78円の命

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近所に捨てネコがいる。

そのネコは目がくりっとしていて、しっぽがくるっと曲がっている。

かわいい声をあげていつも私についてくる。


真っ黒なネコだったので、魔女の宅急便から『キキ』と勝手に名付けてかわいがった。

人なつっこい性格からいつの間にか近所の人気者になっていった。


子ネコだったキキも2年たった頃にうれしい出来事があった。

赤ちゃんを産んだのだ。

でもキキは捨てネコだったので、行き場所のない子ネコたちを近所の鈴木さんが預かってくれた。

毎日のように子ネコを見に行って、まるで自分の飼いネコのようにかわいがった。


ある日、突然子ネコの姿が見えなくなった。

そこで鈴木さんに尋ねてみると、「○○センターに連れて行ったよ」と、うつむきながら言った。


私はうまく聞き取れず、何を言っているか分からなかったが、

たぶん新しい飼い主が見つかる所に連れて行って幸せに暮らせるんだなと思った。


次の日、学校でこのことを友達に話したら「保健所だろ?それ殺されちゃうよ」といった。

私はむきになって言い返した。「そんなはずない。絶対幸せになってるよ」


殺されちゃうという言葉がみょうに心にひっかかり、授業中も保健所の事で頭がいっぱいだった。

走って家に帰ると、急いでパソコンの前に座った。


『保健所』で検索するとそこには想像もできないざんこくなことがたくさんのっていた。

飼い主から見捨てられた動物は日付ごとにおりに入れられ、そこで3日の間、飼い主をひたすら待ち続けるのだ。

そして飼い主が見つからなかった時には、死が待っている。

10匹単位で小さな穴に押し込められ、二酸化炭素が送り込まれる。

数分もがき、苦しみ、死んだ後はごみのようにすぐに焼かれてしまうのだ。


動物の処分1匹につき78円。

動物の命の価値がたったの78円でしかないように思えて胸が張りさけそうになった。

そして、とても怖くなった。

残念ながら、友達の話は本当だった。調べなければ良かったと後悔した。


現実には年間20万匹以上の動物がこんなにも悲しい運命にある事を知り、さらに大きなショックを受けた。

動物とはいえ、人間がかけがえのない命を勝手にうばってしまってもいいのだろうか。

もちろん人間にも、どうしても動物を育てられない理由があるのは分かっている。

一体どうすればいいのか分からなくなった。


キキがずっと鳴いている。大きな声で鳴いている。

いなくなった赤ちゃんを探しているのだろうか。

鳴き叫ぶその声を聞くたびに、パソコンで見た映像が頭に浮かび、

いてもたってもいられなくなり眠れない夜が続いた。


キキのかわいい声もいつの間にかガラガラ声に変わり、切なくなった。

言葉が分かるなら話をしたい。私はキキをぎゅっと抱きしめた。


最近キキの姿を見かけなくなった。

もしかしてキキも保健所に連れて行かれたのかと一瞬ひやっとした。


それから1週間後、おなかに包帯を巻いたキキを見かけた。

鈴木さんがこれから赤ちゃんを産めない体に手術をしてくれたのだ。

私は心から感謝した。

この先キキも赤ちゃんも捨てられずにすむという安心した気持ちと、

鈴木さん家のネコになってしまったんだというさみしい気持ちとで複雑だった。

正直、とてもうらやましかった。


命を守るのは私が考えるほど簡単なことではない。かわいいと思うだけでは動物は育てられない。

生き物を飼うということは1つの命にきちんと責任を持つことだ。

おもちゃのように捨ててはいけない。

だから、ちゃんと最期まで育ててやれるという自信がなければ飼ってはいけない事を学んだ。


今も近所には何匹かの捨てネコがいる。

私はこのネコたちをかわいがってもいいのかどうか、ずっと悩んでいる


第41回 豊橋市小中学生 話し方大会 最優秀賞作品

小学6年生 谷山千華さん


「78円の命」



愛知県豊橋市に住む、当時小学6年生だった谷山千華さんが
2012年に書いた作文『78円の命』。

猫の殺処分についての現実を小学生の素直な感性で描いた作文は、
豊橋市の話し方大会で最優秀作品に選ばれ、
その後同市の道徳の授業で扱われるなど、多くの人の目に触れる作品になった。
2020年からは愛知県内全域の道徳の授業で使う副教材に掲載される予定となっている。

そして、この作品を通じ共鳴したメンバーが集まり立ち上がったのが、
『78円の命プロジェクト』だ。

現在でも1年に10万匹以上の犬猫が、保健所で殺処分されている。

作文中に登場する“78円”という金額は、犬や猫の殺処分にかかる費用です。小学校6年生の目線で綴られた「78円の命」は、動物の命の大切さをあらためて考えるきっかけになる内容で、この作文に共感した東京の若手クリエイターたちが、作文を絵本化するプロジェクトをスタートし2016年出版。

これ以上多くの小さい命が失われていかないため、そしてより多くの子どもにこの事実を伝えていくため、
『78円の命プロジェクト』が動き始めた


作文「78円の命」を綴った谷山千華さんと
作文のモデルになったキキ



「78円の命」を原作に絵本にすることで、子どもから大人まで多くの人に殺処分について学んでもらい、動物の命について考えるきっかけを広げていくのが目的です。クラウドファンディングで支援を募集し、絵本が完成した際には、78円で販売することを目指していた。

最終的に500名以上から390万円を超える支援が集まり絵本化が実現。タイトルにちなんで“78円”で10月31日発売(※初版のみ78円。重版の場合は780円)


中日新聞 2016-2-6 

東京新聞  2016-2-6 より写真 文抜粋

千華さんの母泰代さん(47)は作文をきっかけに、野良猫に不妊手術をして世話をする「地域猫」活動を近所の人たちと始めた。
千華さんは「作文でたくさんの人が命について考えてくれている。一匹でも多く救えたら、うれしい」と話す。

***東京新聞ここまで***


年々減少傾向にある殺処分ですが、それはすべて人間側の都合です。さまざまな課題や問題が議論されていますが、まずは無責任な飼い主を減らしていくことではないでしょうか。








◆年間の殺処分数 26年度
犬 21,593 猫 79,745
合計 101,338

◆うち飼い主持ち込み数!
犬 7,243   猫 16,542
合計  24,385
この他に持ち込みではなく
棄てられた犬猫もかなりいます

◆譲渡数
犬 17,339  猫 18,234 
合計 35,573
皆様の必死の活動で譲渡に繋がっています



この現実を多くの人に知ってもらいたい


飼う前に、本当に自分がその子を幸せにできるか、真剣に考えてください。大切な家族です。どうしても手放さないといけない事情があるなら、責任をもってその子が新しい幸せを見つけられるまで努力をしてください。

また譲渡する場合、適正な飼い主か環境かを見極めてからの譲渡も大切です。安易に譲渡数だけ増やしてもまた棄てられたり保健所に持ち込まれるケースもあります。

今一度、尊い命が消えていく現実を直視し、命の大切さをしっかり考えていかなければいけません。



保健所や動物愛護センター
保護団体や個人ボランティアさん
のところで
沢山の命が待っています


不幸な命をこれ以上生み出さないために


「譲渡してもらい
保護犬を家族に迎え入れるという選択を」

「ペットショップで命を買わない」

「捨てない、終生飼育大切に」

「迷子札の徹底、迷子にさせない」

「不幸な命の連鎖を断ち切る」

「"不幸な命"がない世界へ」


人も動物もみんな同じ尊い命
幸せになるために生まれてきたんだから


多くの人に広めてください


どうかお願いします


小さな尊い命のために



ご覧いただきありがとうございます

Shuri













Earth Angels 河本 珠里
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