「はぐらかさないでください。」
伸永、翔にきっぱりと…。
「僕…、なんだか…、七瀬さん、見てると、なんだか…。」
翔、
「ナツ…。」
伸永、
「なんで…、加瀬さん…なんですか…???」
「なんでって…。」
そして、
「…言われても…。なっちまった…もんは…。」
「……。」
「俺だって…、断れねぇし…。」
その時伸永、
「分かりました。加瀬さんに、僕から…言います。」
瞬間、翔、
「は…あ…???」
「だって、七瀬さん、可哀そうでしょ。今まで、しっかりと…七瀬さんと翔さん。」
翔、その途端、
「今まで…、だからだ。」
伸永、
「えっ…???」
「今まで…だから。…で、これからは…。違う。」
再び伸永、
「えっ…???何言ってるんですか…???…七瀬さん、今、翔さんが、遠くに行ってしまうみたいでって…言ってるんです。」
そんな伸永の声に翔、
「尾田ちゃんさ~~。」
窓から廊下を見ながら、
「それって…、俺も…、同じなんだ…。」
伸永、
「えっ…???」
「ナツが、俺から遠く…なってしまってる。」
「七瀬さんが…、翔さんから遠く…???」
そんな伸永を見て、翔、ゆっくりと瞬きをして、
「あぁ…。」
伸永、
「何が…???どうして…???七瀬さんが、翔さんから遠く…???」
翔、伸永の顔を見て、腕組みして…、
「ふ~~。分かんねぇか…。」
伸永、
「どう…いう…???」
「尾田ちゃんとナツ…。今、仕事順調だよな。」
その声に伸永、
「えっ…???えぇ……。」
「もし…、何か…問題があっても、それって…なんとか…クリア…してんだろ…。」
「まっ、まぁ…。えぇ…、なんとか…???」
「そういう…、ふたりの中に、俺…、入れねぇだろ…。…しかもだ。俺たちが考えられねぇような…、やり方で…。」
伸永、
「えっ…???…あっ…。」
「そして…、俺…、今の…俺…。優里亜の事…、断れねぇんだ…。」
「翔…さん。」
「最初は…そんなつもり…、毛頭なかった。…けど…。さすがに…、優里亜が…熱中症で…倒れたのが…。切っ掛けだったのかなぁ~~。」
「そ…、そんな…。」
数秒…沈黙。
コーヒーカップを持って。
壁側に背中を凭れさせていたのを、スクっと立ち上がり、翔、
「尾田ちゃん…。」
伸永、
「はい。」
「ひとつだけ…。ナツ…、尾田ちゃんの事…、好きだぜ。」
その声に伸永、
「えっ…???」
翔、コーヒーを全部飲み干してゴミ箱に。
「仕事に戻る。」
伸永、
「えっ…???今…、翔さん…、なんて…???…うそ…。」
部署に戻った伸永にいきなり奈都美、
「尾田君、ど~~こ行ってたの~~。翡翠堂、行くよ~~。今、電話あって、カンちゃんと一緒に来てくれって。」
葉月、
「新しいのできたからって…。見てくれって…。この前のヤツ…。」
伸永、
「あ~~。あ、はい。」
タクシーに乗りながらの葉月、奈都美、そして右側に伸永。
さっきから黙り込んでいる伸永。
奈都美、
「…ん…???どしたの…???さっきから黙り込んで…。」
「あ~~、いや…。別に…。はい。」
何とか誤魔化そうとして、照れながら…。
「…って、なんであんたが照れてんのよ。」
伸永の左頭を右拳中指でコツン。奈都美。
葉月、自分のスマホの画面に、
「…でね。」
奈都美、
「うんうん。わお。いい、いい。」
「…でっしょう~~。」
伸永、窓の外を見て、頭の中で、
「…七瀬さんが…僕を…???有り得ないでしょ。」
そして、翡翠堂での打ち合わせが終わっての、店の中で奈都美のスマホに、
「あっ、はい、ダイさん。どうし…。」
「あ~~。ナッちゃん、翡翠堂、どうなってる…今…???」
康。
「え~~。今、終わって、これから帰る…。」
「すまん。これから…尾田ちゃんと一緒、デランナ…、行ってくれるか…???…山城専務が会いたいそうだ。明日からヨーロッパに出張らしい。その前に、一度会っておきたいって…。」
奈都美、
「へっ…???これから…???」
腕時計を見て、夕方、5時を回っている。
葉月、そんな奈都美を見て、
「ふん…???ナツ…、電話…???」
伸永、
「えぇ…。主任から…みたい…。」
奈都美、
「わ…かりました。はい。」

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