一樹、
「小宮山先生…。綺麗なんだけどな~~。」
そんな一樹に江梨子、
「はいはい。ありがとうございます。…けど…。八倉先生は…、結婚…。再婚は…、されないんですか~~???」
その声に一樹、途端に、
「僕っ???」
そしていきなり左手を振って、
「いやいや。いやいやいやいや。何仰います。僕…、もぅ…50…過ぎてますよ。そんな…。結婚なんて、からかわないでくださいよ。いやいやいや。」
「あら。そんな事…、ないですよ~~。今なんて、50過ぎようが、60になろうが、結婚に意欲があれば~~。それに…、八倉先生の場合、アパートでもなく、ちゃんとした、一軒家じゃないですか~~。」
いつの間にか格はいなくなっていた。
弁当を食べながらの一樹、
「まっ、そりゃあ、そうですけど…。…って、なんで知ってるんですか…???僕が一軒家に住んでるって…???」
「あぁ…、それ…???」
そして江梨子、少しだけ一樹に近づいて、
「ここだけの話ですけど…。校長先生に聞きました。…っていうか、女性教師…、殆ど、知っているんじゃ…。」
途端に一樹、
「うそ~~~~。」
「うん。…だって、校長先生となんて、結構夜、食事って、行ってますから。」
「そうなの…???」
「えぇ…。」
「う~~~わっ。知らなかった~~。」
「今じゃ、ラインって、ありますから…。」
「ライン…。あっ、そっか~~~。」
江梨子、
「しっかりと…、繋がってますよ~~。八倉先生は…ライン…???」
「あっ。いや…。僕は…。えぇ…、全然。…はい。…まっ、メールなら…、たま~~に…。…殆ど…、電話ですから…。…女房と娘、失くしてからは、まず…。…それに…、そんな…、連絡する相手なんて…。」
江梨子、
「へぇ~~。意外~~~。」
「えへ~~~???」
「結構、八倉先生って…。いろんな人たちと…。ほら…。何ていうの…、顔が広いとか…。」
その声に一樹、可笑しがり、左手を振りながら、
「いえいえ。僕なんて…。かかかか。」
数日後、理沙の病室のドアが開いて…。
「こんにちは~~。」
…の声。
その声に理沙、
「へっ…???」
そしてすぐさま、
「わっ。ははは、麗亜ちゃ~~ん。」
麗亜、
「はは、来ちゃった~~。」
その後ろからは将輝が…。病室に入るなり、頭をペコリと、
「ども…。」
理沙、そんな将輝に、
「ど~~も。こんにちは。」
そして、しばしの麗亜と理沙のお喋りが続く。
理沙が入院して凡そ3週間。
この頃になると理沙はもう自分ひとりで車椅子を自操しながら屋上にまで移動するようになっていた。
ただ、必ず誰かが見守りと言う事になるのだが…。
母親の和奏であったり、栞奈であったり。時には麗亜と将輝であったり…。
その日は朝から天気が良く、麗亜から誘われて将輝も伴っての屋上。
麗亜と楽しくお喋り。
そして理沙、お喋りしながら両足を上げたり下げたり。
そして車椅子を器用に動かして、その場で一回転。
その時、右側の車輪が花壇のレンガに当たってしまった。
理沙、
「わっ。びっくりした~~。」
そして体勢を整えようと、車椅子のアームサポートに両手を…。
そして体を少し前屈みに…。両腕の力だけで身体を少し上に、そしてシートに座り直すように。
その瞬間、一気に身体がガクンと…、
なったかと思うと、いきなり腰から背中に掛けて激痛が…。
理沙、いきなり、
「あ゛――――――――っ!!!」
将輝が慌てて、
「どうしたっ!!!!」
麗亜もびっくりして、
「お姉ちゃん。」
将輝、理沙に近づいて、
「おぃ。どうした???」
理沙の身体をあちらこちら見て、
「おぃ!!!」
理沙の肩を揺さぶっても声もない。理沙はそのままダラリと…。
将輝、
「やっべぇ~~~~。」
すぐさま、
「麗亜。おま…、ここで待ってろ。いいか、動くんじゃねぇぞ。兄ちゃん、先生呼んで来る。いいな。絶対に動くんじゃねぇぞ。」
慌てて。
麗亜、
「う、うん。」
麗亜、
「お姉ちゃん、お姉ちゃん。」
理沙はそのままグッタリと…。
麗亜、みるみる目に涙溜めて。
将輝は屋上の入り口、駆け足で、
「おぃおぃ。嘘だろ。冗談じゃねぇぞ。」

信じて…良かった。 vol.013. 数日後、理沙の病室のドアが開いて…。
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