盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます。音量に注意してください。>
9月18日。
盛岡は、晴れてもそれほど気温が上がらない。
今年は、暑くて大変な時期が短く、
気がつけば朝晩は肌寒く、もう長袖を着ている。
花巻や盛岡の秋祭りも終わった頃、私の恒例の行事がある。
近頃の天気予報は頼りない。
次々と高い温度の海に台風が発生し、
予想を覆す進路で日本に近づいて来る。
9月18日は雨だろうと思っていたが、降りそうにない。
今日がチャンスだと、
午後になって盛岡から国道4号線を北へ。
市の北部、玉山の辺りの田圃はもう黄金色。
玉山から北の岩手町へ。
街並みを右に見下ろしながらバイパスを走る。
上り坂が続き、上りきると一戸町の奥中山。
標高は420メートルぐらいもある。
西の方に奥中山高原スキー場のある西岳が見える。
奥中山の集落に入ってすぐ葛巻町方面へ行く道へ右折。
道なりに行くと大志田ダムへの看板がある交差点がある。
そこを反対の方に曲がる。
道は狭くなるが車の行き来に支障はない。
曲がって数百メートル。
道路の右手に突然、綺麗な黄色の丘が現れる。
差し掛かる車は速度を落とす。
正規ではないだろうが、駐車スペースがある。
停めるとフロントガラスの全面が向日葵。
Morricone: Deborah's Theme (From "Once Upon A Time In America")
本格的な機器を積んだ車も停まっていて、
脚立を持ちながら撮影場所を探している。
夕暮れ時が人気の時で、カメラを持った人が集まり出す頃だ。
隣の車は横浜ナンバー。
シルバー世代の二人が、丘の麓で見惚れている。
こちらと目が合い、笑みを交わして挨拶。
二人とも幸せそうな顔で眺めている。
丘の持ち主の家に向かう道に沿って少し上った。
青空が見え隠れしながら、しだいに雲の勢いが増す。
刻々と景色の明度が変わる。
冷たい空気の中に凛として空に向かい、
大きな花を咲かす。
今までは夕暮れ時に来ていた。
夕陽を背景にした向日葵は黄色みが濃くなる。
陽が落ちる前も美しい。
<丘一面に咲く秋の向日葵を初めて見る人に>
私が初めて見たのは2020年の9月20日だった。
【その日のブログ】
秋に向日葵が咲くと聞いてやって来た。
丘一面に咲く向日葵の前で、
時間の流れを忘れしばらく立っていた。
陽が落ち、空気は冷たい。
そろそろ帰ろうとした時、
通りかかった人から声をかけられた。
「こんにちは、どちらからです?」
その女性は近所に実家があり、よく見に来るという。
向日葵のことを話してくれた。
奥中山から青年海外協力隊で中南米に行った男性がいた。
現地で奥さんと知り合い、ここに戻り家業の酪農を継いだ。。
仕事をしながら家から見える丘に、
子供たちに見せようと向日葵を植えた。
ところが、彼は突然の事故で逝ってしまった。
その想いを彼の父親、親戚や近所の人達が引き継いだ。
話してもらった方に御礼を言って帰ろうとした。
すると空に虹。
見に来る人を空から歓迎している様だった。
それから、毎年の様に夕方に訪れている。
帰りかけて奥さんが帰って来て犬の散歩に丘を下りてきた。
少し話が出来た。
「今年は疎らになってしまい残念です」と言うが、
「でも、かえって立体的に見えます」と答えた。
「知る限りを記事に書いていいですか」と続けた。
「はい、ありがとうございます」
奥さんと初めて話したのは2年前だ。
「朝日を受けている時が、一番好きなんです」と言っていた。
まだ、朝日の当たる時を見ていない。
雲が低く垂れこめてきた。
もうすぐ雨だろう。
もう一度丘を眺めてから車に乗った。
奥中山まで来たので一戸町の商店街に向かった。
十三本木峠を越える。
国道4号線では最も標高が高く約460メートル。
峠を越えると小鳥谷という集落がある。
理由もなく旧道に入った。
かつては商店だった佇まいの建物、
生活の匂いがしない家が目立つ静かな集落だ。
走っていると数人の男性が山車を囲んでいた。
明日は祭りだそうだ。
きっと普段は静かな街も活気が溢れるのだろう。
そう想うと嬉しい気分だ。
また国道へ戻り一戸の街に。
町の本屋、一守書店。
店主はおらず、お母さんに挨拶して帰ることにした。
近くにいるだろうから連絡しますよ、と何度も言われたが、
突然の訪問なので遠慮した。
雪が降る前にまた来るつもりだ。
雨が降り出し暗くなってきた。
奥中山高原の方へ寄り道。
スキー場の麓にある「朝朱の湯(あさあけのゆ)」と「煌星の湯」。
二つの温泉がある。
今日は、スキーセンターのある「煌星の湯」へ。
ここは薬湯や電気ぶろなど色々な風呂がある。
空いていてゆっくり入れた。
車を「朝朱の湯(あさあけのゆ)の方に移動。
ここには通年営業のレストランもある。
煌星の方は改修工事中で、こちらの駐車場の方が少し明るい。
ルームランプをつけて買ってきた牛丼とメンチ、コロッケを取り出した。
来る途中、岩手町の肉のふがね川口工場直営店に寄ってきた。
岩手短角和牛焼肉重、やわらか煮、バラ焼き重などは完売。
牛丼が残っていた。
底の方を持つと僅かに温もりが残っている。
箸を割り食べ出した。
車中に煮えた牛肉の匂い。
やわらかく牛の旨味が濃く甘い。
とても美味しい。
飲む様に食べてしまう。
メンチもコロッケもあっという間に完食。
店のスタッフに聞くと、
昼過ぎには、かなり売れてしまうそうだ。
これなら確かにと納得。
牛丼で大いに満足。
小雨の中を走ったが、
盛岡に着く頃には上がっていた。
撮ってきた写真を見ながら想う。
きっと奥中山の夜は気温が下がるだろう。
それでも朝日に照らされて咲く向日葵が浮かんだ。















