奈都美、椅子に座り直して、小鼻を赤くして、まだ目を潤めて…。
そして恥ずかし気に、
「へへ…。ごめんね。ちょっとね…。…なんだか…こぅ…。へへ。ん~~。分かんない。」
そして左隣の伸永の顔を見て、顔をクシャリとさせて、口から舌をビロン。
その奈都美の顔を見て伸永も顔を歪める。
剛輔、
「…ったく~~。なんだかな~~。」
美玖、腕組みをして…。そして葉月を見て。
葉月は残ったサワーを。
「美玖ちゃん、お代わり。」
美玖、
「は~~い。」
3人が店を出て、美玖、
「ねぇ~、マスター。」
剛輔、
「ん~~???」
「もしかして…、ナッちゃん、尾田ちゃん、好きなのかな~~。」
その声にいきなり剛輔、
「ぶっ!!!おぃおぃ。いきなり、何言いだす。」
「だ~~って~~。」
「いやいやいや。有り得ねぇだろ。都が、尾田ちゃん…???」
剛輔、空を見るように…。一瞬、手は止まったが…。けれども、やはり…、
「いやいやいや。全然、想像…付かない。」
美玖、
「ん~~~。なんでだろ、この感触…。」
帰り道。既に伸永とは別れて…。
葉月、
「ナツ~~。大丈夫~~???」
殆ど、元に戻っての奈都美、
「ふん。大丈夫、大丈夫、翔の声…聴けたし…。」
「…なら…いいんだけど~~。」
少し、黙ったままで歩くふたり。
葉月、
「ナツさ~~。」
「ん~~???」
「尾田ちゃんって…どう思う…???」
その声に奈都美、素っ頓狂な声を出して、
「はぁ~~~あ…???」
「いやいやいや。何、そんな素っ頓狂な声…???」
奈都美、
「いや…、いきなりカンちゃん、変な事…訊くから…。」
葉月、
「どうして…???」
「いや…。だって…、尾田君…。ん~~。」
「尾田ちゃん、好きなんじゃ…ないの…???」
その瞬間、奈都美、ドキン。そしていきなり慌てて、
「ば、ばかな事。」
そして懸命に顔を左右に、
「ないないないない。ないないない。」
葉月、
「ん~~~。」
奈都美、
「なんで、そんな事…。私には…翔が…。」
その時、何故かまた目が潤んで。
奈都美、鼻を啜る。
葉月、
「ナツ…。」
「あっ。ごめん。」
そして奈都美、夜の空を見て、
「はは…。なんでだろ…、星…、ぼやけて見える。」
懸命に堪えたはずの涙、零れて頬を伝って…。
そして今度はそれを両手で拭う奈都美。
葉月、
「ナツ…。」
そのまま奈都美、今度はいきなり腰を落として。
「うっ。うっ。」
葉月、
「ナツ~~。」
奈都美、泣きながら、
「なんかさ…。翔、遠くに行っちゃう感じ…してさ…。…そんな風に…感じると…、いっつも…そばにいる人に…、すがりたくってさ…。」
葉月の左肩に寄り掛かりながら奈都美。
葉月、
「うん。うん。分かってる。…知ってる。」
奈都美、泣きながら、
「尾田君…。ノブ…。いっつも、私の事、見ていてくれて…。助けてくれて…。」
「うん。分かってる。知ってる。」
「傍に…いてくれると…、嬉しい…。」
葉月、
「うんうん。分かった。うん。ナツ…、ほら。立って。帰ろ。」
それから3日後、康、パソコンの画面を見て、
「へぇ~~。凄ぇや。」
靖子、
「なになに、蔵之介~???」
「ん~~。これ…。加瀬優里亜のムース。今月、売り上げ、3位だって…。」
「へぇ~~~。や~~るね~~。…でも、うん。それは分かる。私も食べたから、うんうんうん。お~~いしかった~~。」
その声に勇喜雄も、
「けけけ。実は俺も。かかか。子供たちに人気で~~。」
そんな3人の声より高く、
「わっ。ほんとだ。リニューアルしてる~~っ。キャッハハハハハ。ナツナツナツ、見て見て見て。」
葉月。
靖子、
「どうしたのよ、カンちゃん。」
康、
「ん~~???」
奈都美、
「へっ…???」
伸永、葉月のパソコンの画面を…。すると、
「お~~~。はははは。うん。」
葉月、
「でっしょう~~。」
伸永を見て。
「翡翠堂…、ホームページ、見てみな。」
奈都美、
「翡翠堂…。……っと。わっ。ほんとだ~~。完全リニューアル~~。しかも、トップべージにウチのムース~~。キャハッ。」

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庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。