すかさずスマホを耳に奈都美、
「もしもし…。もしもし…。」
聞こえてくる声、
「もし…、もし…。」
そのたどたどしい声に、いきなり奈都美、
「ガクッ。」
そして、
「お~~~い。」
声に出していた。それに気づいて、
「あ。ごめん。」
耳に届く男性の声、
「あ。…いえ…。」
奈都美、
「ビ~~ックリしたよ~~。電話来てたなんて、知らなかった~~。今、お風呂から上がったばっかだったから~~。」
そんな声に返ってくる声、
「あっ。ごめんなさい。僕…。」
「何、どうしたの…???」
「あの…。いえ…。夕べは…。あの…。その…。ありがとう…、ございました。」
「へっ…???…どうしたの…、いきなり…。」
いつの間にかベッドの上で胡坐を掻いている奈都美。
電話の相手は伸永である。
聞こえてくる声、
「あの…。昨日の…、姉ちゃんから聞かれて…。」
「うんうん。」
「話したら…、喜んで…くれたみたいで…。」
そんな伸永の声に奈都美、
「うんうんうん。」
「あの…。」
「うん…???」
「仕事、頑張ります。」
奈都美、可笑しくなって、
「う…、うん。分かった。」
「じゃ…。」
そしてプツリと通話が切れる。
「うん、じゃ…。はい…???…って、いや…、それだけかぃ。」
いきなりドドッと、疲れが…。両肩を落として、頭をガックリと…。
「話の途中で、いきなり電話、切るなよ~~~。もぅやだ~~~~。翔~~~。」
そう言いながら背中からベッドにバン。そしてまた起き上がり、
「もぅ~~。のぶなが――――――っ!!!」
ぶすっとした顔で…。
キッチンで料理の下拵えをしていた奈留美、そしてテーブルでお茶を飲んでいた広武も、
「なに…???」
「なんだ…???今の声…。」
奈都美、
「へっ…???今、私…なんて言った…???」
広武、いきなり階段から2階に、
「ナツ!!!どした~~???」
奈都美、舌を出して、
「ヤ~~ッバ。」
そして、
「なんでもな~~い。」
広武、テーブルに戻って、
「なんだよ、驚かすなよ。」
奈留美、
「なんなの、今の声~~???」
広武、首を捻って、
「さぁ…???」
そして数分後、廊下を歩く妃呂美、
「あ~~さっぱりした~~。」
キッチンの冷蔵庫からオレンジジュースを。
グラスに注いで、飲んで…。グラスを洗って、
「あっ、おかあさん、それ…、明日の…下準備。」
奈留美、
「うん。明日、かあさん、朝からなんだかんだで予定びっしり。だから、明日は簡単に出来るように、今から。」
妃呂美、
「うん。さて。寝よう~~っと。」
階段を上る妃呂美。
「…って~~事は…あいつにゃ、聞こえなかったと~~。」
奈留美、
「ふん。その…ようね~~。…って言うか、お父さん。」
広武、
「ふん…???」
「ほら、妃呂美が買って欲しいもの…。なんだったの…???」
その声に広武、
「あ~~。いや…。聞いて…ないけど…。」
「ぷっ。う~~っわ。恐~~~。」
その声に広武、
「えっ…???なんで…???」
「もんの凄いもの…、ねだられるかも~~。クッククククク。」
「ま~た、またまたまた~~。かあさんまで~~。」
「くっくくく。た~のしみだ~~。大学2年。覚悟しておいた方が~~。」
そんな妻の声に広武、
「かあさん…。」
口を尖らせて…。
そして、
「へぇ~~。」
思わず、左肘をテーブルに。そして左手甲にオデコを乗せて、
「参ったな…。執念深~~。」
そんな夫を見て奈留美、
「そりゃ、女ですもの。好きなもの、買ってくれるとなりゃ。考えちゃうよね~~。じっくりと…。」
広武、今度は両手を脇に、
「ふん。」
そして、
「寝るわ。」
奈留美、
「はい。おやすみなさ~~い。」
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庄司紗千 きっと大丈夫
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
