そして凡そ2時間。
会計で薫子と凛久。お互いに割り勘。会計を済ませて店の玄関に。
すると玄関に駆け足の女性店員。色紙の店員である。
ふたりに深々と頭を下げて、
「ありがとうございました。」
そんな店員に薫子もニッコリと。
「ご馳走様でした~~。美味しかった~~。」
「ありがとうございます。」
女性店員に手を振ってふたり、店を出る。
瞬間、ふたり同時に、
「うわっと。」
薫子、
「さすがに…、暑い。」
凛久、
「ですね~~。」
そのまま、数分…ふたり…共に沈黙。
凛久、薫子を見て、
「…どうか…しました…???やけにニコニコと…。…あ、さては、さすがに番組…。うん。やりましたね~~。絶好調。」
そんな凛久に薫子、
「うん。それもそうなんだけど…。」
凛久、
「うん…???」
「なんだか…、妙に…、嬉しくって…。」
「はい。」
薫子、
「ほら、さっきの店員。」
凛久、
「えぇ。」
「彼女、多分、茉祐子ちゃんと同じ年齢。」
「同じ…年齢…。…と言うと…。」
薫子、
「大体…26歳…前後。」
そう言われて凛久、
「あぁ~~。うん。そういえば。うん。そんな感じ…。」
薫子、そんな凛久に、
「ねぇ~~。あぁいう子が、お店で、私に色紙を持って、サイン。ありがたいわ~~。」
そんな声に凛久、自分も嬉しくなって、
「ですね。うん。」
そして薫子、ポツリと、
「茉祐子の事、お願いね。霧島さん。」
右肘で、凛久の左腕を突いて。
凛久、
「えっ…???えぇ~~。あっ、はい。」
その瞬間、凛久、頭の中で…。
「…ん…???成宮先生…。どうしてこんな事を…???」
そして凛久、
「それにしても、今日の料理番組…、中々どうして~~。何度も言いますけど…。良い感触です。」
そして薫子を見てニッコリと…。
そんな凛久に薫子も、
「お褒めに預かり、恐縮です。」
そして薫子、凛久に顔をクシャリとさせて…。
凛久、
「かかかかか。先生…、相変わらず、奇麗ですよ。」
薫子、
「かかかか、な~~に言ってるんだか~~。」
その時、凛久、
「先生っ。」
そしてそのまま薫子を抱き締める。
薫子、一気に、
「!!!!!!」
そのままふたり…、言葉もなく…。数秒…。
いきなりの事で動転した薫子だが…。けれども、それほど強くない凛久から抱き締められて…。
薫子も凛久を抱き締め…返す。
薫子、そして小さく、優しく、
「ありがと…。霧島さん。」
瞬間、凛久、
「わっ!!!」
すぐさま体をシャキッとさせて薫子から離れる。
「すみません。」
薫子、そんな凛久に、
「えっ…???」
凛久、両手を振って、
「いやいやいや。何…???…今…僕、変な事…先生に…、しませんでした…???」
その声に薫子、目をキョロキョロと…、
「はい…???」
凛久、頻りに頭を撫でて、
「あっ、いや…。その…。なんだか…、いきなり先生を…、バッ…て…。」
そして頭を傾げて、
「何か…、それから、数秒…、記憶が…、ないんですけど…。…あれ…???」
頭を撫でて…。
その声に薫子、凛久に変顔をして、凛久の顔を下から見上げるように…、
「霧島…さん…。だい…じょう…ぶ…???…もしかして…、飲み…過ぎた…???」
そこまで言って、
「な~~訳は…、ないよね~~。あれだけ、お酒…強い人が…。」
瞬間、凛久、
「はっ…???」
途端に薫子、
「ぷっ。」
そして、
「かかかかか。おっかしぃ~~。」
凛久、
「へっ…???」
薫子、
「だって…、私…。今、霧島さんから、ガッツリと…。」
両手を広げて包み込むように、
「抱き締められたんだぞっ。」
凛久、その声に、
「えっ…???うそっ!!!!」
薫子、
「嘘じゃな~~い。」
そして、
「責任取れよ~~。」
その…責任と言う言葉に凛久、思わず躊躇して、
「せ…き…にん…???」
薫子、唇を尖らせて、
「そぅっ!!!」
凛久、小さな声で、
「…責任って…。」
そんな凛久を見て薫子、いきなり、
「キャッハハハハハ。冗談、冗談。かかかかか。さっ、帰ろ。」
そして凛久の左腕に両腕を絡めながら…。
凛久、薫子から引っ張られるように…、
「あ、あ~~、はい。」
けれども、絡めた腕は、数メートルで解かれるが…。
駅である。

薫子と茉祐子~その愛~ vol.172. 「…私に色紙を持って、サイン。ありがたいわ~~。」
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庄司紗千 花笠音頭
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
