その日の夕方も


いつものように


父と母と私とで体操し終えたのち


父の唯一の楽しみである


ビールを持っていった。




ほどなくして


母が私を呼びに来た。


「お父さんがへんなんやって」


私は


またか、くらいに思っていた。



でも、今回は


また、ではなかった。




冷蔵庫の前に横たわる父。


起こそうとしても


ずっしり重たくて起き上がることができない。


その重みは


身体に力が入っていないから


だということはすぐには気づかなかった。




なんとか壁を使って


父を起き上がせることができた。


それが適切な処置だったかどうかは


わからない。



でも起き上がらせてみて


声をかけても虚な返事。







そして







左手が動かせないことに気づく。


これは頭だ。


救急車!






父は脳出血だった。



それも重篤な…






そのまま入院となり


これから1週間はどうなるかわからない、と。




延命処置はどうしますか?と




即答を求められた。




そんなの今一人で決められる訳がない。



私:

「家族と相談します。」



病院:

「構いませんよ」






私は頭が真っ白になった。



いつかこんな日がくるかもしれない、と。



数々の病を患ってきた父を



見てきたので



覚悟めいたものはあったにしろ









 




いざとなると、震えた。






つづく