既にベッドに横になっている侑佳。
その隣に静かに横になる直道。
数分後、体を直道に向ける侑佳。
けれども、それと同時に、侑佳に背中を見せる直道。
「ごめん…、疲れてる。」
もう既に慣れた言葉ではあった。慣れた言葉ではあったけれども、
いつも聞くその言葉に、侑佳はいつも、心が空虚になるのであった。
けれども、それも仕方ないと侑佳自身は認識していた。
流産をしてその後、中々侑佳は立ち直れずにいた。
けれども直道は侑佳を何とか励まし続け、折を見ては、
「また…作れば良い。」
と…。
2週間、そして3週間経ち、そして1ヶ月。
ある日、義母と義父が義父の仕事上、東京でパーティがあると言う事で2日間、
留守をした時があった。
その夜、いつになく侑佳はテレビで今までになく可笑しく笑っていた。
映画を観ていたのだ。今までに観た事のない映画だった。
男女の恋愛をテーマにした物語、コメディもあり、そして涙を流す場面でもあった。
隣で静かに同じ映画を観ている直道。
ふと涙が零れ、直道の肩に凭れ掛かる侑佳、
その時、直道も優しく侑佳の頭を撫でて、そのまま侑佳の右肩に腕を回し、
顔を直道の顔に向けて唇を重ねた。
そして直道は侑佳を抱えながらも、左手で侑佳の右の胸を…。
その瞬間、何故かしらいきなり侑佳は直道のその手を自分の胸から拒絶した。
そして直道に背を向けて、事もあろうか、
その場を立ち寝室に足早に駈け込んでしまったのだった。
何がどうしたのかさっぱり分からない直道、
「侑佳…。」
寝室に入った直道は、侑佳に、
「侑佳…、おまえ…、どうした…???」
ベッドサイドに腰掛けたまま、両膝の上、スカートを両手でギッシリと握り締めて…。
顔を下向きに、困惑したような声で、
「…ご…、ごめん…なさい。う…、う…。私…。…分からない。」
そんな侑佳の右肩に手を置く直道、侑佳の肩は…振るえていた。
「ゆ…う…か…。」
そのままベッドの布団を捲り、優しく直道、
「先に…、休んでなさい。」
そのままの格好でベッドに潜り込む侑佳。直道に背中を向けて…。
そして、涙を流しながら…、
「私…。…どうしたんだろ…???」

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※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。