「資格だって…、俺よりめちゃくちゃ持ってるし…。…逆に…、俺より…いいやつ、いるだろ…って…。」
健匠、なんとも腑に落ちないような面持ちで…。
その話に薫子、
「…健匠君、そんな風に穂成美ちゃんの事…。」
「いや…。だって…。」
薫子、
「勿体ないよ~~。あぁいう子は~~。健匠君の傍で。しっかりと…健匠君、思ってくれると…、私は思うんだけどな~~。」
健匠、
「先生…。」
「ただ、健匠君が…。他に…、穂成美ちゃん…以外に、好きな人が…いればの…、話…なんだ…けど~~。」
「俺の…???」
薫子、頷いて、
「ふん。」
健匠、
「俺のっ…、好きな…人…。」
「うん。」
コーヒーラウンジには、薫子と健匠。
そのそばをテレビ局のスタッフらしい男女が資料を見ながら通り過ぎる。
「急がないと間に合わないぞ。すぐ連絡取ってくれ。」
「分かりました。…それから…。これ…。」
健匠、
「俺…。」
健匠、鼓動が高鳴る。
薫子、カップに口を付けてコーヒーを一口。そして廊下を見て。
健匠、口をへの字にして、
「…俺が…。俺が好きなのは~~。先生なんですよ~~。成宮先生っ。」
薫子、コーヒーを飲みながら、
「なんだ、好きな人…、いるんだ。」
と、その時、
「へっ…???」
健匠、
「俺が好きなのは~~。先生なんですよ~~。成宮先生っ。」
薫子、咄嗟に、
「えっ…???…えっ…???…はい…???」
健匠、口を尖らせて、
「……。」
薫子、目をパチクリとさせて…、
「えっ!!!…え゛~~~???」
そして薫子、
「わ…、私っ…???…わ。」
そしてすぐさま、目を瞑って、右手を左右に振って、
「いやいや。いやいやいやいや。私、私はだめ。うん。だめだめ、だめ。」
そして、
「だって、あなた…。私…、未亡人よ。未亡人。…それに…。それに。私には、ほら。茉祐子って…、娘も…、いるし…。8つ違いの…。第一、その…茉祐子だって…。穂成美ちゃんと健匠君、どうなってるのって…、心配してくれているくらいだから…。」
健匠、
「えっ!!!…茉祐子さんが…???」
「うんうんうん。かな~~り、前からよ~~。気になってたんだって~~、茉祐子も~~。たま~に、教室に来て、穂成美ちゃんと一緒に話し…してるから~~。話の雰囲気で、穂成美ちゃん、健匠君の事、好きだって、感じちゃっているんじゃないかしら~~。…で~~。健匠君も穂成美ちゃんと一緒だと、なにかしら…。凄い仲の良い友達に…見えたんじゃ。」
健匠、
「あっ。」
薫子、
「だから~~。穂成美ちゃんの友達の…、湊さんも…、同じように、感じたんじゃ…。」
「先生…。」
「それに…、私の事…、好きって…、言ってくれて…。あり…がたいん…だけど~~。今は…、まず…無理かな~~。娘の…、茉祐子が…、いる限り…。亡くなった主人の事…。常に…、感じてるから…。それに…。」
薫子、健匠の顔を見て、
「こんな…10ん~~歳、年上より、穂成美ちゃん、あなたより1歳、年下でしょう~~。どっちを選ぶよ~~。あなた。ずるずるしていたら、穂成美ちゃん、誰かに取られちゃうよ~~。あんなにいい子なのに~~。」
健匠、薫子の話を聞きながら、少しずつ、ぷ~たれた顔をして…。
「ふ~~。」
うなじを撫でての健匠。
「ほぃ~~。あなたの事…、穂成美ちゃん、待ってるよ~~。」
口をへの字のまま健匠。
薫子、
「な~~に言ってる~~。何が上から目線よ~~。あなたに甘えたいからよ~~。それに、あなたに自分の気持ち、受け止めて欲しいから、そんな態度になっちゃってるの~~。逆に言えば、羨ましいくらいよ~~。」
健匠、
「……。」
「茉祐子なんか言ってるよ~~。穂成美ちゃんも可愛いけど…。健匠君だって、イケメンだよね~~って。」
口を尖らせたままで健匠、何度も廊下を見たり、薫子の顔を見たり。
薫子、
「ほぃ。帰るよ。この話はこれでおしまい。」
そしてケラケラと笑い、
「お願い、このことで、車で、事故を起こすのはやめて。」
健匠、
「分~かってますよ~~。」

薫子と茉祐子~その愛~ vol.119. 健匠、「俺のっ…、好きな…人…。」
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