「奈々ちゃん…、じゃ行くよ。」 その小川の言葉に様々なポーズでカメラのファインダーに納まる奈々子。
今やどんなファッションアイテムを身に纏おうと、
そのアイテムをふんだんに活かせるモデルへと変わって行く奈々子。
しかも、単にアイテムだけではなく、グッズを身に付けても、
それを写真にはしっかりとポイントとして、
読者には高感度が高いインプレッションを与えていた。
その後、健介とも時折デートを繰り返し…、
ただ、今まで通りに、書店での帰りに待ち合わせをすることが前提ではあり、
健介は未だに、普段の奈々子の姿を目の当たりにしてはいなかった。
けれども健介は構わなかった。
そしてもう1つ。何故かしら健介と奈々子が2人で逢っている時に、
一緒に会話をしている時に、健介の口からは、
「紗友莉」と言う名前は一切出てこなかった…。
それだけではない、奈々子からも、
今現在も恋人なのだろう健介の彼女についても、
一切口から出る事はなかった。
特に意識している訳でもない。
けれども何故かしら、健介が気付く事もなく、
紗友莉がゆっくりとではあるが、
薄いオーラのようなものを揺らしながら離れて行くのであった。
当然の事ながら、それを当の紗友莉自身も気付く事なく…。
そして、いつの間にかそんな健介と紗友莉自体、
友達以上、恋人未満になりつつあった。
ある夕方のアトリエ。
「紗友…スマホ…鳴ってる。」
「あっ、ありがと…。」
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