今はそっとして…。 | THMIS mama “お洒落の小部屋”
  「実は今、ふと、基子の事が頭を過ったんだけど…。後で顔…見てきますよ。」
「基子に…栄二の事は…まだ…???」

「うん…まだ…。…まだ、どう伝えていいのか、俺自身も、まだ分からなくって…。」
「…そうね…。今度の事で、基子に余り、悲しい気持ち…させたくない…。彼女、私以上に感受性強いから…。」

「あいつには、少し時間を掛けて、やんわりと伝えたいと思います。」
「うん…。そうしてあげて…。」

滞りなく、葬儀は進まれて行った。
会社の上役が、愛子の元で、何度も何度も頭を下げる光景があった。
栄二の事を偲んで、いろいろな事を愛子に話した。

「今はそっとしておいてあげたい。」

そんな思いが川岸の胸の内にはあったのだが、
上役としても、それは考えない訳ではなかったが、
そうせずにはおられない状況もあったのだった。

その都度、愛子はその言葉を柔らかく受け止め、
ありがたく感じたのだった。

全ての流れが済み、内輪だけの故人を偲ぶ宴席が催された。
その頃にはようやく愛子も、
「いつまでも…。」

と言う姿勢で腰を上げ、動き始めたのだった。
新谷家の空気も少しずつ変わって行くのだった。


今はそっとして…。 


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