「いえ。大丈夫です。」 実際、うやむやのままでいるのが奈々子自身嫌だった。
電話の向こうで言う健介の、
「…じゃあ、そこで30分後に…。」
意外にも奈々子自身も知っているお店だったために、
二つ返事で電話を切ったのだった。
奈々子がその店に着き、その10分後には健介も店に顔を出した。
奈々子が座っている席に健介が歩いてくる内に、
既に数名の女性が健介に視線を向けているのが奈々子にも感じられた。
開口一番に、
「ごめんね、いきなり呼び出した感じになっちゃって。」
そう言いながら奈々子の向いの椅子に座る健介。
その途端に、店員他、周囲の客たちも、
微妙なまでに沈黙にも似た感じの雰囲気…。
それもそのはず、この状況での奈々子と健介の対面と言うのは、
周囲からすれば、
「えっ…このふたり…どういう…???」
お洒落とは全く掛け離れた装いの奈々子に、
女性なら誰でも視線を絡めたい感じの健介。
けれども健介は一切気にせずに奈々子に話し掛ける。
そんな気さくさに奈々子も…。
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