理沙、顔は涙でぐっしょり。
「あ゛~~~。」
両手を布団の中から出して思いっきり布団を握りしめる。
「あ゛~~~~。」
今度は、右手で布団の上を何度も叩く。
「あ゛~~~。あ゛~~~。」
そして、初めて気づく、自分の下半身に全く、感覚がないことを…。
ポツリと…。
「感覚…、ない。」
その途端、右傍に体が傾き、母親の和奏に、
「わ~~~~。」
抱き付く。
そんな理沙を思いっきり抱き締める和奏、
「理沙~~~。」
駒田、家族に一礼をして、
「では、我々は…これで…。」
蒼介、そんな医師を見て…。
駒田、けれども、母親を見て、
「瑞樹さん。」
そして父親を見て、
「これから…です。」
そしてまた、
「これから…なんです。」
また父親を見て、母親を見て、
「理沙君、全力で、見守っていきます。」
その医師の声に蒼介、目尻から涙が…。そして、
「はい。ありがとうございます。」
それからの理沙、ショックは相当なものだった。
5日間、食事は一切、受け付けなかった。
最初は、仕方ないかと思われもしたが、さすがに4日目になると和奏も困り果て、
怒りたくはなかったが、理沙のためを思って怒ってしまう。
食べてくれないと体が持たないと…。
看護師たちも、全く手が付けられていないトレイの食器を見て、
「……。」
「だって。もぅ、立てないんだもん。歩けないんだもん。…食べたって仕方ない。」
そう言って母親を困らせた。
少しずつ理沙はやつれ…。同じく和奏も表情が…。
そして…一週間…。
夕方近くのナースステーションに、
「あのぉ~~。」
の声。
「あら、将輝君。どうしたの…???」
看護師長の倉前夏希(くらまえなつき)。
将輝の隣には麗亜。
「ふん。麗亜ちゃんも…。どした…???」
将輝、
「倉前さん。」
「うん…???」
将輝、目をキョロキョロと、
「あの…。瑞…樹…さんに…、会えま…せんか…???」
夏希、
「えっ…???」
夏希、瞬間、目を左右に…。そして周囲の看護師たちを見回す。
すると…。夏希、笑顔で、
「うん。いいよ。」
その声に看護師たち、小さく頷く。
夏希、
「んじゃ、行こか。」
麗亜、途端に、笑顔で、
「わぁ…。」
凪がすぐに電話から受話器を持って…。
夏希、麗亜の車椅子を押して、
「はは、理沙お姉さん喜ぶぞぉ~~。」
そして…、3人共に理沙の病室に。
将輝が先頭に…。
そして将輝、理沙の病室の前で、夏希を見て…。
夏希、頷く。
将輝、コンコンとノック。
中から、
「はい。」
ドアを開く。
開かれたドアから見える顔に理沙、
「あ…。」
将輝、
「おぅ。」
そして、後から顔を出す麗亜。
「麗亜ちゃ~~ん。」
笑顔になる理沙。そして、
「看護婦さん。」
夏希、ニッコリと、
「うん。麗亜ちゃんが、お姉さんに会いたいって。」
理沙、その声に、
「わぁ~~。ありがとう~~。」
麗亜、
「お姉ちゃんに会えなくって、寂しくって…。」
理沙、麗亜の声に、
「うんうん。私も寂しかった。」
自然に麗亜、車椅子で理沙の右隣りに…。将輝は左隣に…。
麗亜、自然に涙を流して、体を前屈みに…。
「寂しかったよ、会えなくって~~。」
そんな麗亜の頭を撫でながらの理沙。
「ごめんね~~。麗亜ちゃんに、心配掛けちゃったね~~。」
将輝、理沙を見て、
「おぃ。」
理沙、そんな将輝を見て、
「うん。ごめん。」
「バカ、謝んなよ。」
「将輝くん、私の事…、先生に知らせてくれたって。」
その声に将輝、
「お、おぅ。」
「ありがと。」
「バカ。何言ってんだよ、お礼なんて…。」
麗亜、涙を零しながら、右上の看護師に、
「くく、お兄ちゃん、照れてる。」
そんな麗亜の声に夏希、
「ふふ。ほんと。照れてる。」
将輝、顔をクシャリと、
「…ん~なんじゃ、ねぇよ。」
夏希も麗亜も、そんな将輝を見て…。
将輝、鼻の右を右手人差し指でコリコリと…。
「…で…、おま…、今…、どうなんだよ…???…その…、脚は…???」
理沙の脚の方にクィっと顔を…。
瞬間、理沙、薄く口を開いたままで…。目を左右に…。
麗亜と夏希も、そんな理沙を見つめる。
理沙、
「あ、脚…。わ…。私…。」
顔を傾げて…。2、3秒、沈黙。
…すると…、理沙、自然に、
「はは。…歩け…、なく…、なっちゃった…。」
そして、チロリと、舌を出して…。
その声に瞬間、将輝も麗亜も、
「!!!!!」

信じて…良かった。 vol.017. 「麗亜ちゃ~~ん。」笑顔になる理沙。
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庄司紗千 花笠音頭
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
