「ただ…いま…。っと~~。…そして、おかえり…っと~~。」
優里亜、アパートの玄関を開けて中へ。そのままゆっくりと、ベッドまで。
そのまま、ベッドにバ~~~ン。
うつ伏せになったまま、
「今頃、な~~にやってんだろ、あの人…。」
何故かしら自然に零れる涙。その涙に気づいて、今度は仰向けに。
暗闇の中で見つめる自分の部屋の天井。
目を閉じようとも、閉じまいとも浮かんでくる勝巳の顔。
そして自然に小鼻が、ツ~~ンと。
その瞬間、
「うっ…、うっ…。」
そして今度はまたうつ伏せになり、枕を抱えながら、声を殺して泣く。
それから数日。
優里亜を見る社員たち。
「えっ…???」
「うわっ。」
「はっ…???」
「おぃお~~い。」
「うそ…。」
「へぇ~~~。思い切ったね~~。」
営業部の社員たち。
女子社員、
「優里亜…、どうしちゃったの…、その髪…???」
ロングヘアからいきなりショートヘアに。
「いやいやいや。どうしたの~~優里亜~~???」
また別の女性社員。
優里亜、そんな社員たちに目を真ん丸くして、そしてにっこりと笑って、
「へへ。切っちゃった。」
「切っちゃったって…。えへ~~~。」
こちらも目を真ん丸くして唇を尖らせて顔を左右に振る三谷亮子(みたにりょうこ)。
優里亜の隣の席の営業社員である。
「何々…???なんか…心境の変化…って…、やつ…???」
そんな亮子に優里亜、
「んふ~~ん。さ~~て…。どっかな~~。」
優しい笑みを…。
「お~~い、加瀬く~~ん。」
窓際の席から優里亜を手招きして士門将人(しもんまさと)。
優里亜、
「あっ、は~~い。」
士門の席に。
「課長…???」
士門、優里亜の顔を見て、にっこりと、
「ふん…。部長がお呼びだ。」
営業部の部長室の方に顔を向けて。
優里亜、
「部長…???」
「ほら~~。早く~~。」
優里亜、
「あっ。あ~~。はい。」
席から離れる優里亜に士門、
「髪…似合ってるぞ。頑張れ。」
その瞬間、優里亜、
「へっ…???あ。はい。ありがとう…ございます。」
語尾を弱めて。いそいそと。
ドアをノックして…。
「加瀬です。失礼します…。部長…???」
部屋の中で徳嶺瑞樹(とくみねみずき)、
「お~~。お疲れさん。」
優里亜を手招き。
既に部長室にはふたりの男女。その男女に向かって、
「キャンペーンを担当している加瀬です。」
優里亜、
「あ…。はぁ…。」
大凡20分後。
亮子、席に戻ってきた優里亜に、
「ねね、何だったの…部長…???」
小さな声で…。
優里亜、目をパチクリさせて、唇を一文字にして。
「…びっくりした~~。」
「えへ~~~???」
「なになに…???」
向かいの席の清水亜美(しみずあみ)。
優里亜、
「物凄いところから、アプローチ、されちゃった~~。」
その声に亮子も亜美も、
「え…???どこどこどこ…???」
優里亜、
「アレフーズ…東京…。」
亮子、
「アレフーズ…。…って、うそ――――――っ!!!!大手たる、大手じゃな~~い。」
亜美も、
「すんげぇ~~~。」
優里亜、
「なんだか…、まだ…信じられない。あんなところからアプローチされたなんて…。」
亮子、
「うんうんうん。凄いよ、凄いよ。」
「加瀬く~~ん。」
また士門。
優里亜、
「あっ。はい。」
そして士門の席に。
「この資料、頼むわ。データ。整理してくれる…???」
優里亜、
「分かりました。」
士門、
「あっ。そうだ。アレフーズ…、おめでとう。」
優里亜、照れながら、
「ありがとう…ございます。」
「みんなも聞いてくれ~~。加瀬が、アレフーズ東京から、アプローチされた~~。新規開拓だ~~。」
その瞬間、
「おっしゃ~~。」
「や~~り~~。」
「イェ~~イ。」
いきなり拍手喝采。
「おめでとう~~。」
優里亜、社員全員に照れながら、
「あ…りがとうございます。」
何度もお辞儀をして…。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
《PR》
庄司紗千 海をこえて
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。