愛耶乃、スマホを左耳に。迅はその傍に。
愛耶乃、
「そっか~~。バ~レちゃったか~~。」
賑やかな編集室、自分のデスク上、侑里、
「はい。…でも、まさか…とは思ったんですけど…。…ある意味…、今後の取材についても…。」
愛耶乃、
「うん。」
そして数秒考えて愛耶乃。
「まっ、でも…。小暮社長も、この件に関しては、知ってるから。」
侑里、その声に、
「えっ…???ウチの社長が…。知って…???」
「うん。まぁ…。その場所に、TBAテレビの局次長と…私がいて。話が…、成宮薫子と茉祐子の話になっちゃって…。」
侑里、
「へぇ~~。」
周囲を見回しながら、
「そうだったんだ~~。」
愛耶乃、続ける。
「そういう…意味では…。ここで、侑里と霧島さん…。分かっちゃったのなら…。特に…、意識することは…。ないものと…。」
今度は窓の外を眺める目が、ぐるりと180度。今度はスタッフたちを見る目に…。
「今後…共に、エクレール、お願いしたく…。」
侑里、笑顔で、
「うん。イェッサー。何々、こちらこそですよ、本部長。このままの、お付き合いのままで…。よろしくです。」
愛耶乃、
「ありがと。」
侑里、
「ではでは…。」
通話を切って愛耶乃、
「ふぅ~~。」
迅、愛耶乃を…。
「まさかね~~。こんなに早く…、バレちゃうとは…。」
迅、
「ナターシャの…羽田さん…???」
愛耶乃、
「ふん。…羽田さんにも、霧島さんにも…、バレた。」
「な…、なんで…???」
愛耶乃、
「ふ~~ん。」
そうしながらも迅のデスクから離れて左手人差し指で迅にクイッと。
迅、その素振りに従い、愛耶乃の後ろを…。
その時、愛耶乃、
「凛花~~。」
その声に凛花、
「あっ、はい。」
目をパチクリと…。椅子から立ち上がり、ふたりの後を追う。
本部長室。愛耶乃、
「…と言うことで、成宮親子の事…、ナターシャの羽田さんと霧島さんに…、バレた。」
凛花、その声に、
「うそ。」
迅、
「今、ナターシャの羽田さんから本部長のスマホに…。」
凛花、
「えっ…???わっ。うわ~~~。…じゃ…、これから…、ナターシャの取材…、やりにくく…なる…???」
そんな凛花の声に愛耶乃。真一文字に唇を。けれども、
「まっ。いずれにしても、いつかは…分かっちゃう事だと思ったから…。…でも、やりにくくなる前に…何とかって言うのは…あったけど…。」
凛花、
「…けど…。」
「今や、発足2年目で、右肩上がりのナターシャ。しかも、今回の成宮親子の特集と記事で、いきなり部数が増えたっていう話だから…。それに…、広告料だって…。結構な~~。」
「えぇ~~。」
迅。
凛花、
「まっ、次の号も…。和歌葉と朱莉の美白美容液のクリア・ホワイト…。」
愛耶乃、
「うん。…ある意味…、私たちの…、取り越し苦労だったかも…、知れないけど…ねぇ~~。」
迅、
「まっ。でも…。向こうさんから、本部長直々に、お話なされたと言う事は…。」
「うん。これ…、つまりは…、薫子先生も、茉祐子も…、既に、周知の事実。」
「そう…なりますか…。」
「…そんな訳で…。この話は…、ここで、終了。」
迅、凛花共に、
「はい。」
凛花、踵を返して、
「では…。」
愛耶乃、凛花に合図して…。そして迅に、パソコンの画面を見て、画面を迅に、
「これなんだけどさ…。」
迅、
「はい。」
凛花、本部長室から出て、チラリと茉祐子を見て、
「ふふ。」
セールスプロモーション部、透明なガラスの壁で仕切られている隣の部屋。
スタッフたちのプライベートルームになっている。但し、声は聞こえない。
お弁当を食べながら、少しだけ気落ちしている茉祐子に千晶、
「ふん…???マユ…、どした~~???…な~~んだか、午前中から、あんまり…、元気…ないけど…???」
巴も和歌葉も、
「ふん…???」
「なんか…あったの…???茉祐子…???」
「ふん。」
そんな風に声を掛けられて茉祐子。
「実は…さ…。」
3人…共に、
「ふん。」
部署内では自分たちの席で勇吾と瑛輔が…。
勇吾は弁当、瑛輔はコンビニ弁当。
瑛輔、
「勇吾さん…。」
勇吾、
「ふ~~ん…???」

薫子と茉祐子~その愛~ vol.72. 愛耶乃、スマホを左耳に。
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庄司紗千 海をこえて
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
