廊下に出て葉月、徳美に、
「蓬田さん、なんて言ったらいいか…。」
徳美、そんな葉月と奈都美、伸永に、
「いえいえ。…いつかは…こんな日がくるだろう…事は…、予想…してましたから…。」
奈都美、
「お悔み…申し上げます。」
徳美に深々と頭を下げて。
徳美、奈都美に、
「ありがとうございます。」
お辞儀をして、そして伸永の顔を見て、
「尾田さん、ありがとう。」
右手を差し出して。
伸永、
「あ、いいえ…。相談役…。」
そして徳美の右手を握り、
「もう…、会えないんですね。」
ポツリと。
徳美、
「えぇ…。…けど…、喜んでくれたと思います。」
伸永、
「これからも…。」
「えぇ…。もちろんです。こちらの方こそ…、是非、お願いしたい。」
伸永の右手を両手で握りしめて。
「ありがとうございます。」
葉月、
「それでは…私たちは…これで…。」
徳美、再び葉月と奈都美にお辞儀をして、
「ありがとうございました。」
渡り廊下の傍のフリースペース、ソファに座って話をしている光流と肇に3人、挨拶をして、
葉月、
「私たちはこれで…。」
光流と肇、ソファから立ち上がり、
「ありがとうございます。」
「これからもよろしく。」
そこから葉月たち、来たルートとは異なり、エスカレーターで…。
少し、ゆっくりと時間を過ごしたかった。
総合案内の待合室、葉月たちの気持ちとは裏腹に、多くの診察待ちの患者たち。
そして車椅子の入院患者を押しながらの看護師。
点滴スタンドを支えながらの入院患者、その患者を見守る様に看護師。
または行き交う通行人、そして連絡を取り合うかのように急ぎ足の看護師たち。
そんな風景を見ながらの葉月、奈都美、伸永。
「あっと、いけない。課長に連絡。」
葉月。
奈都美、
「あっ、うん。」
葉月、席を立ち上がり後ろの窓の方に…。
奈都美、そんな葉月を目で追いかけて。そして前を見て。
すると、驚くほど自然に奈都美、隣に座っている伸永の右手を握り、
「ノブ…。一緒にいてくれて…ありがと。」
奈都美から右手を握られ、そして奈都美の声に伸永、
「えっ…???」
「あんたがそばにいてくれなかったら、あの時、私…、倒れてた。」
伸永、まっすぐ前を見てそう話す奈都美に、
「七瀬…さん。」
奈都美、少し掠れたような声で、
「あぁいうの…初めてで…、怖かった。」
そして少しだけ、頭がぼぅ~~っとして、伸永の右肩に頭が…。
葉月、スマホを耳に、
「えぇ…。」
窓の外を見ながら、そして後ろを振り向き、奈都美と伸永を…。
その時、
「えっ…???」
伸永の右肩に凭れるように奈都美の頭。
葉月、咄嗟に、
「ナツ…。」
スマホの向こう、内海の声、
「おぃ。どうした、神田…???」
葉月、再び窓の外を…。
「あっ。…そういうわけで、私たち…これから、ユッコの病室に…。」
そしてまた後ろを振り向く葉月。今度は体勢は元のままの奈都美。
葉月、
「……。」
内海の声、
「そうか…、分かった。…とにかく…気をつけて帰ってこい。」
葉月、
「あっ、はい。分かりました。それでは…。」
通話を切って奈都美と伸永の席に戻る葉月。
「おまたせ~~。」
奈都美、
「あっ。うん。」
「ユッコ、寄ってこ。」
「そうだね。」
伸永、
「はい。」
木綿子の病室、葉月、ドアを開けるなり、
「ジャジャ~~ン。」
と、言って、
「わっ!!!」
木綿子、
「はい、おはよ~~。どうしたの~~。この時間…???」
中に入る3人。
奈都美、伸永、
「あっ。」
「ユッコさんの…。」
葉月、
「おかあさん、いらしたんですね~~。おはようございます。」
沙月、3人に、
「おはようございます。いつもどうも…。」
奈都美も伸永も、
「おはようございます。」
木綿子、既に頭から顔への包帯は取れてガーゼ保護のみ。
「おっ。いつもの綺麗なユッコの顔に戻ってる。」
木綿子、
「へへ。顔の方は、良い感じになってきてる。」

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庄司紗千 「雫音〜shizukune〜」
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。