特に基子の父親は古くからの建設業としての、道を歩んできて、 自分の子供にも、出来うる限り、
親の跡を継がせたいと考えている人間だったのである。
そういう意味でも基子の父親はかなり厳粛な部分もあった。
結局基子は、そんな父親の考えから解放されることはなく、
父親の敷いた路線、そのままの道を歩んできたのだった。
けれども元来子供好きの基子である、
結婚したら出来るだけ早く子供を産み、
大家族で生活したかったのである。
その夢が今回の病気で…、現実には叶わない事と、
自分に自分で諦めさせたのであった。
そんな気持ちが基子の体調を少なからずにも萎えさせたのだった。
夫、利信と自分の体に何か子供を産めないと言う原因はなかったのだ。
けれども現実には子供を授かる事が出来なかった。
それに、感受性の強い基子である。
精神的にも何等かの強い気持ちが、基子の心の中で、
「もう私には子供…は産めない。」
そんな否定的な気持ちが大きくなっていったのかも知れない。
けれども、そんな基子に川岸は常に、
愛する妻のために、優しい言葉を掛けていた。
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