「はいはい。お待たせ~~。」
通りに面したスペースのモニュメントに凭れてスマホの画面を見ている勇吾にひとりの女性。
エクレール経理部の錦野文歌である。
勇吾、
「おっと~~。来たか。」
にっこりと。
文歌、
「おはよ。」
勇吾、
「んじゃ、行こか。」
「うん。」
そしてふたり歩きながら…。あちらこちらを見ながらのウィンドウショッピング。
そして、某デパートのエスカレーターに乗って…。通路を歩いて…。
そしてフードショップでドリンクを購入。通路のテーブルで…。
椅子に座り、タブレットで何やら文字うち…らしき事をしている結月。
そんな結月の隣で背伸びしながら結月の見ているタブレットの画面を、
両手をテーブルに着けて見入っている歩夢(あゆ)。和沙の娘である。
「歩夢~~。邪魔しちゃだめよ~~。」
結月の左隣でこちらはスマホでテーブルの上の買ったばかりのムースを撮影してインスタに投稿している和沙。
結月に、
「どぅ…???どんな感じ…???」
「うん…、こんな感じで…いいかも…。」
結月。
「はははは。わったしもバカだよね~~。こんなミスしちゃってたか~~。ほら。」
その画像を見て和沙、
「うんうんうん。おぅ。や~~り~~。ナ~~イス~~。」
結月、
「はぁ~~。出来た~~。」
ドリンクを持って、そのままストローを口に、顔を上に…。
2階のテーブル席に目を…。
結月、途端に、
「うそ…。」
その時、いきなり和沙のスマホに電子音。
和沙、
「凄っ。今…上げたばかりなのに…、いいね。いきなりだよ。かかかか。」
結月、隣の和沙の右肩を左手で数回押す。
和沙、
「へっ…???」
結月、
「あれ。あれあれあれあれ。」
自分の顔の前で右手人差し指で見ている方向に…、和沙、
「えっ…???何…???」
結月の指先のその先を…。すると和沙も、
「うそ。へっ…???」
そしてふたり…共に、
「勇吾~~~~???」
そして次に、またふたり同時に、
「え゛~~~~~っ!!!!」
和沙、
「わっ。声…おっきっ。結月~~。」
「…って、あんたもだよ、和沙っ。」
楽しく会話をしているような景色の勇吾と文歌。
結月、上を見ながら…、
「相手…は…。」
少し、首を傾げて…、
「あれ…は…。確か…、経理の…???」
和沙、
「文歌。錦野文歌。」
結月、
「わお。」
そして、
「えぇ…???…何…???あのふたり…、どういう…繋がり…???」
和沙、
「いやいやいや。全然分かんない。」
歩夢、変な姿勢の母親とその友達を見て、母親の後ろに…、
「ねぇ…、ママ…、どうしたの…???」
和沙、
「あっ、歩夢、うん。ちょっとごめんね。ママたち、今…、ちょっと…忙しい…。」
その声に結月、
「ぷっ。いやいや。忙しい事…ないでしょ。かかかか。」
「うるさいよ、結月。これ…、凄い、発見だよ。」
今度は上を見ずに、しかも…、上からも気づかれないように。
今度はタブレットとスマホに集中。
結月、
「気づかれたら、アウトだよ。」
和沙、
「わ、わかってるよ。…しっかし…、たまげた~~。勇吾と文歌が~~。どういう切っ掛けで…???」
結月、
「全く、意味不明…。何があった…、あのふたり…???」
和沙、
「全く…、見当も付かない。」
目をキョロキョロと…。そして和沙、
「あっ、和歌葉。うん。和歌葉なら…分かるか…。確か…、経理の文歌と…同期…じゃ…、なかったかな~~。」
そしてスマホで…。
「バカ。和沙~~。よしなって~~。」
和沙を止める。
和沙、
「えっ…???」
「そんな事…したら~~。」
そんな結月を見て和沙、
「あっ。あ…は…はははは。そっ。そぅ…だよね~~。」
チラリと上を見て、
「勇吾…。ははは。」
結月、
「あいつにも…、なんとか…、いい子…、出来たみたい。…じゃ、ないの~~。」
にっこりと。
和沙、
「道理で…、この前、やたらとサービス精神旺盛~~。」
結月、
「ん~~~。」
勇吾と文歌が立ち上がる。下を見そうな…。
結月、和沙、
「やばっ。」
和沙、咄嗟に娘の歩夢を抱き締めて。
結月はタブレットの画面を食い入るように…。
そして勇吾と文歌が、ふたりの視野から消える。
結月、和沙、
「お~~~。」
歩夢、
「ママ、抱っこ~~。」

薫子と茉祐子~その愛~ vol.57. スマホの画面を見ている勇吾にひとりの女性。
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庄司紗千 海をこえて
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。