「…で、これなんだけど…。素材を吟味していくと…、確かに、問題はないんだけど…。原価…もう少し高くしてもOKって…。」
伊織。
その声に千尋と翔、
「えっ…???」
「…でも、マーケットリサーチでは…。」
伊織、
「うん。確かに、そっちでは20代…前後の年齢層がターゲット。…でも、今の状況から行くと~~。ふふ…。」
翔はその後、千尋と別れて自分のアポを取っている取引先へと…。
歩きながらスマホに着電。
「お~~優里亜~~。」
優里亜、
「うん、私。」
「しっかりと休んでるか~~。」
その声に優里亜、
「休んでるよ~~。」
ルームウェアでジュースを飲みながら、
「退院した後、部屋でゴロゴロで、もぅ~~退屈で、退屈で~~。」
翔、優里亜の声に、
「かかかか。そりゃ仕方がない。そんなんで、いきなり会社で仕事…なんてったら、何言われるか…。」
「うん。」
そして一拍置いて、
「ねね、主任…、どんな感じ…???凄い、キツクない…???」
「いやいやいや。とんでもない。その逆~~。」
「へっ…???」
「俺…、悪いけど…、噂に流されてた。」
その声に優里亜、
「へっ…???どういう事よ…。」
「すんげぇ~~話し上手。話し、していると、自然に引き込まれる。…そんな感じ。」
スマホから聞こえる優里亜の声。
「うそ。想像つかないんだけど…。」
優里亜のスマホから聞こえる翔の声。
「ん~~。…もしかしたら…、噂が…一人歩き…していた。」
優里亜、両目をキョロキョロと…。
「噂が…一人歩き…???」
歩きながら翔、
「ふん。まっ、これは…ウチの部長の受け売りだけど…。」
「ふ~~ん。」
優里亜。
「ねね。会って…、話せない…???今の進捗情報…聞きたいよ~~。どっちみち、後々は主任と交代…なると…思うし…。」
翔、
「うそ。大丈夫なのかよ、体~~。」
「このまんまじゃ、体…鈍っちゃうよ~~。少しずつ、食欲も回復してきてるし…。」
そんな優里亜の声に翔、
「…ったく~~。…但し、アルコールはダメだぞ。」
「了~解。」
ニコニコ顔の優里亜。
「あっ、あっ、んじゃあさ…。」
夕方6時。
奈都美、
「良し、行こう~~。カンちゃ~~ん。尾田く~~ん。翔も~~。」
葉月、
「良し、行こう~~。」
伸永、
「僕も終わりました~~。行きます。」
翔、
「おぅ、ユッコかぁ~~。」
けれども翔、
「ん~~。…俺…ちょっとまだ…だめだ。終わってねぇし…。…これ…やっちまわねぇと…。」
奈都美、
「へっ…???アレフーズの…???」
「あぁ…。向こうさんから、思いもよらない提案…、出てきたから…。」
「ふ~~ん。…んじゃ、先、行くね~~。」
「おぅ。」
奈都美と葉月がドアに向かう。
伸永、そのふたりを追い掛けるように椅子から立ち上がり…。
その時、翔、
「ユッコによろしくな。」
伸永、
「あ~~。はい。分かりました。」
そしてその30分後、翔、
「お先で~~す。」
康と勇喜雄、
「おぅ。お疲れ~~。」
そして…。
歩道を歩きながら、翔。
「フレンチ、ミカサ…。」
あちらこちらを見ながら…、
「おっと、ここだ、ここだ…。…って、え~~。こんな店…、あったっけ…???」
店内に入ってすぐに翔を見つけて右手を上げる優里亜。
その席に翔、
「おま…、大丈夫なのか~~???」
優里亜、にっこりと、
「大丈夫、大丈夫。ふふ。」
「…けど…、こんなところに…こんな店…、あったっけ…???」
その声に、優里亜、
「ふん。なかった。」
「はい…???」
「オープンしたの、2ヶ月前。ここ、蕎麦屋さんだったんだけど…。廃業したんだって。…んで、新しく出来たのが、このフレンチ。凄いよ、若者たちに人気。まっ、土台、蕎麦屋さんも人気だったんだけど…。店主の高齢化…。店、閉めようって。」
翔、
「ふ~~ん。な~~るほどね~~。うんうん。確かに…人気…ありそうな…、客~~。」
あちらこちらを見回して翔。
「そんなにキョロキョロ見ない~~。くくく。もぅ~~。」
笑顔を絶やさない優里亜。

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庄司紗千 海をこえて
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。