「矢萩デスク~。すみません。これ…お願いします。」
数枚の資料を健之の前に若。
「おぅ~、ありがと…。出来てたか…。」
健之。
「はい。今…出来たばかりで…。遅くなってすみません。」
「ん~~。いやいや…。ありがと。うん。」
「それから~…。」
「…ん…???」
資料を見て、それから若の顔に目を向けて。
「…ん…???おや…そっち…???」
健之が真っ直ぐ赤の信号で立ち止まると思いきや、
そんな健之に右手で合図して若。
「はい。すみません。いつもの場所だと、何だか…、溶け込みにくくって…。」
苦笑いをしながら若。
「ふ~ん…。まっ。そんな感じも…あるか…。はは…、特に若ちゃんの場合だと…。」
桜華に転職してから、瑞樹を初め、
同じ編集局の編集者たちと一緒に仕事柄の話をしながらの食事で、
数回利用しているスタンドバーがあった。
けれども、その場所は、客の多くが30代以上と見られる。
少し若には居心地的には引く感じの店だったのである。
それもそのはず。ソフィアの編集者の殆どは30代。
それに対して若はまだ21歳。年齢的にも先輩編集者から見れば、
まだまだ子供扱いだったのである。しかも、結構内気の性格である若。
それほど友達に恵まれていると言う事でもなかった。
そんな若が向かった店。
「ふ~ん。これはまた、こういう店…。ふふ…、若ちゃんには…良いかも…。」
健之。ドアを開けて…。
「いらっしゃいませ。」
にこやかに挨拶をする男性。
若、
「あっ、あ~~。…新し…い、人…???」
健之、
「…ん…???」
若、
「こんにちは…。ここ…、良いですか…???」
カウンターの前に立って。
男性、
「えぇ~。大丈夫ですよ~どうぞ。」
そして奥から出てきた男性。
「あいや。若ちゃん。久し振りだね~~。え~~。数か月…見ない間に、綺麗になったって…。か~~。」
「もう~~おじちゃん。ふふ…。お久し振りで~す。」
「おぅ。元気でなによりだ。うん。…で…、そちらの方は…。初め…て…。」
「あ…、はい。彼女から誘われて…。初めまして…。」
健之。
「こりゃ、こりゃ…。初めまして…。…へぇ~~。若ちゃんと一緒って…事は…。…もしかしたら…、ソフィア…の…方…???」
「えぇ~…。まぁ。」

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庄司紗千 海をこえて
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。