席に戻って木綿子、右側を見て、
「な~~に、ひとつ席、空けてる~~。尾田ちゃ~ん。」
伸永、
「えっ…???」
しっかりと奈都美が座った席をそのままにして…。
木綿子、両腕を交互に、両手指を波のように折りながら、両眉を上下に。
伸永、
「あ…。はい。」
そんな光景を見て剛輔、
「ぷっ。」
「奈都美…。奈~都~美。奈~都~美っ!!!」
その声に奈都美、
「…ん…、ん~~。うるっさいな~~。もう…少し…。」
そして頭を左に。
「ん~~。」
その途端、
「えっ!!!」
ガバッと起きて。
両手を両脇に奈留美、
「遅れるよっ!!!何時だと思ってんの。」
奈都美、
「やばっ。やばやば。今、何時…???」
「もぅ~8時過ぎ~~。」
「うそでしょ。」
いきなりベッドから降りて、
「なんで、起こしてくんない。」
「起こせる訳ないでしょ。そんな事したら、怒るに決まってんだから~~。」
奈都美、
「はいはいはいはい。分かった分かった。」
「車で送ってく~~???駅まで行って、そこから…。」
奈都美、咄嗟に駅まで…、そして駅からの事を考えると…。
そして、渋滞の事を考えて…。
「ん~~。どっちみち…、電車…乗り遅れたら…。」
着替えながら。
「そうこうしながらも、時間…過ぎちゃうよ~。」
奈留美。
顔をぐしゃりとさせて奈都美、
「ん~~。お願い。かあさん。」
「早く準備なさい。下で待ってるから。」
「サンキュ。」
そして数分後、ドタバタと。
奈都美、
「行ってきま~~す。」
「誰に言ってんの…???」
「おとうさん。」
「いる訳ないでしょ。もう出掛けてるわよ。」
「あ。そっか…。」
車に乗って、奈留美、
「はい。」
紙袋を奈都美に。
「へっ…???」
「朝ごはん。」
袋の中におにぎりと野菜ジュース。
奈都美、
「わお。サ~ンキュ。」
「昨夜、剛ちゃんから電話来て、かなり疲れているようだから、帰ったらそのまま寝るぞ~~。…まっ、その通り。帰った途端にすぐに2階上がって、そのまんま。」
奈都美、
「うそ…。」
「どんだけ疲れてたのやら…。」
奈都美、頭を傾げて、
「マルシェの…あれから…、記憶が…ない。」
「そ~~んなに飲んでたの~~。」
その母の声に、右手を振り、
「いやいやいやいや。確か…、生…一杯…飲んだ…か…???」
奈留美、
「はっ…???」
そして…。
「ありがと、かあさん。恩に着る。」
ドアを開けて奈都美。
「どう…???間に合う…???」
「ギリッギリ。セーフ。」
奈留美、
「ふふ。行ってらっしゃい。」
ドアを閉めて奈都美、ドアの外で、右手を顔の前で立てて。
奈留美、そんな奈都美に、左手を立てて、ヒラヒラと。
会社の玄関で、勝巳と優里亜、
「よぅ、おはよ。」
「あら…。ナツ~~。随分のんびりね~~。」
奈都美、
「あははははは~~。おはようございます~~。」
急ぎ足で、エレベーターに向かう。
そんな奈都美を歩きながら見つめながらの優里亜。
勝巳、
「行くよ。」
優里亜、
「あ~~うん。」
「それにしても、驚きだよな、彼女。それに、あの、ひ弱な彼。」
「えっ…???あ~~。うん。」
「SNSで…、あんなこと…出来るって…。普通…、忍び込めねぇぞ。」
「う…。うん。」
優里亜、
「あ…、ごめん。ちょっと、先…行ってくれる。すぐ追いつく。」
勝巳、
「あ。あ~~。良いけど…。」
「ごめん。」
そのまま振り返ってエレベーターに向かう優里亜。
勝巳、
「なんだ…???」
エレベーターから降りて部署に向かう奈都美。
その奈都美を追い掛けて、
「ナツっ!!!」
その声に奈都美、いきなり振り向いて、
「へっ…???優里亜…???」
声を出せずにいる優里亜。
奈都美、頭を傾げて、
「…???…なに…???」
そして、
「ごめん。」
右手を立てて…、
「遅れる…。」
優里亜、
「あ…、あの…。」
そして、口から出た言葉が…、
「ありがと、新しいの…、そして…キャンペーンの…。」
奈都美、その声に、何かしら…変顔の笑顔で、
「あ~~。あ、はいはい。いえいえ。んじゃ。」
瞬間、優里亜、小さな声で、
「私…、何言ってる…???」

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
《PR》
庄司紗千 海をこえて
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。