「それにしても…、尾田君…、強いんだな~~。」
翔。
朋代、
「私もビックリ。」
葉月、
「私ゃ、忘れらんないよ。あんなの初めて見た。」
畏まりながら伸永、
「やめてくださいよ。恥ずかしいですから。」
「何言ってる。恥ずかしい事、ねぇじゃねぇか…。」
翔。
ナースステーションの前…。
梨花、会釈して、
「帰ります。」
看護師のひとり、
「何か…ありました…???大きな声…、しましたけど…。ここまで聞こえてきましたから…。…けど…、見に行ったら、何事もなくって…。」
その声にみな、伸永の顔を見て…。
奈都美、
「すみません。なんでもありません。ご心配掛けました。」
恥ずかし気な顔をして…。
内海、眠っている木綿子を見て、
「菱川~~。大変だったなぁ。全治…3ヶ月かぁ~~。」
天井を見て、
「参った~~~。」
瀧澤、木綿子の顔を撫でながら、優しい顔をして、
「ユッコ~~~。」
そして顔を厳しく、
「絶対に、許さない。」
奈都美の自宅前、奈都美、
「尾田君のお姉さん、ありがとうございました。」
梨花、
「うん。じゃね。おやすみ…。」
そして、
「あっ。しっかりしてね。」
奈都美、
「ありがとうございます。じゃ、トモさん、尾田君。」
朋代、そして伸永、
「うん。おやすみ。」
「おやすみなさい。」
実際、病院を出ての車の中、殆ど誰も口を利くことはなく…。
力なく玄関に。
そして、小さく、
「ただいま…。」
灯りが点いているリビング。そしてキッチン。素通りして階段を…。
奈留美、
「奈都美…帰った~~???」
その声に階段を上がりながら、小さな声で奈都美、
「…うん。」
リビングから奈留美、
「奈都美~~。」
階段を上がりながら下を振り返って、
「かあさん…。」
「大丈夫…???」
「うん。まだ…部長と課長、病院、残ってる。」
「そ…、そぅ…。友達…???」
「うん。…全治…3ヶ月…だって…。」
「え~~~???うわぁ~~。たいへん。」
リビングに戻って奈留美、広武に、
「奈都美の友達、全治3か月。」
広武、妻の顔を見て、両肩を落として、溜息交じりに、
「そっか~~。ふ~~ん。」
ベッドにバ~~ン、奈都美、
「ユッコ…。」
それから数分。奈都美のスマホに…。翔からである。
「うん。私。」
「ナツ~~。大丈夫か~~???」
ベッドの上で仰向けになったままで奈都美、
「うん。」
「…って、言うか、…んな訳…ないか…。」
「帰りの車の中でも、誰も…喋んなかったから…。」
「ふ~~~ん。」
「翔~~。」
「ん~~???」
何かしらまた、目頭が熱くなって、少し鼓動が高鳴り、
「あいたい。」
「ナツ…。」
「なんか…さ…。心細くって…。」
その声に翔、
「ふ~~。だ~~な…。…んじゃ…、これからそっち…行くか…???」
奈都美、
「うん。」
小さく。
そして数秒の沈黙。
「ぷっ。」
奈都美。
「な~~んてね。」
翔、
「これ…。」
「かかかか。」
「ば~~か。」
「ばかじゃないよ。」
そして、
「女ってね。こういう時は、物凄い心細くなっちゃうの。誰かに傍にいて欲しくなっちゃうの。」
翔、
「ふん。」
「でもね。好きな人の声、聴くだけでも、安心…、するんだよ。…まっ、会えるんなら…、それに越したことはないんだけど…。」
翔、また、
「ふん。」
「明日も仕事。そして、翔に会える。」
「おぅ。」
そしてまた数秒の沈黙。
奈都美、
「もぅ~~。寝る寝る~~。」
翔、
「おぅ。また明日な。」
その声にまた奈都美、少し目が潤んで…、
「うん…。」
「おぃおぃ…、泣いてんじゃねぇぞ…。」
鼻水を啜って奈都美、ベッドから起き上がって、
「あぃ。分かりました。へへ。」
「おぅ。じゃな。」
通話が切れる。
そして今度はうつ伏せになってベッドにバン、
「ユッコ~~~。」

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庄司紗千 花笠音頭
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。