
自分ことの葉
第5話 『やりたい やりたくない 自分で決める』はこちらから
第6話 『 金融の濁流 』
わたしが新卒で就職をしたのは
ちょうどバブル景気が終焉を迎えた頃
まだまだバブルの余韻が漂い
就職売り手市場でした
当時、お金を儲ける (稼ぐではない) ことに
大きな関心と執着を持っていたわたしは
とある業界に目をつけます
【商品先物取引業】
金融の中でも特定商品のリスクヘッジを受け持つ業務
といえば聞こえはいいのですが一般顧客からすると投機です
儲かるか損するか
喰うか喰われるか
現物取引と違い値段の上下による差金決済のため
ハイリスクハイリターンの代表格
お金に執着していたわたしは
商品先物取引業老舗に入社しました
そこでの毎日は壮絶なものでした
毎日朝から晩までの無知な顧客を探すための
軒並み飛び込み営業、エンドレス電話営業
(今は法律でこういった営業は禁止されています)
顧客を捕まえても
手数料商売なので会社指示の売り買いの強要
仕手と呼ばれる集団に翻弄され、
投機 (投資ではない) した金銭はあえなく底をつき
資金追加補填の請求の嵐
わたしは金融の濁流に飲み込まれていきます
そんな中でも若かったわたしが担当するお客様は
取引経験者が多く、リスクも理解していたこともあり
ご迷惑をおかけすることは少なかったですし
多くのこと (取引以外も) をご指導いただいていました
入社から4年目
役職が付き、お客様も多数抱えるようになったときです
ひとりの女性経営者さんを紹介してもらいます
営業を繰り返し、信用を得て取引を開始
数千万単位のお客様でしたのでなにかと
会社利益のための指示が入ります
(もちろん建前は[お客様のために]でした)
わたしの相場観で取引をしたくても
できる状況でなく、会社の言いなりでした
「会社に指示だ!この商品を買い進め!」
「 … … わかりました」
当初こそリターンを得ていましたが
徐々に資金が目減りしていき
最後には数千万円の投機資金がなくなり、
さらに追加資金が必要になる最悪の事態に…
女性経営者さんに頭を下げてお詫びをしました
「…仕方ないね」
と言ったお客様の苦悶の表情を
まともに見ることができませんでした

わたしの責任ならばまだマシだったかもしれません
わたしの想い・本音とはかけ離れたところで取引が行われ
わたしがそれを修正できなかったことへの後悔と罪悪感
信頼してくれ、とても可愛がってくれていた方を
裏切る結果になってしまいました
本心本音とかけ離れた世界
たまりませんでした
改めて自分の本心本音と向き合うこととなり
このことがこの業界を去るきっかけとなります
あなたも失意のどん底に沈んだことはきっとありますよね
大切な人を裏切ってしまったことも…
悔やんでも悔やみきれない哀しみは
もしかしたら本心本音に気づくための
神様の采配なのかもしれません
自分ことの葉
第7話 『本心と本音のお付き合い』はこちらから
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