私たち夫婦の親・・・主に母親は、それぞれにややこしく口うるさかった。
結婚する前、私たち夫婦はそれぞれ自分の親には自分で対応していたわけなんだけど、結婚したら二倍になった。
夫も結婚前は、私と私の親からの連絡窓口になって私をガードしてくれていた。
なぜ私が自分の親と直接連絡を取らなかったかというと、私が記憶する両親との関係と、彼らが思う私との関係性があまりに違っていて、結婚するかも、となってから毎日怒涛のように届く母からのメールに、私は体調を崩し、どんどんやせてしまったからだ。
私にしたことをなにひとつ覚えていないどころか、手塩にかけて育てた娘、と言ってはばかりなく、結婚にまつわるあれこれに遠慮なく口出しを始めた。
手塩にかけて?はっ、ナイフで切り刻んで塩すり込んで放置した、の間違いじゃない?
という感じ。
私は母からの一方的な想いがたっぷりつまったメールにめちゃくちゃ驚き、怒り、そして愕然とした。
もう、何をどう言っていいのかもわからないくらいに、あったことはなかったことに。
私へのいじめは全て愛情として都合よく書き換えられた彼女の記憶に、私は殺意でいっぱいになってしまった。
おっと。なにがなんだか分からないよね。
これは、私が彼にプロポーズされてから、お互いの両親が顔合わせをするまでの間のことだ。
そもそも、仕事で関東・関西・九州をしょっちゅう行き来していた父に、
「結婚の話が出ている彼氏がいるから、今度仕事で関東来るときに一緒にご飯でも食べよう」
と私が父に言っただけだった。
が、翌日母からの電話・メールが次々に来る。
「お父さんを、彼氏に会わせるらしいやん。結婚の話が出てるって?
私が行けへんのが残念やわ。」
↓
「ほんまやったら私が行ってどんな男か見てやりたいのになぁ、お父さんなんか人を見る目がないからあてにならへんわ。」
↓
「あんた、私には来て欲しくないと思ってるんやろ?その男に会わせへんつもりか?
結婚するんやったらちゃんと私が見とかなあかんのになぁ、あんたが私には来て欲しくないんやったらしょうがないけど、私が母親やのに、ほんまは一番に見ておかなあかんやろ。」
という内容でメールや電話が来るわけ。
が、このとき父の出張日は決まっていたが、彼の仕事の予定が決まっておらず、父が来ても会えるかどうかわからない状況だった。
しかし、毎日めんどくさい母のメールや電話で責められて面倒になった私は
「来たいなら来れば?」
と言ってしまった。
「来たいなら?別に私が無理やり行こうって言ってるわけちゃうやろ。そんなに嫌なんか!
結婚するかもしれへん男にも会わせられへんほどあんたは私が嫌なんか!別にええわ!
そのかわりどうなっても知らんで!」
と言い出し、もうこのやりとりに疲れて面倒だった&彼氏にこの母のことを説明するのも面倒・・・
という気持ちで、私はつい、自分の気持ちを通さずに合わせてしまうわけです。
「あ~、そういう意味じゃないし。ハイハイ、お母さんにも会ってほしいなー、来れるなら来て欲しいなー」
(棒読み)
というその場しのぎの対応をしてしまったわけ。
もうこうなったら父の言うことを聞く母ではない。父も「あーあー」っていう感じで。
というわけで、仕事で近くに来る彼女の父とついでに会う、っていう予定が、彼女の両親が自分に会いに来る、という状況になってしまった彼。(今の夫。)
これを伝えたら彼は「!そっちが二人来るならこっちも用意しないとダメだよね?」となって、
(・・・これも今思えば変で、別に彼ひとりでもよかったわけだけど)
彼は両親を招集することにしたから結局、初めて会うときに文字通りの「顔合わせ」というやつを行う運びになってしまい、私と彼はそれぞれの親に対する気遣いで疲弊。
彼は彼で、彼の母から「彼女に会わせろ」としつこく言われており、断るのもしんどくなっていたのだろう。
思い出しただけでぜぃぜぃするわ。
顔合わせ当日。
私は朝から精神不安定。迎えに来てくれた彼の車の中でヘロヘロ歌を歌ったり、吐き気がこみ上げたり、かと思えば大福まるかじりしたりしていた。もちろん前夜はろくに眠っていない。
ファッションビル最上階のアジア料理屋の個室で、お互いの両親は・・・めっちゃはしゃいでた。
私はとりあえず飲酒して気分をあげ、それぞれの両親に酒を注いでいた。
彼の両親はひたすら自分の息子のことだけをハイテンションで語りまくり、うちの親を引かせていた。
こういうときって、お互いの家族構成についてとか、どういう人となりかとかをお互いに話すのでは・・・?と思ったが、彼の両親は、何一つ私の家族について自分たちから質問しようとはしていなかった。
私の両親も、彼の両親にテキトウにあわせつつ、あーめでたいめでたい、みたいな感じで社交していて、その様子を見ている私と彼は、合コンの幹事のように時々目を合わせて互いの疲れを確認。
その場のことはそれ以上覚えていないが、お手洗いに立ったとき、外で待ち伏せしていた母親が
「男前やん!ええ男やん、安心したわ」 と言われた。
母が満足そうなことに私は安堵し、なぜここまで木を揉んでいるのだろう・・・という疑問をビールで流し込み、彼の両親に作り笑いで対応。
お開きになった後、彼の母親が私の腕を取りながらご機嫌で言った。
「あなたでよかったわ~、あなたはね、私との相性がバッチリなのよ~」
初対面で?ろくに話もしてないのに?と思った私は
「えーと、それ、何判断?」
と聞いてみた。彼女は
「う・ら・な・い・よっ」
と乙女な様子で言い、私は心でドン引きしながら快活に笑って見せた。