私は時々、人との境界線が分からなくなってしまう。

これ以上踏み入ってはいけないラインのようなもの。

昨日の夜、元夫からショックな言葉を言われてしまった。

「もう家の中には上がって来ないでほしい」

「子どもたちとの用事は、玄関先で済ませてほしい」

「気分が悪いから…」


私は離婚したあと、子どもたちと離れて暮らしている。

子どもたちは、元夫と一緒に暮らしているので、私はほとんど毎日子どもたちに会いに行っていた。

娘が学校に持っていくお弁当のおかずを届けたり、ちょっとした用事を作っては訪ねていた。

すこしの時間でも、子どもたちの顔を見に行きたくて。

長居をするわけでもなく、用事が終わればすぐ帰っていたので、悪いことをしているつもりもなかった。

でも、元夫からしたら、私が家に来る度に中まで上がり込んで、子どもたちの身の回りの世話をするのは、気分の良くないことだったのだ。

たしかにそうだろう。
私はもう、あの家を出ていった人間なのだから。

おかずを届けるだけならいい。
家の外で子どもたちと話すだけならいい。

でも、もう自分の家ではない場所に、図々しく上がりこんではいけなかったのだ。

片付けが苦手な子どもたちの代わりに、脱ぎ散らかしてある衣類を片付けてあげるとか。

トイレ掃除をしてあげるとか。

そんな余計なお世話をしてはいけなかったのだ。

昨日は、元夫から言われた言葉がショックで、しばらく怒りを感じていた。

私は親切のつもりだったのに。
あんな言い方ないよ!と。

でも、冷静になってから気づいた。

元夫は今までずっと我慢していたのだろう。

境界線を越えて、自分の領域に入り込んでくる私の図々しさに。

元夫と一緒に暮らしていたときに、よく言われていた言葉がある。

「逆の立場だったらどう思う?」

元夫は私から嫌なことをされたときに、よくこう言っていた。

私はそう言われるたびに、「逆の立場」になって考えることは大事かもしれないけれど、相手が自分と同じように感じるとは限らないよ、と反発していた。

でも、今回の「もう家の中に入って来ないでほしい」という言葉については、逆の立場で考えたらよく理解できた。

私には、元夫の立場で想像する力が欠けていた。

元夫は毎日子どもたちと一緒に暮らせているのだから、私が子どもたちに会いに行くことを遠慮する必要はないと思っていたけれど、やり方がよくなかった。

今度からは、あの家に行っても中には入らないことにする。

私は今までどおり子どもたちとは会うし、連絡も取り合う。

でも、境界線をわきまえた上で行動しようと思う。