そして一週間、瞬く間に過ぎた。
とにかく、何かやっていなければ気が済まないと言う気持ちが強くあった理沙。
確かに、最初は的場から介助してもらってのベッドから車椅子、
そしてその逆と…ではあったが、数回その介助手順を頭に叩き込んでからは…。
理沙、的場に、手を合わせて、
「先生、ごめん。」
的場、
「ん…???」
「ひとりでやってみたい。」
その声に的場、
「わ~~お。」
そして、
「OK。但し、ゆっくり、ゆっくりね。」
「うん。」
そして、的場が見守る中、理沙、ひとりで…。
車椅子をしっかりとベッドサイドに。そしてロック。アームサポートを外して後ろに。
シートからお尻をチョコンと上げて、
「ヨイショっと。」
ボードを差し込む…。そして両手を使い、感覚のない下半身。
けれども…、お尻がするりと。
瞬間、的場、
「うま~い。」
理沙、目を見開いて、
「出来たっ!!!…出来た、出来たっ。かかかか。」
そして、
「先生、見た…???出来た、出来た。私、出来た。かかかか。」
的場、ニッコリと2、3度頷いて、
「お~~。や~~るもんだぁ~~。かかかか。うんうん。君ならできる。」
その声に理沙、
「かかかか。先生、松岡修造みたい。君ならできる。なんて。」
的場、
「えっ…???あ、はははは。」
理沙の、その車椅子からの自分の、「出来た。」と、言うのがバネになった。
それからというもの、まずは簡単なものから…。
洗面所での洗顔、そして歯磨き。
ひとつクリアする毎に的場とハイタッチ、
「イェ~~イ。」
そしてトイレ。
けれども、さすがにこの場合は、的場は部屋の外で。
理沙には看護師。
手にはグローブの春風、
「うんうんうん。あっ、ゆっくり、ゆっくり。」
一度、車椅子から便座に移動する。わずかに看護師の手は借りるが…。
とにかく両手の力で…。
春風、
「うんうん。OK。できるできる。」
そして便座の上でパジャマのズボンを脱いで。下着を…。
そこで一旦理沙、
「ふぅ~~。」
少し額に汗を滲ませて。
春風、
「うん。OKね。」
理沙、ニッコリと、
「浜崎さん、ありがと。」
春風もニッコリと、
「いいえ~~。」
そしてドアを閉める。
「しっかりね。」
そして数分後…。ドアの内側から、
「浜崎さん。」
春風、
「おっと。はいはい。」
そしてドアを…。
便座の上でしっかりとズボンも上げている理沙を見て春風、
「や~~った~~!!!」
ふたり同時にハイタッチ。
そして春風、また、理沙に車椅子。
春風、
「頑張れ、頑張れ~~。うんうんうん。いい感じ。」
少し疲れは出てきたのか、最初よりも時間は掛かったが、
最後に、アームサポートを元の位置に戻して理沙、
「ふぅ~~~。かかかか、し~~んど。」
春風、
「で~~きた~~~。ヒュ~~~。」
春風、グローブを外しながら、
「的場先生~~。」
的場、その声にすぐさまドアを開けて、
「出来ました…???なんだか、凄い声、聞こえてましたけど。」
少し、興奮ばりの顔で…。
春風、
「うんうんうん。OK、OK。立派、立派。」
的場、笑顔で、
「そうですか~~。出来ましたか~~。うんうんうん。」
春風、
「もぅ~~。ここまでくれば、あとはとにかく、習慣。理沙さん、着替えも大丈夫でしょ。」
理沙、
「うん。やってみる。」
そんな理沙の一週間。病室では賑わっていた。
蒼介、和奏、栞奈。そして一樹に杏美、麻理絵に雅美、芙美。
そして、もうひとり。小宮山江梨子である。
理沙、
「小宮山先生~~。」
江梨子、理沙の顔を見た途端に目から涙が…。掠れたような声で、
「瑞樹さん。」
ベッドの理沙に駆け寄り、理沙と抱き合う。
「ごめんね~~。先生、全然お見舞い、来れなくって~~。」
そんなふたりを見ながら、こちらも薄っすらと涙を滲ませる杏美や麻理絵たち。
蒼介、そんなみんなに、
「ようやく…、来週には、退院の運びに…。」
その声に江梨子、涙を流しながら首を縦に、
「うんうん。うんうん。」
一樹、
「そうですか~~。」
そして、
「うんうん。…あっ、生徒から聞くと、もぅ~、トイレも車椅子を使って、自分で…。」
和奏、
「えぇ~~。お蔭様で…。出来るようになりました。」
そして和奏、鼻に左手人差し指を…、そしてにこやかに、
「看護師さんたちも、たったの、一週間で、ここまで…、出来る~~???…って。」
杏美、
「かかかか。この、負けず嫌いが…。」

信じて…良かった。 vol.048, 理沙、目を見開いて、「出来たっ!!!…出来た、出来たっ。」
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