立花も一旦は椅子に座ったのだが、 椅子から離れ、窓際に立ち、じっと窓の外を見続けていた。
そんな立花を見つめながらも、社員たちの手は動くしかなかった。
各々の顔は暗い表情のままで…。
何も知らない愛子が、活けたばかりの花瓶をリビングに飾り、
あれこれと家事を続けていた。
タクシーの中で、悲壮感に包まれながら川岸は、
基子の白血病の事を思い、そしてまたあの栄二の事故の事を思い、
そして栄二の葬儀の事を思い…。
その時、自分の意思ではないような感覚で、
ポケットから携帯を取り出し、リダイヤルから選択を押していた。
長らく呼び出しをしていた。
その頃愛子は、洗濯室にいた。
脱水したものを洗濯かごに入れ、また別の洗濯物を入れ、
洗剤を入れスタートボタンを押し、
陽の当たる庭に出ようと洗濯かごを持ちながら廊下を歩いていた矢先に、
携帯の着信音にようやく気付いた。
「誰…こんな午前中…???」
表示を見て川岸からの電話だと分かると、
「川ちゃん、また近くにいるのね。お昼のお誘い…???」
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