そんな杏美に一樹、思わず口を尖らせて…。腕組みをして、
「…そ、そりゃ…。なんだ…。ボチボチと…。なんだ…。戦略をだな…。」
その声に杏美、いきなり顔をクシャリと、
「え~~~~!!!!…また、行き当たりばったりの~~???」
理沙、そんな杏美を見て、また、
「かかかかか。」
夜7時。読み終えたコミック。
そして床頭台の上に飾られたお見舞いにもらった、部員やクラスメートからの色紙。
理沙、ポツリと…。
「データー戦略か~~。」
そして、また、ポツリと…。
「大丈夫なのかな~~。いっき先生~~。」
夕食を食べながら蒼介、
「へぇ~~。病院の屋上…。そんな…お庭みたいになってんだ~~。」
栞奈、
「うんうん。凄い奇麗だった。」
蒼介、和奏にもビールを注いで、
「へぇ~~。んじゃ、とうさんも次行った時、行ってみよ。」
和奏、
「ふん。中々立派だったよね~~。お姉ぇと帰りに寄ったけど…。」
栞奈、
「うんうん。」
そして栞奈、
「あっ、とうさん、写真…撮ってきたから…。」
スマホから画像を…。
蒼介、
「ん~~。どれどれ~~。」
そして画像を見て、
「わお。ははは。いいね~~。うんうん。」
そして妻を見て。
「でっしょう~~。」
和奏。
「…けど…。」
蒼介、
「ん~~???」
「ワゴン車…。」
その声に蒼介、
「ん、ん~~~。」
「事故を起こしたのは、とにかく。…取返し、着かないことをしたんだから…。償うのは当然。…けど、車の中に子供が乗っていたっていう…。子供…、可哀想…。」
その声に栞奈、
「出~~た。かあさんのパラリーガル魂。」
瑞樹和奏、元パラリーガルである。
「子供…、可哀想。」と言うのは、その後の周囲の目撃情報から、
その白いワゴン車が事故現場から一番近い交差点の赤で止まっていたのを目撃されている。
後部座席には子供がふたり、乗っていたという。
そんな和奏に、夫の蒼介、
「まっ。かあさんの気持ちは…、分からなくは…ないけど…。事故は事故だ。ひとりの人間、人身事故に、変わりはない。…、その…原因に…いきなり出現の猫…動物だとしても…だ。」
瑞樹蒼介。武蔵野区検察庁に勤務している。事務官である。
「まっ。担当がとうさんの軽部(かるべ)検事だとしても、精査することに、違いないけど…。」
和奏、
「ふ~~。まだ…子供…、小さかったらしいから…、やりきれないわね~~。」
そんな妻に蒼介、
「かかかかか。かあさん。」
妻の右肩に左手を…。
栞奈、そんな両親を見て、口を真一文字に、顔を傾げて…。
和奏、急に思い出したように、
「あっ。そういえば…。ねぇねぇ…、お姉ぇ。」
栞奈、
「ん~~???」
「理沙の階って、他に患者さんって、何か知ってる…???」
その声に栞奈、
「はっ…???」
蒼介、
「ん~~~???」
栞奈、瞬間、
「あっ。うんうん。そういえば…。中学の…。ほら、かあさんにも言ったけど…。」
その声に和奏、思わずフィンガースナップ。
「あっ、あ~~。はいはい。中学の女の子~~。」
「ふんふん。」
目をあちこちに…和奏。顔を傾げて、
「…の、家族…、なのかな~~???」
蒼介、
「ん~~???なになに…、かあさん…???…えへ~~???」
和奏、口をおちょぼにした感じで、顔をキリッとさせて、
「凄い、モデルみたいな人~~。」
栞奈、
「はっ…???」
和奏、
「ふん。かあさんが~~。理沙の病室の階に。…そして、エレベーターのドアが開いた途端に、いきなり目が合ったの…。その人と…。まるでモデルみたいな人…。」
栞奈、
「へぇ~~。」
「まっ、一瞬だったけどね~~。もしか…したら…、理沙の階の誰かの…家族さん…かな~~って、思って。」
蒼介、おかずを食べてビールを飲みながら、
「へぇ~~。かあさんが、そんなに言うんなら、相当の美人さん…???」
その声に栞奈、父親を見て、
「はっ…???」
蒼介、娘を見ながら、
「あっ、いやいやいや。だって、そうじゃん。かあさん、かなりの美人だもん。ねぇ。」
途端に栞奈、
「ぷ。ま~~た、始まった~~。とうさんのお惚気~~。」
その声に和奏、
「かかかかか。ふん。いいじゃな~~い、お姉ぇ…。そんな父さんだから、あなたや理沙みたいな可愛くって、奇麗な娘、生まれてきたんじゃな~~い~~???」
栞奈、
「はいはい。聞いてらんない。いい大人が~~。まっ、かあさんが、美人だって、言うのは…認めるけどね~~。」
その声に蒼介、
「あっ。それ。お姉ぇ…、ちょっと酷くな~~い…???…ちょっと…角立つ言い方だよ~~。逆を正せば…、父さん…。」
そんな父親に食べ終わった食器を持ちながら振り向いて、右手で右目の下を引っ張って、
「べぇ~~。」

信じて…良かった。 vol.010. 「病院の屋上…。そんな…お庭みたいになってんだ~~。」
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庄司紗千 「雫音〜shizukune〜」
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
