最近「直美」という言葉が一般市民のなかにもだいぶ浸透して話題になっているようですね。

医師の初期研修が終わった直後、一般的な専攻科を進まずに、美容医療へ進む医師のことです。

 

先日、何をどうして調べたのか、耳に入ったのか、私の小学校の同級生が2人美容医療の医師(いずれも女医)になっていると母から聞きました。

私の小学校は都内の有名私立小学校で、親が医師という子供はたくさんいました(私もそうですが)。

ただ私の父は当時しがない勤務医の産婦人科医でしたが、美容に進んだ2人の同級生の親は、一人が眼科の開業医ですごく儲かっているという話でしたし、もう一人は一族郎党医師で、病院を●●会みたいな形でグループ経営しているような超ド級のお金持ちでした。

 

私はその有名私立の学校に実は幼稚園から運よく入りましたが(奇跡的にコネなしで)、勤務医というだけで母は結構バカにされていた記憶があるということでした。

そういう価値観のもとで育てられた子供たちが「人の役に立ちたい」とまぁ本気で思うわけないわ、と私は母から話を聞いても大して驚きもしませんでした。

特に病院経営している一族の子は本当性格が悪くて、私は小学生の時いじめられていたし、完全に流れで医師になったに違いなく、そこに崇高な理念があったとは到底思い難いです。

 

母は「6年間も必死に勉強してどうして美容なんかいけるんだろう」というようなことを言ってましたが、そんなことは大した問題ではないです。そもそも、医学部の入学試験に受かっている時点で、最低限の学力は備わっているので、そんな机にしがみついてかじりついて勉強しなくても試験なんかパスできます。

少なくとも私はそうでした。

バドミントン部という部活に打ち込んでいた時期もあり、死ぬほど勉強した、という記憶はあまりなく、日々の授業をさぼらず受けてりゃ普通に試験は通ります。

さすがに国家試験の前は毎日勉強しましたが、社会人になってからの専門医の勉強の方がよほどつらかったです・・・

 

日本という国の医療、特に夜間の当直や緊急があるような科は、完全に医師の献身とやりがいで成り立っていることを世間の方々には忘れないで頂きたいです。仕事の緊張感、忙しさ、自分の健康すら削れていく状況と、給料が全く見合わないからです。

 

今でこそ、産科から距離をとった働き方をしているので、心身ともにだいぶ健康で安定するようになりましたが、逆に夜間にたたき起こされ、極度の緊張にさらされることがいかに人を蝕むのか、よくわかりました。

あの頃の世界に戻れるかと言われると、戻れるかもしれないけど戻りたくはない、と正直思ってしまいますね。

 

最近よく思うのですが、私はいつまでこんな仕事を続けていくのだろうと思います。医師の仕事は終わりがなくて、ひとつできたら次はこれ、次はこれと高みを目指せばどこまでも努力が必要です。

初期研修後の12年間、私はひたすら産婦人科医として、その後は婦人科腫瘍専門医として高みを目指してきてたのですが、ちょっとそろそろ疲れてしまいました。

 

これは完全に個人的な事情ですが、こんなに頑張っているのに、医局内に戻る席はないといわれ、評価もされず、国内留学先ではよそ者ゆえに、本来の能力が発揮できない。

今の状況が精神的に八方ふさがりで、仕事が楽しくなくなってしまいました。

 

人生80年とすればそろそろ折り返しで、残りの人生もこのままこうやって生きていくのかと思うとそれもなんか違うような気がします。

いっそ結婚や出産というライフイベントがあれば、少し仕事から離れる時間もあってよかったのかもしれませんが、それもなくここまで走り続けてきてよかったのかよくわからなくなってしまいました。

 

美容とはいかずとも、雇われ開業医で、子宮がん検診やホルモン補充療法などなどの外来診療を、ただ日々こなすだけで、今と同じかそれ以上の給料をもらえるのであればそれでもいいんじゃないかという気がしてきます。

恐ろしいことに、都内で今度こういう開業が予定されていますが、どうですか?みたいなリクルートの手紙って結構くるんですよ、県を超えて。どうやって私のこと知ったんかい?!って感じですが。

 

婦人科がん診療への情熱を失ってしまったわけではないんですけどね。自分の理想の働き場所がないってだけで。

ただなんか大人になって、自分のできることには限界がある、というか、別になんでもできる気がしていたのわけじゃないんですけど、あぁこの辺が潮時かな?って感覚が40歳を前にしてちょっと感じるんですよね(ちょっと早すぎるか)。

あとは、今の施設では初診をもてなかったので、患者さんとのふれあいが減ってやりがい指数が低かったのはあるかもしれません。今年になってからそれも解禁されたので少しずつその辺の気持ちは解消されるかもしれないですが。

 

うーん、なんか愚痴っぽくなってしまいました。

いつものことですが泣き笑い