないですからね~~。立った状態だったら、それも出来る。けど…、椅子に座った状態だと、距離も遠くなった以上に、瞬発力がまず取れない。そして反動も出来ない。」
床に落ちているボールを拾って理沙の姉にボールを…。
「すみません。もう一度、やってもらって…いいですか…???」
栞奈、ボールを受け取って、
「えっ、えぇ~~。」
そして再びリンクに向かって…。
…けれどもまた同じように、ネットの手前でボールは放物線を描いて床にトントントントン。
「全~~然、無理~~。」
理沙、
「かかかかか。お姉ぇ~~。」
そんな理沙に栞奈、歌舞伎の見得のような顔で…、
「駄目だね、こりゃ。」
理沙、そんな姉に、
「ううん。」
首を振って、
「何回も練習すれば、出来るよ。」
再びリンクに向かってドリブルしながらシュートをする将輝。
そして、
「車椅子に乗って、投げてボードに当たって…。」
そこまで言って、
「凄ぇよ、君。理沙さん。」
瞬間、麗亜、そして栞奈と理沙、
「えっ…???」
将輝、
「まっ、部活も…バレー。」
麗亜、
「お兄ちゃん、今…。」
「だから…かな~~、ボールと毎日…。」
麗亜、また、
「ねね、お兄ちゃ~~ん、今。」
栞奈と理沙、目をパチクリと…。
将輝、ボールを見て、バスケットリンクを見て、
「なんつ~~か。バスケ、頑張ってみろよ。その…、車椅子バスケ。」
麗亜、
「お兄ちゃん。」
そんな麗亜に、将輝、
「なんだよ、さっきから、お兄ちゃん、お兄ちゃんって~~。」
その瞬間、栞奈、思わず、
「ぷっ。」
そして麗亜の頭を撫でて…。
「お兄ちゃん、照れてるよ。かかかか。」
瞬間、麗亜、
「あっ。」
栞奈、麗亜の右肩に右手を、麗亜を支えるように。そして、
「ねぇ~~。理沙~~。」
理沙、目をパチクリさせて、
「えっ…???あ、あ~~。」
頭の中で、
「…初めて…、名前…、呼ばれた…。」
将輝、理沙にボールを、
「ほぃ。」
そのボールを受け取って、今度は違うフォームでボールを、
「ふっ。」
けれども今度はネットには届かず…。床に落ちる。
将輝、
「スリーポイントの投げ方だな~~。」
理沙、
「うん。一度やってみたかった…けど…。」
将輝、理沙に、
「何回…、動画、見てんの…???」
蒼介、そんな景色に、リビングに腰掛けて、
「はは。」

信じて…良かった。 vol.083. 「私はダメ。松葉杖じゃ持てないよボール~~。」
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庄司紗千 「雫音〜shizukune〜」
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
