盛岡食いしん爺日記
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ネルドリップで淹れる珈琲の香り。
千葉県から来たというマスターの持つドリップポットから、
お湯が雫になって零れる。
丁寧な仕事を見ていた。
初めての店だったので、
一緒の人とマスターに色々と聞いてみた。
やわらかい語り口で返ってくる。
千葉で働いていたが、30年来の夢だった珈琲店を盛岡で開いた。
学生時代を過ごしたこの街が忘れられなかった。
両親が信州の小諸で、山々の連なる風景が好きで、
盛岡にも似た想いを持っていると言う。
ここは珈琲店「梅屋珈灯」。
住所は紺屋町だが、
盛岡の人には上ノ橋通りと言った方が分かりやすい。
本町から、擬宝珠のある上ノ橋を東に渡った先の通りだ。
For the Good Times · Perry Como
長屋形式の建物があり、
1階は7、8軒のテナントが並び2階は住居だと思う。
その殆どがカフェやレストラン。
道路向かいにも複数の喫茶店がある。
どうしてこんなに店が集まったのだろう。
東の端の角に老舗の珈琲DANには何度も行っている。
ここ2、3年でカフェ系が増え、
先月、「cafe&grocery nоok(ヌック)」を訪れたばかり。
一緒の人が「梅屋珈灯」に入ってみたいと言うので訪れたのだ。
店構えは狭いが、奥に広い。
カウンターとテーブル席が2つ。
シンプルで落ち着く雰囲気だ。
材木町で毎週土曜の「よ市」で開催される珈琲フェスタのポスターが貼ってある。
一緒の人はブレンドと焼き菓子。
マスターが暮らした千葉で作られている。
「美味しい、珈琲も後味がよくて、飲みやすい」
とニコリ。
私はマンデリン。
ネルドリップならではの質感。
豊かな香りで、滑らかで奥深い味の珈琲だ。
ひと言でいうと芳醇な珈琲だと思った。
マスターを見て「美味しいです」と言った。
心地よい笑みが返ってきた。
思わず自分も微笑んでしまう。
ここのインスタを探した。
「梅屋珈灯」の名前には
珈琲がお客様の心に灯(ともしび)をともすようにとの願いを込めています。
と書いてあった。
シンプルで余計な物がない店内とマスターが創り出す寛げる空間だ。
ふと外の方に目をやると海外の人のカップル。
盛岡も国際的になったものだ。
硝子の向こうに急に姿が見えても驚かなくなった。
この街をこよなく愛するマスター。
「学生時代は、どこの喫茶店で珈琲を飲んでました?」
と尋ねた。
すると、当時はあまりお金がなく、なかなか喫茶店に行けなかったそうだ。
ただ口から出たのは「クラムボン」だった。
「昔は、自家焙煎の店がまだ少なくて」
と続けた。
確かに今はあちこちで美味しい珈琲を楽しめる。
盛岡には個性豊かな喫茶店、カフェが多い。
暮らす人は好みの店に通う。
珈琲好きな人が多いのか、
憩いの場を求めるのか、
まだよく分からない。
ただ、どこに行こうかと、悩む嬉しさがある。
「梅屋珈灯」は、一人でぼぉ~っとしたり、本を開いたり、
カウンターでマスターと話したり、
美味しい珈琲でゆっくり寛げる場所だと思った昼下がり。














