「この前訊いた、あれって…。まだ…誰か…分かんないの…???」
知寿子。
「…ん…???あれって…???誰かって…???」
少し考えて麻衣子、
「あっ。あ~~。あ~~あ~~あれ~。」
「何々、何々よ、マコ~。チズ~???」
ふたりの顔を交互に見ながら捷子。
「うん。実は、最近、モッちゃんのスマホに、全く覚えのない電話番号で、電話が掛かってくるんだって。」
知寿子。
「うわっ。え~~……。」
捷子。
「恐いから、絶対出ちゃだめよ。…って、モッちゃんには…言ってるんだけど…。」
麻衣子。
「ん…???おやおや…。マコ~~。モッちゃんの事…、心配してる~~。」
にやけながら捷子。
「ばかね~~。心配するじゃないよ~友達だもん。」
口をすぼめて捷子、
「ほいほい。ほいほい。」
「でも…、さぁ~~。そんなに掛かってくるんなら…。もしか…したら…、電話…出る…かも…。」
そして、少し間を置いて…、
「どうしても…嫌なら…、逆に…拒否設定…するでしょ、普通…。」
そんな知寿子の話に、麻衣子、
「う…、うん。…でも…、聞けば、そんなに頻繁じゃないっても…言うし…。」
「しんぱい…。だ~ね~~。」
捷子。
麻衣子、
「……。」
「え゛―――――――っ!!!うそうそうそうそ。マジで!!!」
いきなり椅子から立ち上がり、受話器を右耳から左耳に移し替えて典。
「あの…。」
目を閉じて、右手をあちらこちらに…。そして額に。頭に、右脇に…。
「ちょ…。ちょっと…。」
周囲の社員は思わず呆気に取られて沈黙状態…。
受話器の向こう、
「…もしもし。もしも~し。宮部~~。お~~い…。」
「あ…、あの…。岩(がん)ちゃん…。それって…、あの…、企画が…。あの…企画が…。」
株式会社「Le vœu(ルヴゥ)」宝飾部広報宣伝部員、岩井瑞樹。
受話器の向こう、宮部典に、
「おぅ。決まっちゃった~。かかか…。今も言ったけど…。5000万だと。」
典…、目をパチクリさせて…、
「ご…、ご…。ごせんまん……。」
「お~い。おいお~い。み~や~べ~。」
いきなり典、
「や…った――――――――っ!!!」
そして、隣の雅人に、いきなり抱き付いて、
「やった、やった、やった――――――――っ!!!」
雅人、
「な…、な…、なんだ…???」
電話の向こう、岩井瑞樹、
「だめだ、こりゃ。完璧に…舞い上がってるな、宮部のヤツ。かかか…。」

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庄司紗千 海をこえて
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。