顔に零れる涙…。 | THMIS mama “お洒落の小部屋”
  たどたどしい足取りで、体を崩しながらベッドに手を付き、
看護師が、そんな川岸の体を支えようと…。
「川岸さん…。」

もう…名前すら呼んでも目を開く事のない…そんな基子の顔を見て、
「モコ…、何だって、こんな…。」

医師も看護師もなかった、必然的に右手が基子の顔を撫でていた。
全く血色のない顔に川岸の涙が零れ、
その零れた涙を左手親指でなぞりながら…鼻水を啜り、
「先生…。」

暗い表情のままで医師が…。


リビングにはまだ物干しに干されていない、
洗濯物が入ったカゴがそのままの状態で…。

家の施錠だけは全部済まされ、寝室だけが少し乱れたままで、
愛子は車で基子の病院に向かっていた。表情は厳しいままで。

頭の中は基子の事ばかりに集中されていた。
それもそのはずである。大学時代からの後輩なのである。

愛子にはその頃の事が次から、次へと頭に浮かんでくるのだった。
けれども、まだ涙は出てこなかった。
こころの中で、

「お願い…、モコ。」
と、そればかりを叫んでいた。 



顔に零れる涙…。 



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