ここ二ヶ月くらい、いやもっとかな。体調がずっと悪かった。


常に生理前のPMSみたいに不安定。

少し動くとすぐに汗をかくのに、その汗が今度は冷えて、寒くて寒くて仕方がない。
私の家はけっこう寒い。山の中だし、日当たりが時間とともにどんどん変わるので、外が暑くても家の中はひんやりしている。
車で40分の職場とは、体感で二度くらい違う。


具合が悪くて家で寝ていても、回復する気配がまるでなかった。


そのうえ秋雨が続いたときには湿気がひどくて気分も滅入り、散らかって湿度が高い部屋に嫌悪感がわいてどうしようもない気持ちになっていた。

具合が悪いのに無理して掃除してさらに疲れてしまったり。

また、片付けても片付けても、こどもが散らかすんだよね。


築20年の家は、水まわりも壁も汚れており、私はカビが気になって仕方なかった。
私はアトピーだが、結婚前はわりと自由に生きていたのでアトピーも保湿で対応、くらいにいい状態だった。

ひどくなったのは、産後。そして、こどもは早くも「アトピー&ぜんそくかもね」と診断されている。

この家のせいに違いない!と、私は思っていて、家にいることが本当に嫌でしょうがなかった。街に引っ越したいという気持ちと、なんだか不自由な自分が嫌で、何もかも家のせいにしたかったのかもしれない。


ハウスダストが湿気を帯びると即カビになる。


その考えが頭から消えずに、とにかく家にいるのが嫌だったし、掃除をしなくては!お風呂を換気しなくては!という強迫観念はあるものの、子供の要求に応えていたら、満足に掃除もできない生活。

一日中、家にいるのも嫌だから、最低限の家事したら外出、出たら夕方まで帰らない、っていう感じで。


なんだか寒気を感じて葛根湯を飲んでも、前みたいに汗をかいてすっきりすることがない。

お風呂に入っても、ちゃんとあったまったと思っても、あがった瞬間から冷えはじめている。

体、やばいな。相当弱ってる。そんな感じだった。

でも、こういう症状は、病院に行って薬もらって・・・で治るわけじゃないと分かっていた。


1ヶ月くらいいや、1週間でいい。

家事・雑事を何もせずに、こどもと遊んだりだらだら本を読んだり、眠くなったときに寝て、食べたいときに食べて、たまに気晴らしにおしゃれして買い物して・・・


そんな気楽な生活ができれば!それだけで、私の基礎体力は戻るような気がした。でも、それは望めない。

かろうじて手伝ってもらえていた義父母は追い払ってしまったし、実家は遠いので普通に無理。
保育園は仕事をするから預かってくれるのであって、1週間母業休むからといって預けられるわけでもない。


そんな気持ちであれこれ探していたとき、とあるサイトで漢方相談の紹介を見た。
実は市内にも漢方薬局があるのは知っていたのだが、わざわざ東京の名の知れた漢方医にスカイプ相談を申し込もうと思ったのは、
実際薬局に行ってしまうと、よく考える間もなく流れで服用を決めてしまいそうだったから。


10年位前にも、漢方を服用していたがいつの間にか辞めてしまっていて、その理由すら思い出せない私だ。
あの時は、よもぎ蒸しに通ったりベリーダンスを始めたりして、いつの間にか体調は良くなっていたが、今はそれも難しい。
よもぎ蒸しもベリーも、適当な場所にないんだもん。


というわけで、スカイプ設備を持たない私は、アイフォンのフェイスタイムを利用して面談をしてもらった。


さすが名のある方の営業力、面談はライトで楽しく、なんとなく回復に希望を持てそうな感じがした。
が、話しながら私は、こうやって誰かに自分の不調を真剣に聞いてもらいたかっただけかもしれない、とも思っていた。


漢方の相談が終わり、私の体調に合うものを考慮して見積もり連絡をもらった。その額、毎月約2~3万円。
服用してみないと効き目が分からないので、どのくらいの期間必要かも分からない。
毎日だるくて重くてしんどい、ワラにもすがりたい私は何も考えず「それでお願いします!」と言いたかったのだが、そこは家庭の主婦。一応、夫に相談した。


「正直、高い。別に払えなくないからいいけど、休んで良くなりそうなんだったら仕事やめて保育園に預けて寝てれば?
 だいたい同じくらいの金額でできんじゃない?」

とのこと。

まーね。でも、今の仕事、超楽だから、職場で休んでるみたいなもんだよ。お金までもらっちゃってるし。
家にいて、子の相手しながら家事してるほうがよっぽどしんどいよ。代わりはいないし終わらないし。


「そんな、君がどうしてもやらなきゃ死ぬ、みたいなこともないんだから、俺ができることはするけど。」

とも。


「でも、部屋が汚いと君、私には言わないけどイラついてんじゃん?それが分かるから私は休みたくても気になって掃除しちゃうんだよ。
 そういうの、見ないフリして休むっていうのが、できないんだよ。できればいいんだろうけど。
 家にいると、どうしても何かしないといけないっていう変な強迫観念にとらわれて休めないんだよ。
 場所を変えることは、私には大事。 いっそ、実家に1ヶ月帰るとかしたいけど、うち、母が私にイラつき始めるから無理でしょ?
 あれこれ好き放題言われて、逆にストレスたまるとか別の病気になるとかしそうだし。」


「と、いうことは、君が休める場所はないってこと?」


「YES」


「んー・・・それは大変だねぇ。ま、でも、正直高い。まぁ、どっちでもいいよ、俺は。君が思うようにしなよ。」


というようなやりとりを数日繰り返して、結局私は、漢方治療を選ばなかった。


理由は、何かを続けなくてはいけない、とか、食事制限する、とかいうのが、私にはストレスだろうと思ったから。始めたら続けなくてはいけない、と絶対に思うんだろうし。
理論上、続ければ良くなるのかもしれないけど、私忘れっぽいし、薬がおいしいとも思えないし食事制限は時々苦しい。制限はずしたらはずしたで後悔しちゃったりして、なんか自由が少なくなる、それって楽しくはないよな、と思ったのだ。

15年位前、まだマクロビが一般化していない頃に厳格にマクロビやってみて、私は体を壊したことがある。

だから、極端な・・・というか、自分の自由を制限するようなことはしたくないのだった。


すでに自由に休めないことを苦にしているのに、この期に及んで自分をさらにルールで縛るみたいなのも、ねぇ。


毎月3万円分の漢方飲んでると思って、好きな服とか本とか買えば、そっちの方が治りそうな気もした。

で、私は、面談費3千円を振り込んで、この話にピリオドを打った。


面談費の3千円、高いんじゃ?って思ってたんだけど、後から考えたらこの3千円のおかげで夫とぶっちゃけた話ができたし、自分が本当に何をしたくて何をしたくないのかを考える機会にもなったので、逆に安かったかも、とすら思っている。

何よりもよかったのは、やっぱり夫に私の気持ちと体の状態を伝えられたことだった。


高い漢方注文しようかと悩みながらも、夕食のあとに「しんどいからちょっと休むね。」とすら言えなかったのだ。
こどもをお風呂に入れる手順は、夫が入れて私が受け取る・・または、私が一緒に入って夫に渡して・・・とかね、

とにかく自分が「こうしなくちゃ!」っていう考えでいっぱいだった。


でも、この漢方案件を一週間くらい考えたおかげで、夫の意見を噛み砕くこともできたみたいだ。
それまで、ご飯の後にいつまでも食器が残っているのが嫌で、さっさと自分で片付けたり洗ったりしていたし、子の入浴も早いほうがいいと思って、すべて私が下着とかの準備をしていた。または、事細かに夫に頼んでた。


「食器とかさ、気になるかもしれないけど置いといてくれれば俺、足もみマット踏みながらやるよ。 今すぐやれっていわれても無理だけど。」


こんな夫の気遣いを、私は多分聞き逃していたのだと思う。


「お金使わなくても、休めばいいじゃん」というのは、本当にそうだった。


漢方代浮くんだからな、と心の中で言い訳しつつちょっとずつ休むように意識していたら、ここ二週間くらいでわたしも休むことに抵抗がなくなってきたらしい。


気づけば料理とゴミだし以外の家事はほぼ夫がしてくれているのだった。

料理も、したくないときには極力しないでいる。

前は、休みの日にみんなで出かけるとき、夕食の準備をしてからでかけていたけど、最近はそれも意識してやめた。

夫が外食に誘ってくれることが、純粋なサプライズに思えるようになった。

前は、「今日はカレーにしようと思って鶏肉解凍中なのに・・」とか

つまんない考えで、自分の楽しい外食気分を奪っちゃってたんだな。


自分が無理しないでやらずにいると、そのあいだに他の人がやってくれたことを、素直にありがたいと思えるものなんだとわかった。


今まで私、上から目線だったと思う。

「ありがとう。珍しくちゃんとやってくれてるじゃん。」

「ありがとう。でも、もう少し早くやってよね。」     なんて。



やりたくもないのに自分がやろうとすると、疲れてる上に

「なんでやってくれないの!」と八つ当たりしたい気持ちばかりがふくらんでいたのだな、と分かってきた。


無理しない=今、したくないことをしない っていうの、こっちの方が家庭がスムーズみたい。