その夜の大凡3時間前、都内の某フランスレストランにて…。
「まずは…乾杯しましょ。」
並榎志穂梨。
「我々の好発進の兆し、祝して。」
志穂梨の左隣りに座っている神津幸也(かみづこうや)経営コンサルタント会社を経営している。
そして、ブランド、ル・モンドの顧問でもある。
そしてこの神津の向かいの席にはル・モンドの取締役常務となった鈴谷紅愛(すずやくれあ)。
「んふふふふ。た~~のしみだわ~~。志穂梨と一緒に仕事が出来るなんて、これ以上の栄誉は…ないわ。ねぇ~~。芳樹さ~~ん。」
志穂梨の向かいの席に座っているのが、勝巳芳樹。
「こちらこそ、光栄の至り。」
志穂梨、
「1ヶ月後が、楽しみ。ふふ。」
「社長と出会い、半年。まさか、ル・モンドに誘ってくれるとは…、思いも掛けませんでした。」
志穂梨、そんな勝巳に、
「クレアに、自分と一緒に、私の片腕になる人、探して。…て、言ったら、何と、あなただったから、私も、間違いないって思ってね~~。」
「フランスから帰って、いろんな人…心当たり、探してみたんだけど…。な~~んとも、ピンと来なくって~~。どうせなら、昔、一緒に仕事した人…って思って調べてみたら、何とビンゴ。職種は違うけど、今も営業でジャンジャン稼いでんじゃな~~い。」
紅愛。
そんな紅愛の話に芳樹、
「ははは。ジャンジャンはないだろ、久し振りに会った同期に~~。」
志穂梨、
「ねぇ~~。大学の同期で、一緒に仕事したときがある。なんて、世の中…狭いわ。あっ。乾杯…。」
「いつ飲んでいいのか、お伺いしたくなりましたよ。待ち兼ねました。かかかか。」
神津幸也。
「では…。乾杯。」
それぞれ、ワイングラスを傾けて。
「ねね、身辺整理は大丈夫~~???例の彼女…???」
紅愛、芳樹に。
そんな紅愛に志穂梨、
「クレア~~。」
芳樹、
「は・あ…???身辺整理…???」
志穂梨、
「失礼でしょ、勝巳さんに~~。」
紅愛、
「いやいや。これからしっかりと仕事~~。とにかく、クリーンな方がいいも~~ん。」
神津、笑いながら、
「いやいや。紅愛さん。うんうん。ごもっとも。」
そして、
「…けど、もし、なんでしたら…、いっそのこと、社長、勝巳さんと…。なんなら…よろしいのでは~~。」
その神津の声に紅愛、
「あっ。それいい~~。うんうんうん。」
志穂梨、
「な~~にバカな事言ってんの~~。勝巳さんに失礼よ~~。こんなおばさん。」
「な~~にバカな事…じゃないよ~~。常務の私が2人の子持ちで、社長がまだ…シングルなんて~~。」
そして、
「しかも~~。歳の差…10歳…超えてんですからね~~。」
その声に芳樹、思わず、
「プッ。」
紅愛、
「ねぇ~~。でしょ、でしょ。」
何故かテンションが高くなる紅愛。
神津、
「かかかかか。まぁまぁ…紅愛さん、そんな…熱くならない、ならない。」
志穂梨、
「ま~~た、そんな話、持ちだすし~~。」
「だ~~って、芳樹だって…。」
紅愛、いきなり芳樹に口を真一文字に、そして細めた目で見ながらにっこりと、
「志穂梨…、良いって思ってんでしょ。」
唇を、「チュ~」の字にして。
芳樹、いきなり改まって、両手の平を振りながら、
「いやいやいや。ちょっ、ちょ~~っと、待ってよ、鈴谷さ~~ん。」
「なに…???昔はクレアって呼び捨てで呼んどいて、今は鈴谷さんって…。」
志穂梨、
「お~~~い。絡むな~~。ほぃ、料理…来たヨ~~。」
「ははは。いよいよ…頂けますか…。」
神津。
紅愛、
「あら、神津さん…???」
神津、
「ははは。いえね。今日は朝からてんてこまいで。あんまり食べてないんですよ。」
志穂梨、
「あら…。」

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庄司紗千 海をこえて
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。